このコースは土曜日に休みが取れないことから設定した。最寄り駅からのタクシー利用が高額になるため、ネックであった。直前になって参加者が増えて一安心。

　作場平から水干への登山道は東京都水道局が管理している。お金がかけられており、手入れも行き届きすぎているほど。順調に小屋まで足を運んだ。

　小屋を後にして小さな丘に来ると三角形の笠取山が急激に頭をもたげている。多摩川源流の山ということもあってか、子ども連れの登山者もいるほどの人気である。「せっかくだから」ということで我々も水源地を訪ねることにした。地中から湧き出した水を水筒につめて、土産品とする。笠取山の頂上は岩が転がり狭い。少し遅い昼食とする。

頂上をすこし外れたピークから、笠取から雁峠にかけての伸びやかに広がる草原が眺められる。雁峠では足音に驚いたのか、親子の鹿が草原を駆けていく姿を目にする。ここから雁坂峠へと歩いた20数年前が懐かしい。沢沿いにつけられた登山道は雨水にえぐられ荒れている。笠取山への道とは大きな違いである。

林道に出てしばらくすると雷鳴が聞こえ出した。集合時間を気にしながら、笛吹キャンプ場へと急いだ。　蓬生　記