雪山山行  会津 荒海山
日程:2009年1月11日〜12日
参加者:L蓬生 SL田口 新美 丸山 佐藤
コースタイム
車利用 東京発6:20==東北道 日光道経由==9:45中三依 太郎温泉(出発準備)10:17──(林道歩き)──10:35入山山荘(除雪終了ワカン着用)10:42──(スノーモービルの通過跡に助けられる)──12:15タケノ沢堰堤(ルート調査)12:40──13:30テント設営945m地点の樹林の中      消灯21:00

新栃木ルートで積雪期荒海山(太郎岳)に登頂!

 

1月11-12日の連休に荒海山(太郎岳)に登頂した。この山は栃木県と福島県の県境に位置し、福島県側からのルートはよく知られていたが、栃木県側からは長い間登山道がなく、最近になって地元のひとが登山ルートを作ったばかりらしい。私たちは昨年近くの芝草山に登ったが、今回は林道をもう少し進んで、例によって、あまり人が行かない山に登ることになった。

当初の計画では、沼ノ沢沿いの入山沢林道で826m地点から尾根に取りつき、920m辺りで幕営。翌日、尾根を登り1071m地点を通過し、1430m附近で荒海山(太郎岳)東尾根に到達。それから尾根を1200mほど山頂に向かって西へ進んで登頂しようという計画だった(と思う)。というのは、荒海山(太郎岳)の直下は急傾斜で岩が多く、とても登れるものではないと考えられたからであった。しかし、1日目の天候は曇っていて地形がよく見えず、林道の様子も事前に調べておいた状況とは随分違っていた。林道は826m地点で途切れていて(雪に隠れていた?)私たちは左側に枝沢を進んでしまった。あとで気づいたのだが、工事中の大きな堰堤があり、ここから予定していた尾根のひとつ西寄りの尾根に取り付いてしまった。翌日になって尾根を上がっていくと、北東側に正しい尾根が見えた。しかし、トラバースすることはせず、そのまま直登し、1300m付近から山頂近くまで数箇所の大きな岩を巻きつつ急勾配の斜面を登り、山頂に到達することができた。幕営点から約4時間半であった。

栃木県ルートはまだよく知らおらず、積雪期の記録はインターネットでも見ない。直登ルートは、おそらく初めてではないかと思われる。ということで、2009年の初登山はいくつかのミスはあったが、良い結果に結び付いたという幸運な山行であった

10:07 中三依液から3kmほど奥へ入った太郎温泉近くに車を止め、出発準備をします。途中タイヤチェーンの片側を紛失していました。帰りが少し心配です。

都内から中三依・太郎温泉へ

いつものように佐藤さんの乗用車に乗せて戴き、中三依に向かう。昨年は野岩鉄道に乗って降りた駅である。川治温泉を過ぎたあたりから路面に雪がつくようになり、車輪がスリップしはじめた。途中でタイヤチェーンを取り付け、快調に太郎温泉に向かう。中三依駅前からは懐かしい道であった。芝草山も見える。太郎温泉で駐車するためUターンをしていると、どうも車の動きがおかしい。よく見ると右前輪にチェーンがない。どこかで落としてきてしまったらしい。スノーモービルを積んだ軽自動車が通りかかり、運転手に聞いてみても知らないという。トンネルの中??帰りのこともあるので、探しに戻った。でも見つからない。「まあ、帰りは下りだし、なんとかなるさ」ということで、再び太郎温泉へ。

10:25 林道も15分ほどの先の入山山荘までは除雪したありましたが、その先はしてありません。ワカンを履くことにします。、
10:33
10:37 林道はスノウモービルの通過跡で大変歩き易く、大いに助かりました。林道終点まで1時間半通過跡がなければ3時間はかかったでしょう。
12:32 堰堤につきました。情報よるも周囲の状況が大きくに変化し、場所の特定ができません。地図の林道ルートと全く異なります。漸くのことタケノ沢と確認できましたが、それでも地形の確認は判然としません。

太郎温泉から登山口へ

準備を整え入山沢林道を進む。林道は除雪してあり、比較的楽に歩けた。途中に芝草山登山口の立て札。これを過ぎて入山荘に着くと、先ほどの軽自動車が止まっていて、ここからはスノーモービルが林道のトレースを描いていいた。2時間弱をかけて太郎岳登山口の標識まで到達した。しばらく進むと826m地点なのだがスノーモービルのトレースがあったので、あまり考えずに前進した。工事中の大きな堰堤の前に3-4台のスノーモービルが止まっていた。どうも、ここから山中に入ったらしい。トレースは大きく迂回して尾根に向かっている。私たちは、地図を広げて取りつく予定の尾根を探してみたが、どうも地形がはっきりしない。沢が分かれていて、すこし地図と違うのである。少し引き返してみても、よく分からなかった(ようだ)。スノーモービル隊のトレースもあることだし、ここが取りつく尾根だろうと見当をつけた。トレースは山頂に向かって右側の沢の右岸を進んでいたが、私たちは右側の沢の左岸を進み尾根を登った。つまり、2つに分かれる沢の中央の尾根に取り付いたことになる。

堰堤に止まっていたスノーモービルの4台の車両です。何の目的できているのかさっぱり分かりません。林道歩きには大いに助けられました。この方たちに再度、蔭で世話になるとは思いもしませんでした。
12:40堰堤から右の斜面を登れば目的の尾根と判断し、尾根に取り付きます。画面左にある小さい雪に覆われた沢を軽く見たのが後に大きな誤りの元となりました。
12:58 途中やや厳しい登りもありましたが、当初予定の950m地点に平坦な場所にテントを張ることにしました。
13:46 雪はしっかりあり、立派なトレースが出来ました。
13:25 整地をしてテントを張る準備です。
13:47 快適なテントサイト 風もなく満月も出て寒さもそんなに感じません。新美コック長のこった茸鍋を味わい、歌って飲んでのんびりとした夜を過ごしました。ただなんとなくこの場所でよいのか不安感は持ちました。横にあるはずの尾根は見えず。広々した尾根のはずがそうでは会いませんでした。

登山口から幕営点へ

急傾斜を100m余り登ると平坦な場所に到達し、ここにテントを張った。おおよそ予定通りの標高に幕営に適した場所があったので正しい尾根にいるものと安心していた。(リーダーはちょっと心配だったのか、すこし前方まで偵察しに行っていた。)いつものようにビールで乾杯をして夕食までの時間を過ごした。夕食は、新見さんのキノコ汁であった。翌日のラッセルに力を蓄えることができた。12月の赤岳・行者小屋では周りのテントに気兼ねして歌えなかったが、今回は誰にも遠慮する必要もなかったので、歌謡集の初めから終わりまで十分に歌うことができた。風がなく比較的暖かい夜を過ごした。しかし、どうもテント場から見える山頂の位置が地図から想像する位置と違うようであった。

1月12日(月)
コースタイム
起床4:30  出発6:35──7:30トレース跡1080m地点〜1300m地点──岩が点在する急斜面の樹林帯をラッセルが続く──10:57荒海山山頂(展望を楽しむ)11:22──12:33テントサイト到着 撤収 天候が急激に悪化──13:20タケノ沢堰堤──14:42入山山荘(ワカンをとる)──15:10太郎温泉駐車地点==(日光市内で食事)==今市IC==(日光道・東北道経由)  20:00頃 帰京
7:15  予定通り6:30に出発しますが、地形もおかしく赤布もまったくありません。1100m地点の大きなガレもなく、間違った尾根であることを確認しました。しかしながら行けるとこまで行こうとのことで先に歩を進めます。
7:24 なんと1080m付近から1300m付近まで立派なトレースがついていました。スノーモービルのメンバーがつけたものでしょう。何の為に登山?それともハンター  分かりません。しかしながら大いに助かりました。1時間は節約できたでしょう。雪も多くラッセルラッセルです。
7:39 太郎山へ向かう別の鋸状の尾根です。
8:21 傾斜は厳しく交代でラッセルするもなかなか雪の壁に大苦戦です。
9:03 昨年の同時期に登った芝草山と同じ高さに登ったようです。
9:04 正規ルートの標高1400m付近の県境尾根の岩がハッキリと見えてきます。
9:12 雪の壁に立ち往生です。
10:22 交代でラッセルをします。傾斜が急なだけに高度も充分稼げるのが分かります。
10:50
10:53

10:54
10:55
10:56
10:59

幕営から山頂へ

翌日は快晴。山頂に向かって尾根を進んだ。前日リーダーがつけておいてくれたトレースも間もなくなり、1年ぶりのラッセルが始まった。雪の深さは膝下くらいで、案外楽なラッセルであった。しかし、右側に見える尾根がどうも正しい尾根で、自分たちのいる尾根が間違っているような気配がしてきた。進むにつれて、それは確信に変わっていった。ということは、私たちがこのまま前進すると進路は急勾配となり岩が立ちふさがるはずなのであった。気分は重くなり、隣の尾根にトラバースしようかということも検討されたが、「まあ、このまま行けるところまで行ってみよう」ということになった。足取りはやや重くなりラッセルもキツクなっていった。しばらく進むと、突然、右側斜面からトレースが現れた。なぜか、私たちがハマってしまっている尾根筋を進んでいる。なんだ、やっぱりこれでいいのか!などと考え、いったいどちらの尾根が正しいのか分からなくなった。とにかく、トレースがあるし、楽に進めるので快調に高度を稼いだ。しかし1300m附近でこのトレースは尾根を左に外れ、谷筋へ降りていってしまっていた。どうも鹿を追いかけているようであった。仕方なく、再び本格的なラッセルが始まった。斜面は急勾配となり、腰から胸あたりまで雪が積もっている。大きな岩がいくつも現れて、右に左に進路を巻いて進んだ。高度が上がるにつれて傾斜は更にきつくなり、前進しようにも膝を前に出すスペースが取れない状態であった。やはりこのルートでは頂上に辿り着けないのではないのだろうかとも思った。急に天気が変わり、冷気が身を覆う。ラッセルに励む先頭以外は、待ち時間が長くて体が冷えて、ブルブルと身が震えた。最後の岩を巻くときには、足場も得られず枝につかまってよじ登った。この岩の左側を過ぎると、少し傾斜が緩やかになった。直登コースのゴールが見えた瞬間であった。ここまで4時間以上がかかった。結構大変だったが、それでも予定していた尾根を進むよりは早く山頂近くに到達できたようであった。予定ルートは稜線に到達してから1000m以上進まなければならなかったが、私たちは山頂直下にいたからである。緩やかな傾斜を少し進むと山頂に着いた。どういうわけか、再び急に青空が広がり、360度の大パノラマを楽しむことができた。

0:55
11:02
11:04
11:05
11:05
11:08
11:09
11:10
11:22
11:24

下山

登るのにかなり難渋した斜面であったが、下りはあっという間であった。幕営点に到着すると急に風が冷たくなり雪が降り始めた。テントを撤収し、急いで太郎温泉に向かった。途中で、4台のスノーモービル隊に追いつかれた。話によると熊を狙っていたらしい。尾根筋の途中にあった彼らのトレースなしには山頂には辿りつけなかったであろうと感謝して後ろ姿を見送った。太郎温泉あたりでは積雪はそれほどでもなく、片輪チェーンでも問題なく中三依駅前まで下りることができた。落としたチェーンを探しながら国道を戻ったが、とうとう見つけることができなかった。鬼怒川温泉近くのラーメン店でラーメンと餃子をお腹一杯食べて帰路についた。

12:26
ベテラン衆談:今回はミスがあったが、それが良い結果に結びついた。途中のトレースがなければ、時間切れで引き返していただろうし、予定ルートを登ったとしても、稜線が長くて、やはり時間切れになったかもしれない。岩を巻けたのも、枝につかまることができて、積雪量が丁度よかったからだろう。急に天候が変わる日だったが、頂上では晴天に恵まれ、展望がよかったのは幸運であった。




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