石楠花と渓谷美の黒金山


日程 2008年6月7日(日) 日帰り
メンバー 渡邉 元嗣(単独)
山域 奥秩父 黒金山(2232m)
交通 往路:マイカー 復路:マイカー
前衛ピークから望む黒金山
大久保の滝

ルート
西沢渓谷入口 → 渓谷道 → 黒金山登山口 → 牛首のタル → 黒金山 → 牛首のタル → 黒金山登山口 → 森林軌道跡 → 西沢渓谷入口


 奥秩父の黒金山(2232m)に登ってきました。黒金山は奥秩父の主脈縦走路から外れ、乾徳山の隣に位置します。山梨百名山の1座に選出されていますが、人気の乾徳山と比較すると、行き交う人も少なく、静かな雰囲気に包まれている山です。西沢渓谷道の最深部よりルートが延びています。実は、今回辿ったルートは数年来温めていたプラン。西沢渓谷の水量が増え、登山道にシャクナゲが咲き乱れるこの時季に、是非とも登ってみたかった。


三重の滝
母胎淵

 4:00にマイカーで自宅を出発。4:00ともなると薄明るくなっている季節になった。調布ICから中央道へ、勝沼ICからは国道140号で雁坂トンネルへ。6:00過ぎには西沢渓谷駐車場に到着する。時間が早いため、駐車スペースにはまだまだ余裕がある。西沢渓谷は景勝地として人気があるので、時季と時刻によっては渓谷入口に程近い駐車場は満車となり、道の駅隣の駐車場から歩かなければならない。行き先は釜ノ沢か鶏冠谷か、メットに登攀具を装着したパーティーが2組いた。


次々と変化する渓相
方杖橋より
七ツ釜五段の滝
渓谷道最深部、不動の滝

 空を見上げると、今にも泣き出しそう。6:20頃、駐車場から林道を歩き始めると、1粒2粒の雨が肩を叩いた。ナレイ沢を渡ると、右に渓谷道、左に旧森林軌道と道を分ける。渓谷道が登りルート、旧森林軌道が下りルートと、一方通行になっている。鶏冠山を大きく望める二俣吊橋を渡ると、右手に東沢への入渓ルートがある。ここからは次々と現れる滝のパレードだ。ビューポイントに観瀑台が設置されている。大久保の滝、三重の滝、人面洞、竜神の滝、恋糸の滝、貞泉の滝、母胎淵、カエル岩とほぼ等間隔で渓谷の見頃が続き、ハイカーを飽きさせない。渓谷道は平坦で整備が行き届いて歩きやすいが、濡れていて滑りやすかったり、谷側が切れ落ちている箇所もあったりするので、しっかりとした足下でしっかりと歩きたい。方丈橋を渡ると、西沢渓谷のハイライトである七ツ釜五段の滝へ。名瀑百選にも選出されている滝であるが、とりわけ上部が美しい。エメラルドグリーンに輝く釜が幾重にも連なる様に目を奪われる。渓谷道最後の滝、不動の滝を過ぎると、旧森林軌道に向かって一気に標高を上げる。登り切ったところでトイレと休憩所がある。


群落を作るアズマシャクナゲ
礫岩に咲くコイワカガミ
バイカオウレン、キンポウゲの仲間
トロッコの廃線跡に沿って下山

 渓谷道の終点、旧森林軌道の基点が黒金山の登山口となる。この辺りもシャクナゲの見所となっているが、花期はもう終わってしまったようだ。黒金山登山口からは九十九折の急登で一気に標高を上げる。シャクナゲの木が多く見られるが、キレイな花を咲かしているものはない。地面に落ちたシャクナゲの花弁は、無造作にポイ捨て去れたティッシュのようだ。もう少し登ったところで期待することにしよう。標高1700mを超えると、シャクナゲの花が増える。シャクナゲのトンネルの中を進むようだ。アズマシャクナゲは若い花ほど色が濃い。蕾は深紅、花を咲かすと紅色が薄れ、やがて白く色素がなくなったところで花を落とす。この時季の奥秩父の山では、標高差を通じてシャクナゲの一生を見ることができる。平地では同じ種の花は同時期にのみ花候を得られないが、山地では標高差によって同じ種でも様々な花唇を楽しめるのがよい。稜線に出ると、アップダウンを繰り返し、黒金山の頂へ到着。今日はガスで展望はゼロ。シャクナゲのトンネルを駆け下り、登山口からはトロッコ軌道跡を辿り、西沢渓谷入口へ。


鶏冠山と二俣吊橋
淡い色付きのサラサドウダン

写真・文章:渡邉 元

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