山行2005—48 |
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針の木岳~烏帽子岳 |
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日程 |
7月15日(金・夜)~7月19日(火) |
参加者 |
L伊藤 SL 高橋(美) 渡辺(綺) |
費用 |
新宿~扇沢(バス)5700円 信濃大町~新宿(JR)5300円 |
高瀬ダム~葛温泉~信濃大町(タクシー)2650円 |
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針ノ木小屋 8800円 昼食(おにぎり)800円 |
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船窪小屋 8500円 昼食(おにぎり)700円 |
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烏帽子小屋 8500円 |
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入浴代 500円 |
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7月15日(金) 新宿駅西口発22:30 さわやか信州号 7月16日(土)曇り、雨 扇沢バスターミナル着5:10 6:15 扇沢バスターミナル(6:15)→大沢小屋(7:45~ 8:05)→雪渓入り口(9:05~ 9:25)→針ノ木小屋(11:45) 小屋(13:20)→針ノ木岳(14:30~14:45)→小屋(15:30) 早朝、扇沢バスターミナルに到着。眠たい目をこすりながらバスから降りると、周りの山々がガスに包まれている。“今日の天気はどうなるかな……”と不安になる。 簡単に腹ごしらえをし、水を補給し、膝が弱い私はサポーターを着けていざ出発。ブナ林をぬけ、まずは大沢小屋をめざす。昨日の夜行バスで睡眠不足のはずなのだが、ブナ林を歩く体が以外に軽く気分も爽快だ。さきほどの不安も次第に消えていくようだ。鳴沢と赤沢の2つの沢を渡るとほどなく大沢小屋に着く。今年は大雪だったせいか沢の水もゴウゴウと流れている。小屋の元気のいい、べらんめい調のご主人が「今日は、これから雨が降るよ、明日も雨で、次の日からは晴れるよ。」と自信満々に話す。 すると、小屋を出てほどなくポツポツ降り出してきたので雨具を着け、針ノ木の雪渓をめざす。雪渓の登りにたどり着いたところでアイゼンを着ける。今回、このために購入したもので初めて使用する。初級者から中級者に格が上がったような気分だ。見上げると斜度もかなりきつく長い雪渓なので、用心深く一歩一歩前進する。雨に加えて風も強い。時々振り返り周りの風景を眺めるが、鹿島槍はガスで隠れ長い雪渓が続くのみ。 やっと小屋に到着。雨も止んだので一休みして針ノ木岳登頂をする。お花を観察しながらゆっくりと登る。オダマキ、イワカガミ、ハクサンシャクナゲ、コバイケイソウ等。下りもお花の再確認をしながらゆっくりと小屋に戻る。夕食時、ビールで入山祝いの乾杯をする。夕方、5時前から大雨と強風の悪天候になり明日の天気が心配になる。小屋は、今シーズン最初の大入りで布団は2人で1枚。今夜も睡眠不足のようだ。 7月17日(日)晴れ 小屋(6:30)蓮華岳(8:00)→北葛乗越の手前(9:00~9:40)→北葛岳(11:05)→七倉岳(13:30)→船窪小屋(13:50) 昨日は夕方から強風と、どしゃ降りだったが、今朝は、強風ではあるがよい天気である。大沢小屋のご主人の自信たっぷりの天気予報がはずれ、一同一安心。昨日のうちに針ノ木岳登頂はしているので、今朝はゆっくり小屋を出発して蓮華岳へ向かう。立山、剣、槍が綺麗に見える。針ノ木岳も立派な姿を見せている。蓮華岳はコマクサの群生地と聞いているので楽しみだ。山頂近くの砂礫に至ると、コマクサが今をさかりと見事に咲いていた。ピンク色の小さな花とグリーンの繊細な葉が強風に負けまいとしているようで、けなげで可憐だ。めずらしい白いコマクサが1株だけ咲いていた。コマクサを堪能して北葛岳へ向かう。強風の中、蓮華の大下りを慎重に下る。北葛乗越の手前で、強風をさけるよい場所を探し休憩する。コーヒー、味噌汁で一息入れ、ここから先に見える険しいアップダウンの続く道へ気持ちを引き締める。北葛岳頂上に立ち、昨日から今歩いてきた針ノ木、蓮華、蓮華の大下り、北葛乗越の急坂と連続する岩稜を目の前にして「よく歩いたね!一歩一歩の力ってすごいね!」と自己満足にひたる。七倉乗越の険しい下り、やせ尾根の登りを過ぎ七倉岳に到着。ここから船窪小屋までは比較的歩きやすい登山道となるので、小屋まで直行する。 小屋の人が、遠くから我々3人の姿を見て歓迎の鐘を鳴らして下さっているのが聞こえる。まずは、小屋の前でビールで乾杯。他グループと歓談し、リラックスした一時をすごす。福島からの医学生の山岳部グループ、山形からの中高年男性グループと。明日縦走予定の不動岳が、その名のとおり不動明王のごとく目の前にドンとかまえている。その奥に烏帽子岳が見える。食事前に、小屋でボランティアをされているこども病院の女の先生、ネパールからみえているシェルパ族の男性の紹介があり、シェルパ族の歌や先生の笛の演奏を聞かせていただいた。笛のどことなく淋しい、しかし美しい音色とネパール紅茶のほどよい甘さと温かさに心身の疲れが癒されていくのが心地いい。いよいよ夕食。船窪小屋の食事はおいしいので評判とのこと。先の他グループとの歓談では、食事を目当てに宿泊する人もいるとのこと。評判どうりでした。古代米、ここでしか食べられない天ぷら(アザミ、ユキザサ、他はおぼえられず)山の珍味、手作りのコケモモのデザート等々。 その上、今夜は1人に1布団。2日分の睡眠不足も今夜解消できることまちがいなしです。 7月18日(月)晴れ 小屋(5:35)→船窪乗越(6:25~6:45)→船窪岳(7:10~7:35)→船窪岳第2ピーク(9:00)→不動岳(12:30~12:40)→南沢乗越(13:40)→南沢岳(14:40)→烏帽子田圃(15:20~15:35)→烏帽子分岐(16:00) →烏帽子小屋(16:40) 4時30分起床。目をさますと枕もとのすぐ上にある窓が明るい。目を凝らして外の様子を窺うと日の出には早いが、確かにガスもなく窓越しに不動岳が見える。今日も快晴の予感がする。5時朝食なので囲炉裏端の食堂に入ると、まだ薄暗かった小屋の中にサーと光が射し込んだ。日の出らしい。やっぱり快晴だ。今日のコースは歩行時間がもっとも長く、かつ昨日の険しい岩稜とアップダウンよりもさらに難コースのようだ。疲れも出てきているし、今日も1歩1歩着実にゆっくり歩こうと意思統一して小屋を出発する。小屋の人が、我々の姿が遠くになるまで鐘を鳴らして見送りしてくださる。まずは船窪岳をめざす。 船窪乗越までは、左手不動沢側の崩壊地を歩く。おそるおそる覗き込むと左側 は崩壊した岩石の谷、右側といえば草木こそあるものの鋭い傾斜地でえぐれている。今日の難コースを早くも実感させられる。船窪乗越から船窪岳への道もかなりの急登だ。船窪岳から不動岳に至る途中までは、ハラハラドキドキの難所の連続。最大の難所は船窪岳第2ピーク(2459m地点)付近の登りから始まる。そそり立つもろい岩稜にかけられたロープをよじ登ったり、鎖を頼りにすぐ下は崩壊した岩石の谷底になっているような所を岩にへばりついて渡ったり、左右両側とも花崗岩が崩れ落ちているやせ尾根を通過したり等々。やっと難所を過ぎ、しばし針葉樹林の中、お花を観察しながら歩く。見晴らしのいい稜線に出てからしばらくして不動岳に到着。ここまで何度も休憩しながら、お花を見てゆっくりと行動する。不動岳頂上からの眺望はすばらしく360度ぐるりと見渡せる。剣、立山、槍、穂高、そして針ノ木、蓮華等々。しばし360度の眺望を満喫し、一歩一歩進んできた我々の足跡に満足する。今朝、船窪小屋を我々より先に出発した地元・長野の女性2人組の姿が見え隠れしている。他は誰もいない。 南沢乗越を過ぎ南沢岳に到着。頂上は細かな白い砂礫で覆われ、コマクサが白い砂礫の中に点在している。白い砂礫が浄土の世界を思わせる美しい光景だ。烏帽子田圃にさしかかった頃、立山に雷雲がかかり、雷の音が聞こえてきた。不安がよぎる。 じきに雨がポツポツ降り出してきた。烏帽子岳頂上には登らず、小屋に直行することに決定。しばらくして雷の音も遠のいてきたので烏帽子田圃で休憩する。 池塘が点在し、周りはお花畑を形成している。白い小さな花びらのミネズオウが絨毯のよう。その中にピンクのハクサンチドリ、ウサギギクも色を添える。 山華蓉、キヌガサも可憐な白い花をつけている。しばらく烏帽子田圃の優雅で美しい風景を楽しんで小屋を目指す。前烏帽子岳に着いた頃、強風とガスがでてきた。ガスに包まれた前烏帽子から小屋までは意外に遠く、最後のコースとなる前烏帽子の岩を登り、やっと小屋に到着。先の2人組の女性も少し前に小屋に着いたとのこと。靴も脱がずにまずは、ビールで乾杯した。 7月19日(月)雨のち晴れ 烏帽子小屋(7:45)→三角点(8:35)→水場の手前(10:40)→登山口(11:05)→高瀬ダム(11:25)→葛温泉(11:45~13:00)→(13:15)タクシー信濃大町(14:02)→新宿(18:00) 今日は、ブナ立尾根を下るのみ。6時起床でゆっくり小屋を出る予定。 ザックを背負い出発しようとした矢先、大雨が急に降り出してきた。テントの若い女性のグループも慌てて小屋に飛び込んできた。雨具を着け出発する。風も強い。北アルプス3大急登の下りなので、膝の弱い私は覚悟をする。 しかし、昨日までの厳しい行程と比べると想像していたよりも楽に下ることができた。三角点を過ぎ、水場の少し手前の所で素敵なブナ林を見つけ休憩する。 先の長野の女性2人組とともに、ブナ林の中で安らぎのひとときを過ごす。 雨も上がり、時々光が射し込むとブナの林がパーと明るくなり、葉がキラキラと輝き、ブナ立尾根の名に恥じないすばらしいブナ林だ。登山口に出て濁沢を渡る。近くの山が崩れて土砂が流れ込んだということで懸命に土砂を取り除く作業をしている人たちに出会う。高瀬ダムからタクシーで葛温泉へ。1時間後に同じタクシーが迎えに来てくれる予定。温泉にゆっくりつかり4日間の汗を洗い流す。 昨夜はさすがに、体がべたべたして寝付けなかったほどなのでこの瞬間を待ちわびていた。何という幸せ! この4日間、雪渓あり、難所ありのコースを無事計画どおりに山行できたことに感謝します。Lの伊藤さん、SLの高橋さんありがとうございました。 そして残念ながら参加できなかった勝山さん、直前までお世話くださりありがとうございました。 今回の山行で見かけたお花 オダマキ イワカガミ ハクサンシャクナゲ コバイケイソウ コマクサ イワギキョウ サンカヨウ キヌガサ、ゴゼンタチバナ キスゲ チングルマ ショウジョウバカマ シナノキンバイ オンダテ コミヤマハンショウズル(高橋さんが小屋で調べた)タカネバラ ヨツバシオガマ ミネズオウ ハクサンチドリ ツマトリソウ ハクサンフウロ クルマユリ 記録 渡辺 |