集中山行 巻機山 米子沢  
重大事故を発生させ家族、新潟県そして会の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしました
期日:2009.10.10〜10.12
参加者:L渡辺、佐藤、高橋
ホームページ掲載にあたり、今回の高橋さんが米子沢で釜(滝壺)に滑落し、冷水のショックで一時呼吸停止になり、2日後ヘリコプターにより救出され入院いたしました。皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深く陳謝いたします。
反省と今後の処置については会の運営委員会及び遭対部長の判断および各方面のアドバイスを頂いて上で考えたいと思います。このホームページの掲載は事実だけを中心に掲載することにしました。(反省と処置が決まり次第追加で掲載できればと思います。) 佐藤
コースタイム

10月10日

 

00:00

新宿駅西口出発 関越高速使用

02:45

巻機山桜坂駐車場到着 荷物を車内から全部降ろし車内で仮眠

03:00

消灯

05:45

起床 天候快晴   入渓準備と朝食をとり 山行計画書をポストに入れる

07:02

出発

07:06

車道を引き返し、林道入り口

07:21

800m地点付近で林道を離れ 沢に入り 最後の堰堤を抜ける
これより先導は渡辺リーダー、高橋、佐藤の順で沢を詰めてゆきました。事故地点でもスタートはこの順でした。

08:16

08:21 休憩

08:40

30m2段の滝を抜ける ナメ状の階段状の滝

08:53

ナメの沢出合を通過

09:05

3段40mの大滝の左手斜面の高巻に入る。道は明瞭に直登し10分ほど登ると平行なトラバース道になり、

09;22

40m滝上部へ30mほど下り河原へ これよりナメ状の滝が連続する

09:33

09:40 休憩  立派なナメ状の滝が連続する

10:40

栂ノ沢出合 平凡な目立たない沢 だがこの先の小滝の連続はなかなか立派な5〜6mの滝が連続する

10:50

ゴルジュ帯に入り標高1225m地点で6mの滝を通過するため左の滑り易い傾斜面を渡辺、高橋、佐藤の順序で登り、右へバンド状をへつる(トラバース)地点で高橋さんは怖いので私は草付を登り高巻をすると行動に移し、その間に渡辺リーダーと佐藤はバンドをへつり安全な場所へ着き、草付からへつり地点へ降りて戻ってきた高橋さんに佐藤が高橋さんへ見た目より難しくないからバンドをへつるよう声を掛けました。高橋さんに近い渡辺リーダーは見守り、佐藤はザックを下ろし水を飲もうと高橋さんと反対側の上流を向いている時、渡辺リーダーより高橋さんが滝壺に落ちたとの声に見下ろすと高橋さんが滝つぼでばたばたとザックを上にして顔を水中にしてもがいていました。救出し意識回復後高橋さんの話では草付から一旦トラバース地点へ戻った後、再び草付を登りはじめたものの滑りはじめ、草を掴んだものの抜けて泥の斜面からゴルジュの岩の斜面を10mほど滑り落ち、滝壺に落ちたとの事です。

10:55

高橋さんはザックが浮き、顔が水中の状態で30秒程度滝壺でもがくも反転できず力尽きる。すでにトラバースを終えていた渡辺リーダーが斜面を滑りおり救出に向い滝壺に入り高橋さんを岸に引き寄せ、続いて下りた佐藤と一緒に岸へ引き上げる。時間経過は3分程度経過したように思う。本人の意識なく呼吸の停止と目の動きが全くなかった為、直ちに佐藤は人口呼吸し、渡辺リーダーは心臓マッサージを行う。1分後位に少し動きがでてきた為、本人を2人で岩陰に引きずり下ろし、濡れた衣服を交換すると2〜3分後意識が徐々に戻り始め口も利けるようになり、15分後にはなんとか自力で少し動けるようになりました。

11:20

直ちにテントを設営し、テント内で暖をとり、シュラフを2枚重ねて寝かせました。

16:00

早めの夕食準備を高橋さんの指示で行いました。高橋さんは食欲がでず。葡萄3粒と熱いコーヒーを飲み、寝ながら咳を繰り返し、気管支に入った水を出しているとのことでした。

天候が悪化し断続的に雨が降り始めました。

18:18

早めの消灯とします

6:52 桜坂駐車場で車中で仮眠のあと入渓準備をし山行計画書をポストに入れ出発します。堰堤は米子川のものです。堰堤の右側に林道が上部に続いています。
7:08 巻機山方面に朝日が昇ってきます。
7:23 林道を離れ最後の堰堤を通過してゆきます。
7:29 しばらく河原歩きが続きます
8:04 前方に滑ノ沢が望めると長い河原歩きもおしまいでナメ滝もでてきます。
8:27 快調に歩く二人です
8:36 二段30mのナメ滝です。特に問題なく通過できます
8:39 水はやはり冷たくちょっと上半身にかかると震えるような寒さです。
8:43 二段30mのナメ滝の上部です。
9:00 米子沢最大の3段40mの大滝です。左手の急斜面をはっきりした踏み跡を木の根捕まりながら登りつめると道はトラバース気味になり、やがて滝の最上部を目指してやや下る
9:23 噂の高巻も簡単に終了し、滝の最上部にでました。滝の最上部から見下ろします。
9:51 40m大滝を過ぎると次から次へと滝が連続します。
9:57 降り続いた雨で水量は多いようです。
10:04 ちょっとした滝でもこの迫力です。
10:21
10:50 行程のほぼ中間点にあるゴルジュです。この場所で重大事故はおきました。
写真上部に斜めにスダレ状の滝がみえます。
10:50 高橋さんが滑落して入った釜(滝壺)です。



10月11日

雨が強く降ったり止んだりの1日

05:00

起床 夜中断続的に強い雨が降る。朝上流部で降った雨で目の前の滝がかなり増水している。

07:55

出発 今日1日は雨で  入渓する登山者を期待できない。携帯もつながらす停滞はできない。高橋さんの食欲も少し戻り、夜の残り(お椀半分程度)を食べ、、本人も元気に歩けると話から、沢右手の米子ノ頭へ登ろうと判断し、近くにある枯れ沢を利用して登ることにする。

 

12:00

1400m地点到達 200m弱の高度を登るのに4時間もかかりました。

利用した枯れ沢は急登であったものの比較的岩が安定していたが高低差50mほどで途切れ後は笹薮の厳しい斜面を佐藤と高橋さんをシュリンゲ2本4mで繋いで引き上げながらの藪漕ぎでした。必死で斜面をずり落ちるのを笹に捕まりながら登りますが高度を稼げません。

13:15

標高1450m地点 携帯電話が漸く少し通じる地点にたどり着き、深沢さんに集中に遅れることの連絡をする

14:30

標高1500m地点 小さい沢があり濁った水を2L補給する

標高1750mの稜線まで上がりテントを設営とも考えましたが、高橋さんの動きと稜線までは再び急登になることから緩やかな笹薮帯にテントサイトを求めて登りました。

15:00

標高1555m地点 笹を刈り払いテントを設営する。1時間ほどかかる

15:40

蓬生会長より携帯で下山遅れの理由を求められる

19:10

消灯
今日は1日雨が降ったり止んだりで漸く15:00ごろより降り止む夕食はご飯を炊き、前日のサラダの残り等を食べる。高橋さん お椀半分程度食べる

高橋さん肺炎を恐れて持参の抗生物質を服用する。昨日も飲んだとの事。

7:24 呼吸停止の後 滝より救出し、意識回復後ただちにテントを設営し、体調の回復に努めました。
テントサイトは岩の上で室内の2/3は使えませんでした。写真は出発準備をする二人がかすんで見えます。
前日 夕方より雨が降り、米子沢は上部に森林が少ないせいでしょうか増水のスピードは速く、沢を遡ることはあきらめざるを得ません。
7:24 滝のしぶきでカメラも水滴で曇って撮影になりません。この水量では遡行は難しいでしょう。
8:09 雨のため 雨具をつけ近くの枯れ沢を利用して米子ノ頭目指して登ります。かなりの傾斜ですがカメラのアングルでは分かりません
15:22 高橋さんの体調回復せず、大苦戦の登りでした。傾斜が厳しく元気な男性軍でも滑りやすい草付や笹の斜面にてこずりました。漸く雨もあがり巻機山の斜面も望めるようになってきました。
13:30頃携帯で深沢さんに連絡がとれ、上部にあがるにつれ携帯の通話状態が良くなってきて、かつ尾根の藪の中ではあるが狭い沢の中よりずっと良く天候も回復傾向のため、非常のときはなんとかヘリコプターでの救出は可能だろうとの安心感はできたました。
15:23 今日は笹を刈り払ってテントを張りました。標高は昨日より高かったものの、昨日のような滝口のしぶきが飛ぶような場所でなく笹原が冷たい風を遮って思ったより暖かでしたが、昨日のテントサイトで濡らしたシュラフの中で身体は冷たく良く眠られませんでした。


10月12日

晴れ

04:00

起床 夜に煮ておいたうどんを温めなおして食べる。高橋さん少しだけ食べる

06:25

出発

09:00

標高1600m地点着 

朝起きた時の高橋さんは元気であったが実際は歩きが非常に遅い。昨日と同じく佐藤とシュリンゲで結びながら行動となった。

09:15

蓬生会長と打ち合わせ ヘリコプターを要請するとの連絡を行う

救援隊を編成し、巻機山に向っているとの報を聞きありがたい、昨日の打ち合わせのときにお願いしておけばよかったことを実行していただいていることに感謝する。

蓬生会長より決断をしたなら早めにヘリコプター救援の要請を行うよう指導があった。

笹薮帯から這松、石楠花帯にぶつかるが何とか笹薮を選んで稜線にむかう。稜線近く傾斜も緩やかになりましたが石楠花と這松が非常に多くなり、なかなかすすめず。佐藤が進みザックを置き又引き返し高橋さんのザックを背負って進む繰り返しとなりました。

11:40

標高1750m地点(米子ノ頭1796mの北の肩)に到着する。直ちに119通報 六日町消防署がでて六日町警察署に転送連絡する

稜線(新潟、群馬県境線)は国土地理院1/25000ではルート記載があり、ふみ跡程度の期待は裏切られ全く廃道で激しい石楠花と這松に覆われ、少し進むのにも大変困難な状態になっていました。

渡辺リーダーと佐藤はヘリコプターに乗れないため、食料・水の確認と高橋さんの残った食料と水をもらいブッシュの巻機山に登り、井戸尾根を下る準備をしました。

12:00

警察から位置の確認と本人の容態確認の打ち合わせを携帯で数度念入りに行う。

会話の中で警察は元気な2名も一緒にヘリコプターで収容していただけるとの判断を頂きました。

警察より12:40飛び立ち13:20現地到着の連絡を受ける

13:18

13:40救援ヘリコプターが到着する。銀マットと手を振り合図を送る。

下りてきたレスキュー隊員の指導のもと、敏速にヘリコプターへの引上げが行われ出発

13:50

ヘリポートに到着、待機していた救急車に3名同乗し六日町病院にむかう

14:00

六日町病院で本人は直ちに医師のレントゲン検査を受け、肺炎と診断を受け1週間から2週間の安静と抗生物質での治療が必要です。低体温になっており、筋肉が影響を受け歩行が十分でなかったでしょうとの指摘を受けました。

別室で六日町警察官2名により、事故経過の詳細な報告を求められ、 山行計画書、遡行図2枚(コピー)を提出した。

14:50

桜坂登山口駐車場にタクシーで車を引き取りに行く。手前で救援隊の 蓬生、細谷、松平、桑村、新美の5氏に出会う

16:40

17:40 再び六日町病院へ向かい上記5氏に簡単な報告をし、高橋さんに手荷物を渡し帰路に着きました。

6:20 前巻機山から晴れ上がってきました。
13:16 稜線につき新潟県警察と打ち合わせ終了後漸くカメラを撮る事ができました。巻機山のどこが頂上か分からない山頂が見渡せます。元気な二入もヘリコプターに乗せて貰えなかったら、このブッシュを延々と巻機山まで歩かなければなりません。衣類がボロボロになりそうです。
13:18 ヘリコプターは迷うことなく一直線に我々の方み向かってきます。救出されて不謹慎な例えですが、映画の敵に苦戦している時に「正義の味方」登場のシーンを思い出します。
13:23 ヘリから若い逞しいレスキュー隊員がするするとロープで降りてきて、的確なきびきびした指示を行いました
13:28 まず最初に高橋さんがロープで引き上げられました。
13:31 続いて渡辺リーダーそして荷物、最後に佐藤と隊員が二人一緒に引き上げられました。
巻機山に向かった会の救援隊方々は見晴らしの良い井戸尾根の6合目展望台へ引き返し、ヘリコプターでの救出作業の一部始終を見守っていたそうです。
13:48 六日町郊外のヘリポートに到着し、待っていた救急車で県立六日町病院へ送られました。
重ね重ね多くの皆様の協力を頂いて、なんとか日常生活に戻りつつあります。楽しい記録と感想をホームページで皆様に報告したかったのですが、今回の件は申し訳ございませんでした。
高橋さんは入院の1週間後の10月19日に退院され、10月22日の月例会に出席し、元気な高橋さんの声を聞きその復活に皆さん嬉しそうでした。





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