Sankou2006-17


スケッチハイク2006

南 房 総

日 程  2006年5月20日(土)〜21日(日)

参加者 永嶋(先生) 深沢(L、5/20記録) 篠原(SL)山田(美) 山 本 和久井君 高橋み(5/21記録)。

5月20日(土) 曇り、時々雨                          (深沢記)

何回かスケッチハイクを計画しているけれどメンバーが全員揃うことはなかった。今年こそ全員参加を目標に日程を早めに決めその目的は達成でき、準会員の山田美奈子さんも参加して色を添えてくれた。
今年のメインは安房鴨川の「大山千枚田」。
20日に設定し期待していたのに、天気予報は日に日に傘マークが大きくなり、おまけに台風が来るという。仕方なく大山千枚田を諦める。  スケッチはたとえ小雨でも、描くことが出来ない。民宿に直行しそこで絵を描くこととし、往復バスコースを変更する。久里浜からフェリーで船旅と洒落てみる。民宿のある内房線九重駅に下りると、皮肉なことにそれまで降っていた雨が上がり青空が見えてきた。「大山千枚田を諦めるのは早まったか!」民宿のそばの里山風景を描くことにした。そこは新緑が美しい。名も無い山、5月の連休に植えた早苗の田んぼと麦畑の緑の世界である。青空はどんどん広がっていたが、台風の余波か
























風が強い。時々黒い雲が出てきて今にも雨が降りそうと、落ちつかない。何時でも逃げ込める民宿のそばで「正解だった」と思うことにした。風が強くて早めに宿で絵の仕上げをする。午後5時大粒の雨。

永嶋先生が一人ひとりにアドバイスをし、手を加えてくれる。おかげで私の絵でも何とか見られるようになった。

楽しみな夕食は近くのレストランでイタリアンのフルコース。民宿の旦那の道案内で着いたレストランは「注文の多いレストラン」 田んぼの真ん中にあった。そこには傘をさして行ったのに、帰りは外に一歩出たらなんと満天の星。月は無いが天は明るい。ところが足元は真っ暗、水溜りや田んぼに落ちそうで神経は足元に。そんな中「ファッ」と灯りが、蛍だった。1灯!2灯!3灯!大感激。 (てのひら)に光る蛍。

二次会は宿でマンボウの刺身を食べながらオーナーを囲みお喋りで盛り上がった。

5月21日 (日曜日) 快晴                         (高橋記)

今朝は、昨夜の水田を飛び交う蛍と頭上に降り注ぐ星から予期されたが、期待にたがわず快晴。でも暑くなりそう。晴れれば晴れたで贅沢というか我儘なことを考えてしまう。

9時、宿を出て、タクシー2台に分乗して城山公園へ向かう。丘に登ると里見氏第9〜10代の築城(1591年頃)になる館山城(里見城)が再建されていて桜の多い公園だ。鉄砲(やぐら)の上に望楼をのせ3層5階からなる古式様式を踏まえたこじんまりした城で、天守閣の内部は博物館・資料館を兼ねる。

公園の北側に館山湾が広がっている。城のある広場から少し下った所で、眼下に拡がる海を皆が描き出す。どこにしようかウロウロしている内に、永嶋師匠の絵は早くも形になっている。陽射しが強い。10時、私はもう少し涼しい日陰のところを求め、城の方に戻り、良さそうな場所を探す。斜面にミツバを見つけ20本ほど摘む。我が家にも一株だけあり黄色の花が咲くのだが、そのツワブキも沢山生えていた。これは食用になる。去年大平山の山行でわざわざ里山に採りに行くほど美味しいと聞いたので、これも摘んでみた。水洗トイレの傍のも摘んでしまう(山じゃないから倫理上まずいかしらという思いがよぎるが斜面に生えている雑草だし、まあいいか)。一面に咲くたんぽぽがニホンタンポポなのにびっくりした。

山菜取りに来たのじゃないのだから描かなくっちゃいけません。3時間半でどこを描くか、手指を額縁の形状にかざして構図を探す。自分が描きたいのと、描けるのとは自ずと違うので、その接点を探して歩く。城の裏手に腰を据え、遠く眼下に見える館山駅から大房岬まで弧を描く海岸線を取り入れ、手前に大きな樹木1本を配した構図に決めた。ごちゃごちゃと並ぶ家やビルの処理に苦労する。一つ一つ書いたら大変だし、どうごまかすのか苦労だ。下手だからデッサンだけで時間がどんどん経つのがつらいとこ。描き進めるにつれあちらを立てればこちらが立たずで、次第にデッサンの狂いが目立ってくる。見切りをつけて彩色にかかる。

永嶋師匠が来て「オレは3枚描いたよ」と言い、師匠は最後に館山城を描いていた。皆もやって来た。かなり暑くて閉口だったようだ。城の広場の木陰で昼食とする。

何しろ陽射しがきつい。描きあげてしまい城に入る者あり。城の中にNHKTV「新八犬伝」で使われた辻村ジュサブロー製作の人形が展示されている。1814年滝沢馬琴による「南総里見八犬伝」が世に出てから完成まで28年費やした日本で最も長い小説なのだというのは知らなかった。安房国分寺のおかれた館山は房総の中心として栄えるのだが、あまたの豪族を抑えてこの地を傘下に収めたのが里見氏。しかし一族は江戸時代初期に外様大名のゆえ鳥取に移封されてしまう。それら、歴史風土の展示も城内にある。

13時半でスケッチを切り上げ、14時館山駅で回転寿司に入る。生ビールがおいしい。館山といえば鯨なのか、ここでも鯨のニギリを食べた。このスケッチ旅行でミンク鯨の刺身とかマンボウの刺身とか鯨タレ(つち鯨の味付け干物)とか、珍しいものを食した。マンボウの刺身は真っ白くシャキシャキした歯応えがあり、わさび醤油でも胡麻ダレでも合う癖の無い味でした。

JRバスに乗り、海ほたるを経由して、まだ明るいうちに17時40分東京駅に帰着した。のどかな若葉青葉の緑濃い里山を描き、ひねもす春の海岸も描け、海の幸も味わえ、楽しいスケッチ旅行でした。絵の方の出来映えはどんなものでしょうか。

翌日夜、細くて長さもせいぜい20cmのツワブキ数十本を皮をこそげたり下準備に30分要した。白煮でフキの香りを先ず楽しみ、その後甘辛くしたが、細い割にフキより歯応えがある。手間暇考えると八百屋で買うフキのほうが手っ取り早いが、春の摘み草の余韻を楽しめた。ミツバも卵とじにして食べた。ちゃんとミツバが香っていました。ツワブキとミツバはスケッチの余禄のお楽しみというところ。

来年のスケッチ旅行を楽しみに、毎月2回の修練に励みましょう。

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