花崗岩の白砂と新緑の渓谷を巡る 

日 程

2007512日(土) 日帰り

メンバー

渡邉 元嗣(L) 他1

山 域

南アルプス前衛 日向山(1660m)〜尾白川渓谷

交 通

マイカー

ルート

尾白川渓谷駐車場 尾白川林道 矢立石 雨量観測機 日向山 雁ヶ原 錦滝 尾白川林道 不動滝 神蛇滝 百合ヶ淵 旭滝 千ヶ淵 竹宇駒ヶ岳神社 尾白川渓谷駐車場

 南アルプス前衛の日向山に登ってきました。花崗岩の白砂と新緑の渓谷を巡る山旅。場所的には、甲斐駒の北東の辺り。日向山は山梨百名山に数えられており、雁ヶ原という頂上付近の風化花崗岩帯が有名な山。尾白川渓谷は釜無川源流のひとつ。名水百選に数えられており、幽玄な渓谷美で有名。とりわけ新緑や紅葉の時期は美しいらしい。近くには、「南アルプスの天然水」で有名なサントリー白州工場があります。尾白川渓谷入口を基点とし、日向山と尾白川渓谷を周遊するプラン。途中、林道が崩落し通行止とされている箇所がありましたが、無視。矢立石まで尾白川林道を車で乗り入れれば、3時間程度で日向山を往復できるが、それではいささか物足りない。


 尾白川渓谷入口にある駐車場までクルマで入り、身支度を整えて出発。ここからはクルマで来た道を若干戻る形となる。鳥の囀りを聞き、新緑の輝きを浴びながら、舗装された林道を歩く。クルマの往来は少なくない。おそらく皆、日向山を目指すハイカーであろう。この道の先は崩壊しており、それ以外の行き先は考えられない。林道から登山道に入り、地味なアルバイトを続ける。そして、日向山登山口である矢立石に着。15台ほどであろうか、林道の路肩には進入してきた車両が停められている。矢立石から日向山に向かう登山道はよく整備されている。「1/1010/10」と示された標識が順に立てられており、山頂までの行程が把握しやすい。新緑の間から、左手には南アルプス、右手には八ヶ岳が顔を出す。いずれも上部には未だ雪を残している。高めるにつれ、甲斐駒ヶ岳の雄姿が大きくなる。黒戸尾根の様子がよくわかる。そして、クマザサとカラマツの新緑が鮮やかだ。AMEDAS雨量観測機を過ぎると、日向山の頂は近い。日向山の山頂には二等三角点があるのみで、周囲は樹木に囲まれ展望はない。日向山の魅力は山頂ではなく、風化花崗岩で形成された山上の砂浜、雁ヶ原にある。足下に踏む赤土が次第に白砂にかわると、雁ヶ原は近い。雁ヶ原に飛び出ると、視界が急に開ける。まさしく飛び出るといった表現が適切で、ここからは別天地といったところだ。周囲を見渡すと、長大な黒戸尾根を従えて聳える甲斐駒ヶ岳と、南北へ緩やかに裾野を広げる八ヶ岳が印象的。白砂の上に腰掛け、ここでおにぎりの昼食。
 そして、下山開始。矢立石〜錦滝、錦滝〜林道終点はそれぞれ林道が決壊しているため、それに併せて日向山〜錦滝、錦滝〜不動滝の登山道もそれぞれ通行止とされている。事前の情報収集により、徒歩での通過は可能と判断できたので、通行止の標識には従わず、予定通りのルートを進んだ。蟻地獄のような砂の斜面を下って錦滝を目指す。砂走りの技術を使えば、効率よく下ることができる。再び樹林帯へ入り、錦滝へは急な下りが続く。ところどころロープや鎖が設置されている。水沫の音が聞こえ始めると、錦滝は近い。錦滝では再び尾白川林道に出合う。東屋があり、ここで小休止。通行止の影響か、周囲に人影はなく、雁ヶ原からここまで他の誰にも会わず。林道を左へ進めば矢立石に戻るが、ここは右へ林道を進む。しばらく歩くと、比較的大規模な土砂崩れで林道が完全に崩壊している場所があるが、歩いて通過する分には無理はない。さらに、尾白川渓谷道を目指し、左手へ下る。鉄階段や吊橋を通過すると、尾白川渓谷上流部に辿り着く。
 尾白川の渓流を眼下に、渓谷道を下る。やがて尾根沿いの道と沢沿いの道との分岐に出合う。「沢沿いは滑落の危険があるため下山禁止」との標識が。沢沿いは登り、尾根沿いは下りという周回型の一方通行になっているようだ。標識を無視し、沢沿いを下ることにする。木々の間から、三段釜の神蛇滝が姿を現す。新緑と飛沫のコントラストがキレイだ。これだけ深い渓谷であるにもかかわらず、明るさを残しているのは、花崗岩の白さのお陰であろう。渓谷道は渓流に近づき、アップダウンを繰り返しながら標高を下げてゆく。最後の吊橋を渡ると、甲斐駒ヶ岳信仰の面影を残す竹宇駒ヶ岳神社へ。結局、雁ヶ原から神社まで他の誰ともすれ違うことはなかった。駒ヶ岳を祀る社は数年前に焼損したらしいが、真新しく建て替えられていた。御神水で手を清め、日が暮れかける頃には駐車場へ戻った。




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