2010年4月18日    西上州の山  天丸山

コース  4/17東京発23:10 ==(関越自動車道利用) 児玉IC→2:25林道途中でテント設営・泊

4/18  天丸橋駐車地点7:10→8:05登山口→8:25社檀乗越→8:48P1ピーク→10:11P2ピーク→11:22P3ピーク→14:18天丸山14:40→15:44馬道のコル→16:42社檀乗越→17:13天丸橋駐車地点==上野村国民宿舎 ヴィラせせらぎで入浴==23:30東京     (地形図25000 両神山)

参加者 (L)細谷  (SL)桑村  佐藤  渡邉(美), 松平, 高橋

山行記 

4月1722時から佐藤さんに車で参加者5人を次々に拾ってもらい一路上州上野村へ向かう。関越道を下仁田ICで下り、30分で上野村に入る。午前140分頃林道を上がる。私はその頃になって漸く目が覚める。春たけなわの降雪は41年ぶりとかで、綿帽子を被って桜が妖艶にヘッドライトに浮かぶ。その雪のためテントサイトに予定していた天丸橋まで進めず、林道を戻るが上野ダム建設のモニュメントがある堰堤の下の広場がみつかる。テントを張り早々に眠りに就く。外は零れんばかりの星。しかも大気のせいで今夜の星は大きく近く見える。星を観る会なら申し分ないのだが山の会ですもの残念ながら寝るのが先。ちなみに神流川最上流に建設された上野ダムは世界最大規模の揚水式発電ダムという。

2:36
6:05 テントサイトから鋭角的な峰を見せる大山
 4月186時起床。快晴。川の上流に目を遣るとその先に聳える鋭角の三角錐の山が格好良い。登れるような角度の山ではないわと思うが、どうもこれが目的の天丸山群のようだ。ヤッパリ細谷さんの計画する山はヤバイッ!とは思ったけどこれはどうやって登るのだろう。地形図を入手したものの私の身辺慌しく幸か不幸か今回の山の情報をネット検索する時間が無かった(結果的には知らぬが仏で幸いだった)。650分山の端に太陽が昇る。
7:39 前日降った季節外れの雪を踏みしめながら社壇乗越までの林道をあるきます。
天丸橋に車を置く。ここからすぐの山道は大山登山口。7時半出発し林道をひたすら歩く。桑村さんを先頭に予想通り皆足が速い。私の1.3倍は早く先が思いやられる。私の後ろに細谷リーダーと佐藤さんが背後霊のごとくにピッタリ付く。登山口に取り付く社壇乗越(標高1195m)まで30分歩く。社壇乗越では純白の浅間山が雄大な景色を描く。この乗越の先も立派な二車線林道が延びていて驚く。ここまで車を持って来れそうだ。上野大滝線林道というが多くの擁壁に亀裂や剥落が散見され蛇籠までも露出し土砂の崩落箇所もある。大滝村と言えば3年前集中山行をやった両神山や中津峡・秩父湖が近い。
8:05
8:24 林道は社壇乗越の先まで延伸されていました。

824
8:27

林道からたっぷりとした新雪を踏み、枝尾根に出る。思いもかけぬ春の雪山を登る。皆嬉しそう。前を行く3人との距離がどんどん開くが仕方なし。細谷さんに「歳が違うじゃない」と指摘される。それを慰めに歩を進める。

8:50
8:45P1ピーク1307mで休み一息入れる。葉を落とした樹々の梢越しに見えるのは衾のような白色の斜面。
8:56 P1の下りは簡単な岩場
9:09 P2最初の難関を見上げる桑村さん。トップで上がり確保役を務めました。
9:29 P2登り口に怪しげなトラロープそして上部は滑りやすい雪がべったりでロープで確保しながら登ります。最初の使用でした。
10:03
P2ピーク1335mの手前の岩場は傾斜はさほどでないがトラロープがある。桑村さんが登り木に支点を取りロープを出す。ここを10:15に抜ける。私は個人装備に指定されていた「補充ロープ等一式」を見落とし持参しないという大きなミスをおかす。
10:34
12:45また険しい岩場。LSL20mロープをいっぱいに張っていただき、既存のトラロープも使いプルージックで抜け、次にトラロープのある7mくらいのオーバーハングをおりる。
10:53 P3山頂付近の美しい天然林が楽しませます。
11:37  P3下りから圧倒的な険しさで天丸山が迫ってきます。
11:38  P3を慎重に下ります。
1138
1214 P3途中からロープのお世話になりました。
11:20 P3ピーク1405mで昼食を摂り11:40P3を下る。この先の岩場でもロープを出して貰う。アップダウンを繰り返す。樹林が切れると目に入る真っ白の浅間山。辿った山を浅間の両側に探してみる。

12:33  P3をロープで確保して下ります。
13:04
13:10P3から天丸山の基部におり、正面の天丸山の鋭い岩峰に向かう。短いトラバースが出てきてここで落ちたら下まで行くのでここでもロープを使いプルージックで通る。細心の注意を払って登る。
13:12  天丸山中腹から振り返ってP3ピークの鋭峰をみます。よくぞ登って下りてきたとの感想です。
13:17 天丸山中腹の10mほどのトラバース地点雪が付いているので念のためプルージックで確保して進みます。
13:59 天丸山直下の小さい岩場ですが、雪と雪解けで濡れた岩が気持ちが悪くここもプルージックで登ります。
14:23
14:34 天丸山山頂で記念撮影です。
14時山頂手前の短いが危険な斜面をプルージックで登り、最後の急傾斜も雪が結構深く靴を蹴り込み進むがちょっと爪先に加重したり油断すると滑る。倒木を何回もくぐったりして頑張って歩くとやっと本命のピークだ。14:15天丸山1505.8m。三頭三角点の置かれた山頂は考えていたより優しげでアセビが花をつけている。素晴らしい眺望が開ける。遠く空に水平線の様にブルーの霞がたなびき美しい。1995年(平成7年)1227日天丸山で山林火災があり山容の荒れは無残である。この山行記を書いていて分かったのだが、山火事前の写真だと山頂は樹林で覆われまさに天丸山の名の如く小鉢の様にこんもり丸い。山火事後の植生を自然回復力に委ねているようにみえる。実生の幼木が育っていないのか、15年経っても山肌がすごく荒れている。焦げ跡もまだ見てとれる。歳取ったら肌のお手入れは不可欠のようにこの山にも何かお手入れが要るなあと思う。利用頻度の低そうな林道には金が出せても山には無理なのかしら。
14:42 天丸山からの大くだり
14:46 天丸山の大下りです。設置された太いロープがたよりです。なかなかの高度感です。
14:48
15:00
14:35下山開始。一般コースという馬道コースをとるが直下の岩場には径2cm以上はありそうなロープが3ヶ所設置されているくらいだから容易ではない。降りてしまえば何てことはないが緊張する。この辺のカラマツはせっかく緑に芽吹き出したものの寒波で閉じてしまった感じ。ここを抜けると岩場は終わる。
15:49 馬道コースを下ります。昔は馬車が往来しただろう広い平坦な道が山裾をうねうねと下ります。

15:15馬道大山分岐尾根に出る。この尾根は群馬・埼玉の県境尾根で、真っ直ぐ進むと大山・門倉山コースに入り、奥秩父の赤岩山両神山に連なる。集中山行で登った赤岩登山口には日窒鉱山の廃屋があったからその昔馬道の利用があったかもしれない。

私たちは尾根を右に下る。急な雪道を下るが雪が緩んでいるから滑りやすく、これはこれで大変である。桑村さんたちは熊の足跡と木に爪跡を見かけたという。巣穴から出ても雪だからまだ冬眠していて欲しい。

15:35帳付山分岐の馬道コルに出る。この峠を右手に折り返すように下る。往時はこの峠が生活物資や鉱山で使う坑木等を運搬する馬道として利用された。

16:46 社壇乗越から天丸橋へ下る稜線からオオナゲシから赤岩尾根を見ます。その先に両神山があります。この縦走はなかなかの難コースです。
17:08 漸く下りてきた天丸橋駐車地点より夕暮れに沈む倉持山〜帳付山の岩っぽい稜線を見上げます。
16:45社壇乗越に無事に戻るが、皆下るスピードが速く私は大汗をかく。既に融雪している林道歩き25分で駐車場に着く。山の斜面を点々と彩る山桜里桜が映え、もう少しで一気に春が押し寄せて来る気配である。シカに出会い山里の満開の桜を楽しみ、「ヴィラせせらぎ」の向屋温泉に寄る。20時半沿道の店に入り夕食。0時帰京。

パーティーメンバーの感想から充実した山行だったことがきこえてくる。

細谷リーダー:季節外れの雪なので勿論途中で引き返す心積もりもあった。無事下山できて良かった。あんなに何回もプルージックを使うなんて滅多に無いし、いろんな経験ができて良かったのじゃないかと思う。雪が付いていたのでレベルは2級くらい上がっていると思う。

桑村サブリーダー:細谷さんと皆さんのおかげで楽しい山行をさせていただきました。SLということを知って一夜漬けで山を調べて用具を揃えました。P1まで登って皆これなら計画通りいけるなと判断しました。ロープ出し等、想定内だったのであれでよかったと思います。渡邊(美)さんのバランスもムーブも良かった。毎回車の運転を佐藤さんにして貰って良いのかなあと思っています。

 松平さん:春の雪にびっくり。無事に行けたから良かったけど、こういう時に行くのはどうかしらと 感じました。下山後疲れました。
 佐藤さん:出発日の午前中まで降った雪に車がどこまで入れるか心配でした。こんな遅い時期にタイ ヤチェーンの着用になるとは思いませんでした。ロープワークの実践を見ることが出来て有意義な山 行になりました。

 渡邊(美)さん:雪山に行くつもりではなかったのに、思わぬ雪山を経験できて一雪二鳥。雪の無い 時に行けたら別の天丸山の楽しみが味わえると思うので、また期待しています。

高橋:良い経験ができて面白かった。6人のうち最も体力の無いなか新鮮な山行を満喫させていただき細谷リーダーと桑村さん佐藤さんに感謝です。シュリンゲやカラビナ等を持たずに参加して反省しています。雪の無い天丸山だってかなり厳しいと思うけど、チャンスがあればもう一度登りたい。無雪期だと2時間で頂上に届くらしい。このコースを一人だとどうやって登るのだろうと考える。P3周辺の23箇所危険な箇所に補助的に使えるトラロープが設置されていればよいのにと思う。『群馬県の山』という本にも天丸山は火災でコースが荒れていると出ている。

山行記は感想文に徹しましたので悪しからずご勘弁を願います。高橋個人としては危険な岩場をこなすのに精一杯だったのでルートの詳細には言及できませんでした。読んで『それなら自分も行ってみたい。やってみたい。安全運転の車利用だからアクセスが不便な山に行ける。LSLも丁寧に指導してくれる。楽しい』と考えて貰えればこれを大車輪で書き上げた甲斐がある。5月に第2回ロープワーク教室があります。北アルプス縦走にも役に立ちますので参加したいですね。(記録:高橋)




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