白馬連峰をプチ縦走


日程 2008年5月3日(土)〜4日(日) 前夜発・テント1泊
メンバー 渡邉 元嗣(単独)
山域 北アルプス北部・後立山連峰 白馬岳(2932m)〜小蓮華山(2769m)〜白馬乗鞍岳(2437m)
交通 往路:新宿〜白馬(ムーンライト信州) 復路:白馬〜新宿(大糸線・中央線)
白馬大雪渓を往く
大雪渓上部から見る杓子岳

ルート
猿倉 → 白馬尻 → 大雪渓 → 葱平 → 白馬山荘 → 白馬岳 → 馬の背 → 三国境 → 小蓮華山 → 雷鳥坂 → 白馬大池(泊) → 白馬乗鞍岳 → 天狗原 → 栂池自然園

ガス巻く葱平
杓子岳と鑓ヶ岳

 5/3〜4、スキールートの視察を兼ねて、後立山連峰北端の白馬連峰をプチ縦走してきました。テント1泊の単独。今回踏んだ主なピークは、白馬岳(2932m)、小蓮華山(2769m)、白馬乗鞍岳(2437m)。白馬大雪渓および白馬乗鞍岳〜栂池自然園は、山スキールートの定番となっているが、白馬岳〜小蓮華山はスキーが使いにくいとの情報もあり。今回はツボ足で歩いてみて、この時期の雪の様子を確認することにしました。スキーベンチャーくらいは持っていけばよかったかな?


白馬岳登頂
清水岳、背後には日本海

 5/2、23:54臨時夜行列車のムーンライト信州で新宿を出発、同列車の終点である白馬へ向かう。前日からの疲れの影響か、着席するや否や眠りに陥った。


小蓮華山と頸城の山々
雪倉岳から続く栂海新道

 5/3、目覚めると既に夜が明けている。常念山脈に後立山連峰、北アルプスの峰々が朝の光に輝いている。5:36、ムーンライト信州の終着駅である白馬に到着。5:45発の猿倉行きの松電バスに乗り換える。6:12、今回山行の登山口である猿倉に到着。GWもいよいよ本番、猿倉の駐車場はマイカーで溢れている。予想通り、山スキーヤーが多い。村営猿倉荘で身支度を整え登山計画書を提出、6:30過ぎには林道を歩き始める。蛇行する林道をショートカットし標高を稼ごうと、トレースを外れ雪の急傾斜を登ったが、これが失敗だった。いつの間にか杓子尾根に取り付いてしまったよう。杓子尾根ルートも魅力的だが、今回の目当ては大雪渓のため、白馬尻方向へ軌道修正を図る。杓子尾根を下り、双子尾根を乗り越えて、ここまで1時間強のタイムロス。日光が照りつけ、額から汗が滴る中、大雪渓の取り付きである白馬尻へ着。無雪期の白馬尻には山小屋が営業しているが、雪崩多発地点のため積雪期は小屋が解体されている。右手に白馬主稜、左手には双子尾根、背後には頸城の山々を望みながら、標高を稼いでいく。白馬大雪渓といえば、雪崩や土砂崩落の恐れがあるが、この時期に雪渓中央部を行く限りでは、危険度は高くないよう。ただし、急峻な尾根筋では目の前で常に小規模な雪崩が起こっている状態なので、シールで斜登高する際には、雪渓の両端にあまり近付き過ぎないようにしたい。大雪渓を詰めると、杓子岳と鑓ヶ岳の展望が待っていた。紺碧の空がガスに見え隠れしている。稜線を右手に折れ、ここからは主峰の白馬岳を目指す。頂上直下の白馬山荘で小休止した後、14:15頃、白馬岳に登頂。小広い山頂に立っていた人は10名程度。


白馬三山を振り返る
雷鳥坂も恋の季節

 白馬岳登頂後、さらに北上。馬の背の急斜面を下る。この部分のみ念のためアイゼンを着用したが、照りつける日光で雪が緩んでいたためキックステップで充分だった。栂海新道との分岐となる三国境を経て、当方の小蓮華山へ。小蓮華山は長野と新潟の県境に位置する山であるが、新潟県の最高峰である。山頂には祠と鉄剣が祀られ、白馬連峰でも宗教色の強い山であるが、近年の土砂崩落により山頂付近に立ち入ることはできない。午後になって徐々に風が強まっている。多少強行軍であるが、今日の行程は白馬大池まで。白馬大池周辺のハイマツ帯にテントを張れば強風を避けられるからだ。そして、翌日は混雑する時間帯を避けて帰京できる。小蓮華山を越えてからも、小ピークのアップダウンが続く。雷鳥坂では、繁殖期の雷鳥のカップルに出会い、仲睦まじい姿を見せ付けられる。17:30頃、白馬大池に着。山荘や湖面は雪に覆われ、夏には人の賑わう光景も、今は静寂に包まれている。風はさらに強まり、気温も低下してきているので、整地とテント設営を手短に済ます。今日の夕食は、サイコロステーキ。食事を済ませた後は、早々にシュラフに潜り込んだ。


雪倉岳への落陽
白馬大池で迎える来光

 5/4、快晴だが強風。頸城の山々の上に太陽が立ち上る。5:30起床、行動食と珈琲で簡単に朝食を済ませる。早々にテントを撤収し、6:30頃には下界に向けて歩き始める。安山岩が山積する白馬乗鞍岳の東側には、滑走に適した広大なバーンが存在している。その直下には天狗原の雪原が広がり、いくつものシュプールが刻まれている。シリセードも快調。ここはバックカントリー愛好家にとっては、天国だろう。天狗原にベースキャンプを構え、来る日も来る日もスケールの大きいオフピステに挑むといった過ごし方も悪くないかもしれない。昨年登った鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、今回登った白馬三山に惜別の思いを感じながら、栂池へと下る。

 栂池パノラマウェイの発車時刻を早めてもらい、8:20に発車。ロープウェイとゴンドラとを乗り継ぎ、スキーヤーと観光客で賑わう栂池スキー場へ到着。9:33、白馬行きの松電バスに乗車するも、周辺道路の渋滞の影響で、10:00白馬発の大糸線には乗り継げず、次の列車までの約2時間半を潰すことになる。そこで、昨年も立ち寄った、白馬駅から徒歩10分程度の場所にある日帰り温泉、みみずくの湯で汗を流してくることにした。12:26発の大糸線に乗車、松本で中央線普通列車に乗り換え、更に小淵沢でホリデー快速ビューやまなしに乗り換える。乗り継ぎの待ち時間含め、白馬から7時間半かけて家路に就いた。


後立山連峰と鯉幟

写真・文章:渡邉 元嗣

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