残雪と新緑と花の東北山行
朝日連峰 主脈を歩きました
期  日:20086.13〜16日(前夜発)
参加者:L佐藤、SL井上、福井、渡辺(元)、原、川田
コースタイム
6月12日 
品川発20:00──(東北自動車道・山形自動車道)──3:25日暮沢登山口 避難小屋(仮眠)
6月13日
 起床6:30 出発7:25─9:18ゴロビス沢水場─10:25標高1350m付近 滑落事故で治療10:45──11:30清太岩山──12:41ユーフン山──13:45竜門山──14:15竜門避難小屋【泊】
6月14日
 天候悪く竜門避難小屋で停滞(雨風非常に強かった)【泊】
  午前8時40分岩手南部大地震を感じる
6月15日 
竜門避難小屋出発4:45──4:57竜門山山頂──6:05西朝日岳──7:20中岳を巻く──7:37金玉水──7:47大朝日岳避難小屋7:55──8:13大朝日岳山頂(休憩)8:34──8:43大朝日岳避難小屋─急な雪田を下る─9:17銀玉水──9:53熊越──10:35小朝日岳──11:25古寺山──12:55残雪の中でルートを誤り引き返す12:15──12:30三沢清水(大休憩・水の補給)13:10──13:34古寺への分岐──15:53日暮沢登山口着===17:10JR左沢駅(原さんと別れる)==日帰り温泉 柏稜テルメテルメ(夕食) 鶴岡市でガソリン補給==22:37倉沢登山口(テント設営)  24:20就寝


毎年6月は恒例になったように梅雨前を狙っての東北山行です。今年は久しぶりの残雪の朝日連峰の縦走を狙うが、車のやりくりが登山口と下山口での調整がつかず、日暮沢から竜門山へ登り、北へ散歩がてらに寒江山まで往復してから、大朝日岳〜小朝日岳〜日暮沢へと戻るコースにしました。

基本的にはルート上に2ヶ所ほど嫌な残雪の残り方をしている以外は快適な残雪散歩とお花畑を楽しむ超ゆっくりの山行を目指しました。6月12日22時に品川を出発し、順調に東北道、山形道を通り深夜3時過ぎに日暮沢小屋に到着、小屋には誰もおらず、新しく整備も行き届いた立派なマンション並の小屋だ。

立派な日暮沢小屋です
新緑の急な尾根を登ります
雪解けの直後 リュウキンカの群生です

尾根道は早咲きの高山植物が目を楽しませてくれました。

標高1000メートルを超すと残雪がしっかり残っていました。軽アイゼンをつけましたが、チョット油断したのでしょう。滑り始め
あわてて止に入った私(佐藤)と共にずるずると斜面をゆっくりと下の潅木帯近くまで20mほど滑りました。
原さんと一緒に滑落した小斜面
滑った後たいしたことはないだろうと思っていましたが左腕の表皮が幅4cm長さ18cmほど薄く剥がれていました。出血はありません。ガーゼやテープで応急処置をしました。    応急処置をした後の記念撮影です、遠く月山が立派に見えます。

清太岩山に向かって雪田の上を歩きます。このころまでは天気が良く、やや風が強い程度でした・

小朝日岳〜大朝日岳〜中岳〜西朝日岳への長々続き稜線です。このルートを歩きます。
だんだん大朝日岳が近くに迫ってきます。

竜門山に向かって今日の最後の残雪の登りです。キックステップのトレースを慎重に登ります。

                           本州中央には少ないヒナウスユキソウの群落です
竜門小屋です。遠く月山がはっきりと見えますが、写真では分からない強風が吹き始めました。

6月13日  3時間ほど仮眠をし、出発をする。直ぐ急な尾根道を登るが新緑が美しく高山植物があらわれあきずに皆快調だ。竜門小屋までコースで時間もあり、あせる必要がない。標高1000m付近より残雪があらわれ、薮と残雪の中でルートを捜しながらの登り、標高1300mで残雪が多くなり、軽アイゼンを着け、ストックを付け登り始めると、前を歩いていた原さんが足を滑らし、あわてて私が止めに入るが止めきれずに、二人でずるずると20mほど滑る。滑りながらもまあ下まで行けば止まるなあとの落ち着いた感覚であった。私は雪の切れる2m手前 原さんは雪の端までゆき止まった。原さんはまあなんともないだろうと思ったがよく見ると左上腕に雪で擦り表皮が剥がれている、出血はない。皆で大きな絆創膏やテーピングを行う。小さい斜面で軽アイゼンさへつければ安心だの気持ちで油断をしていた。今後は充分注意をしなければとの思いで出発する。このあたりから大朝日岳からの残雪の稜線が素晴らしく迫ってくる。素晴らしいとカメラで映りまくる。ユーフン山を越えるあたりから風が強まってくるが景色も素晴らしい。竜門山の雪の斜面は予想して、慎重に一列のキックステップで登りあがり、調べたより斜面もゆるく安心して通過する。竜門山では風が強くなり、お花畑が多くなった斜面を楽しむ間もなく竜門小屋に逃げ込む、この小屋も美しく整備された小屋だ。もちろん室内トイレも水洗である。しかしながら風はますます強くなり雨も混じって吹きつける。小屋は快適で誰もおらず有難さを感じながら明日はどうなるのかの思いで就寝する。

強風が吹き、天候が悪化の兆しです。

水を汲むのも強風で大変です。

立派で快適な竜門小屋です。14日は停滞しましたが、風雨が吹き荒れ次から次へと登山者が避難に飛び込み、宿泊者が24名にもなり、小さな小屋は満杯になりました。

6月14日  今日は停滞だ。岩手南部大地震も味わった。

夜中じゅう雨風は吹きまくった。朝も吹きまくっている。今日は停滞だ。今日の天気はどうなのだろうか、午後から回復すれば寒江山の方へ残雪散歩を高山植物を見に行きたいとの気持ちだ。8時43分 突然堅固な小屋が揺れ始めた大地震だ。結構ながく揺れた。どっか被害を受けたなあと皆で話し、ラジオを付けると岩手県南部に震度6強の大地震、被害状況は把握できていないとの報道であった。

雨風は止む気配なく、11時ごろに登山客が飛び込んでくる。そして次から次へと小屋に避難してくる。結局夕方までに24名の登山客がここへ泊まることになった。夕方 原さんが包帯が皮膚に固着しているので見てくれとの事で、見ると皮膚がグジュグジュの状態になっている。すっかり忘れていた。なんということだ。

表皮が剥がれることは皮膚が全く無防備なのだ。包帯だけでは治療は出来ないとの思いの中、井上さんが抗生物質入りの軟膏を持参していた。そしてナプキンも。なんと周到な準備をされていることか、頭が下がりました。治療を終え、まずは一安心と明日の天候回復を祈って就寝する。

6月15日待望の晴れ 素晴らしい日の出が見られました。
朝日に以東岳への稜線が赤く染まって来ました。

大朝日岳への稜線に少ないながらも花が咲き始めています。今年はやや全体に開花が遅いようです

西朝日岳付近より飯豊連峰がくっきりと見えます
飯豊連峰と記念撮影です
稜線は雪庇が豪快に崩壊し始めています
中岳から金玉水へ下る道に大きく雪田が広がっています。遊びながら快調に下ります。

大朝日岳手前の大雪田です。渡辺さんが遠くに点のように見えます

大朝日小屋の前の鐘からみる左から西朝日岳 右 中岳です
大朝日岳山頂での記念撮影です
最大の難所 銀玉水への大雪田の下りです。写真では見えない急勾配で上部から下部は見通せません。
原さんは軽アイゼンをつけ慎重にくだります。
大朝日岳と小朝日岳との鞍部に素敵な樹林帯が広がります。

小朝日岳よりの大展望です。 左から大朝日岳 中岳 西朝日岳 竜門山と今日歩いた縦走路が一望されます。大展望はここで終了です。

小朝日岳から下りにところどころに清楚な花が咲いています

6月15日  

天候は素晴らしく晴れ上がり以東岳までの残雪の稜線が、くねくねと続いている素晴らしい。途中 原さんの傷口をチェックするが抗生物質の軟膏のお蔭か左右の手の浮腫みの差はないようだ。ザックの上げ下げに傷口が傷み助けが必要だ。

西朝日岳、中岳そして大朝日岳まで素晴らしい残雪の稜線が続き、ところどころ雄大な雪上散歩と高山植物を楽しみながら快調な散歩であった。ピラミッドの形をした大朝日岳をのんびり往復し、いよいよの銀玉水手前の大きな雪の急斜面の下りの難所にかかるが雪の状態も良くキックステップで慎重になんなく下りきった。ここからは日差しもきつくなり、そして小朝日岳標高差200mの登り返しは結構きつい。小朝日岳で朝日連峰の大パノラマを別れ、ただひたすらに日暮沢小屋を目指す。古寺山を過ぎ、まだまだ残っている残雪とあらわれた登山道を交互におりまぜ、下っていると残雪の先の薮の中に道はない、ルートを捜し地図を確認すると、尾根を途中から右に外れて下らなければならない地点を通り過ぎてしまっていた。見通しも良く油断をしていた。地図を確認し、登り返し20分程のロスタイムだ。この登り返しは結構精神的にこたえたようだ。三沢清水の水場に水はなく、往復20分ほどかけ水を補給し、まだまだかかる日暮沢小屋までの長い道のりに備える。やっと16時前に日暮沢小屋の駐車地点へと戻りました。 

2日をかけてののんびり日程が停滞のため、やや強行軍となりました。原さんは傷の痛みも残っていることから東京へ一足先に帰るとの事で、山形市の東はずれのJR左沢駅まで送り分かれました。

この山行にリーダーとして反省勉強しなければならない点が何点かありました。残雪と新緑はは予想通り素晴らしいものでしたが、高山植物は例年に比べやや開花状況が遅かったのは残念なことでした。来年の6月東北山行は残雪に輝いていた飯豊連峰に登りたいとの思いもでましたがそれなりの調査と準備が必要かもしれません。(佐藤)

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