陽春の後立山連峰を縦走


遠見尾根から仰ぐ五竜岳

五竜岳山荘前テントから迎える来光

日程

2007年5月3日(木)〜5日(土) テント2泊

メンバー

渡邉 (単独)

山域

北アルプス北部・後立山連峰 五竜岳(2814m)〜唐松岳(2696m)

交通

往路:新宿〜神城(ムーンライト信州) 復路:白馬〜新宿(特急あずさ)

ルート
アルプス平 → 地蔵ノ頭 → 小遠見山 → 中遠見山 → 大遠見山 → 西遠見山 → 白岳 → 五竜山荘(幕営) → 五竜岳 → 五竜山荘 → 白岳 → 大黒岳 → 唐松頂上山荘(幕営) → 唐松岳 → 唐松頂上山荘 → 丸山 → 八方池 → 八方池山荘

竜岳山荘から見上げる白銀の五竜岳

アーベントロートに染まる唐松岳


 このGW、会山行として五竜岳登頂計画がありましたが、流れてしまったので単独で行くことにしました。  5/2、23:54新宿発のムーンライト信州に単身乗車。夜行で神城へ向かう。毎度のことながら、前夜ウキウキ病が発症し、目を閉じるもなかなか眠りに就けず。 5/3、日の出とほぼ同時に神城へ到着。西方の後立山連峰が朝靄に見え隠れしながらも陽光に輝いている。スキー場からのテレキャビンでアプローチの標高を稼ぐことになるが、始発の8:15まではいささか時間がある。駅舎で同じような単独行者と言葉を交わしたり、エスカルプラザ周辺に群生するカタクリに目をやったりして時間を過ごす。もはや雪多き地もスプリングエメフェラルかな。ついでにいうと、エスカルプラザ近くは恋人の聖地らしい、よくわからんけど。さて、テレキャビンでアルプス平に着き、横目にスキーヤーを羨みつつも、遠見尾根の登高を開始。やはり寝不足のせいか足取りが重い。小広い遠見尾根はスキーツアーでも楽しめそう。左手には鹿島槍北壁が険しく、正面には幾つもの岩峰を抱える五竜岳が大きい。小遠見、中遠見、大遠見、西遠見と小ピークを乗り越え、白岳の登りに差し掛かる頃、アイゼンを装着した。強風、そして急登。息も絶え絶えに、14:00過ぎに五竜山荘に着。今日はこの稜線に幕営する。正面には白く輝く五竜岳がますます大きい。強風そして単独行のため、幕営のための整地と天幕設営に少々手間取るも、無事にテントに落ち着いた。本日の夕食はボンゴレビアンコとスープ。鳴り響くテントに恋しい人を想ったかどうかはわからないが、一晩中風が吹き荒れ、テントは激しく揺れていた。  5/4、夜明けと同時に起床。一片の雲もない快晴。風も幾分収まっている。頸城の山々の傍らから出ずる朝日に目をやりつつ、身支度を整え7:00前に五竜を目指し発つ。雪面は硬く凍り付いている。アイゼンが効く。G0峰を巻こうと試みるも、急斜面の長いトラバースは危険と判断し、引き返して稜線に出ることにした。5cmも足を踏み外したら、地獄の閻魔にコンニチワだな。鹿島槍へと続く八峰キレットの急峻さが印象的。遠方には剱岳や立山も明確だ。雪稜を辿り頂上直下の雪壁を乗り越え、雪庇の張り出す五竜岳山頂へ到着。山頂からの景観をしばし楽しみ、早速下山に取り掛かる。周囲のパーティーの半分ほどがザイルを使用している程なので、下りには確実なピッケル&アイゼンワークが求められる。ゆっくり丁寧に行けば大丈夫。五竜岳山荘前にデポしたテントを撤収し、後立山連峰の主稜線を北上する。大黒岳が近くなると、岩と雪の痩せ尾根が続く。この辺りはアイゼンを着用したままでの岩場の昇降が必要。途中、喉を潤すため、その辺の岩に張り付いた氷を口に含みながら歩を進めた。昭文社地図によると、五竜山荘から唐松頂上山荘までのコースタイムが2時間30分となっているが、それ以上に長く感じた。唐松頂上山荘前にテントを設営し、この日の行動を終える。先ほど登り終えた五竜岳と明日登る予定の唐松岳がアーベントロートに染まっていく。この日の夕食のメニューも昨夕と同じ。夜半頃から再び風が強まった。

 5/5、起床するも辺り一面ガス。この日の行動予定を検討するが、視界は開けたり閉ざされたりの繰り返しのようなので、唐松岳を目指すことにする。出発から40分ほどで唐松岳登頂。風が強いがガスは殆ど晴れた。不帰ノ嶮の向こうに白馬三山が優美だ。唐松頂上山荘から唐松岳を往復する間は他の誰にも会わず、唐松岳の山頂も独り占めだった。テントに帰着するや否やすぐに撤収を開始、8:40に再び出発。あとは八方尾根を下るだけ。八方尾根に難所なし、順調に標高を下げ10:30には八方池山荘に着く。この辺りには一般観光者の姿も多い。リフトとゴンドラを乗り継ぎ下界へ。リゾートムード漂う白馬の街を歩き、白馬八方温泉「みみずくの湯」へ。地元の人と湯船で言葉を交わし、3日分の汗を流した。その後、運よく新宿直通のあずさに乗車することができ、車窓から登高を終えた山々に惜別の想いを馳せながら、東京へと向かった。


彼方には立山から剱岳へと続く稜線

峰キレットを隔てて迫る鹿島槍

五竜岳への朝の訪れ

写真・文章:渡邉

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