秩父のバリエーションルート
両神 狩倉槍ヶ岳~狩倉岳
期日:2010.05.16(前夜発)
参加者:L細谷、蓬生、桑村、渡辺(元)、松平、佐藤
コースタイム
5月15日 22:00東京発──(関越道)──花園IC 道の駅はなぞので渡辺さんと合流──1:10大滝村 長栄橋到着  1:45消灯
5月16日
起床4:20 出発5:12──5:28藤十郎沢出合──6:00峠沢入口──6:45三股より中央の沢を選択
──7:38梵天尾根──8:27ミヨシ岩──8:52ヒゴノタワ──9:40大笹とトラバース地点──横八丁──10:10クライムダウン10:57──12:10狩倉槍ヶ岳──12:50狩倉岳──13:45 1435mピーク(アンテナ設置)──14:34 1341m峰──15:05  1133m峰を巻く──植林帯と伐採地を下る──16:05藤十郎沢へ下り立つ──16:43 出発起点の長栄橋に戻る  17:40道の駅 大滝の湯で入浴と食事  22:30頃帰京 

今回の山行は、3年前の集中山行で両神山赤岩尾根に出かけた際、特異なピークを連ねる大笹・狩倉尾根には「機会があれば」と温められていた計画だそうだ。事前の下調べも入念に行われていて、リーダーの緊張感が伝わってくる。

前夜、登山口の長栄橋まで入る。10年程前に界隈の金山沢に来た際は、ダム工事中であったが、完了後の今回はすっかり様変わりしていた。翌朝、わずかな仮眠時間にもかかわらず、早々に準備をして歩き始める。

石船沢沿いに付けられた登山道は明瞭だ。しかし、それも滝まで。手前で別の沢に入らなければならないのだが、踏み跡は不明だ。少し戻り、本流左岸の沢に入る。この沢は滝らしい滝もなく、水量も少ない。歩きよいところを適当に進み高度を上げていく。三又は真ん中を、次の二俣は右に進路をとる。段々に傾斜がきつくなり、稜線が見えたところでYとKは沢筋を離れて尾根をたどる。大峠に出たのが8時前。登山口から3時間かからずに来たことになる。幸先がいいようだ。梵天尾根の途中にあるミヨシ岩から狩倉槍の尾根が眺められる。「槍」の名を冠してはいるものの、茫洋とした感じだ。ここからは一旦80m程高度を下げ、200mの登りとなる。新緑と山桜に励まされながら狩倉尾根への分岐点・大笹に着いた。両神山山頂まではわずかな時間である。「順調に来たし、折角なのでピークを往復して来ようか」の声も聞かれたが、先の長い道程を考えると体力を温存したいところ。このルートを知らない人だと「山頂はこちらの道ですよ」と声がかかりそうだ。薄い踏み跡を狩倉尾根に入る。見晴らしのよい箇所から、ようやく西上州の毛無岩を彷彿とさせる狩倉槍が姿を見せる。名の由来には違和感があるが、近づくにつれ南北両面は切れ落ち、来るものを拒むかのような風貌である。ヤシオツツジの花を愛でながらも、幾つものアップダウンと岩場のルートファインティングが要求される。一箇所は15m程の懸垂下降が必要で、全員が降りるのに一時間を要した。狩倉岳の上で昼食タイム、核心部を終えた安堵感と心地よさに誘われて昼寝をしたい気分にもなる。

 ここまでで全行程の3分程の2程度か。少し歩きよくなった尾根も崩れやすい岩に脚を取られたり、急降下の道では頻繁に「落石」の声がかかる。広くなった尾根から1133mのピークに向かい、藤太郎沢への踏み跡をひろうのだが、定かではない。このルートを歩いた記録にも多くの人が迷っているようだ。植林の仕事道を利用しながら高度を下げる。部分的に自信の持てない箇所もあったが、林道に設けられた落石防止の金網に囚われることもなく、登路に辿った道に出ることができた。休憩時間を含めて11時間30分に及ぶ長丁場を終えたメンバーは、「もうこんなことはできないと思ったけど、まだまだできそう」と自信を深めたようでした。私には、あまり好きになれそうにありません。なぜなら、沢の詰めの緊張を終えてからが長く、しかもその後に核心部があるのですから。

 ともあれ、楽しみを拡大するには日頃の研究が大事ということでしょうか。肩の痛みも軽減してきているので、可動域を広げ、夏の沢に照準を合わせたいところです。

 

狩倉尾根は一昨年の秋に赤岩尾根縦走の時にその厳しそうな岩稜に注目していました。
その時のメンバー4名を含む6名での山行です。
山行時間も12時間程度を要しそうなので前夜出発し、登山口で仮眠をしてのスタートです。
まずは下調べから始めましたが、狩倉尾根の情報はそこそこあるものの長栄橋から梵天尾根の大峠へのルートが判っきりしない、少ない情報ではかなり苦戦しそうである。長栄橋から大峠経由両神山はかっては立派な登山ルートであったのに荒廃は激しそうである。両神山はかなりのルートが使用されずに荒廃しているようで勿論狩倉尾根のルートもそうである。







5:11 長栄橋たもとの登山道入口です。
 前夜長栄橋の入口の道路上にテントを張って仮眠しました。この先は行き止まりで通る車はありません。

5:26 石舟までの作業道は荒廃していたが修復され歩きやすくなっている。
5:56 分岐にある石灰岩で出来た石舟という名称の渓谷の岩です。この奥に渓谷が数十メートル続き、鍾乳洞もありますが、時間が無いので入口だけです。
6:01 分岐から峠沢へ入ると直ぐに15mの枯れ滝がありますが、左手をなんなく巻くことができました。
6:34 峠沢はほとんど水も流れず、滝もなく、静かな沢道です。
7:09 三股では真ん中の沢筋を詰めあがりますが傾斜が厳しくなり、右手の小尾根を目指すか一思案しています。
7:20 沢筋は益々厳しくなり、手掛かりも少なかったのですがなんとか稜線まで這い上がりました。
7:42 梵天尾根に到着し、やれやれの休憩です。ここまでは結果的には順調でした。
8:25 梵天尾根は細々ながらもしっかりとした道が続いており、ミヨシ岩に到着しました。

8:35 ミヨシ岩より見る狩倉尾根の横八丁の岩稜です。
8:35 ミヨシ岩より見る左の二つ峰は狩倉岳(1625m) 釣鐘状の狩倉槍ヶ岳(1640m)です。
8:35 ミヨシ岩の上での休憩タイムです。大きな岩の割には上部は平凡な岩です。
8:52 ミヨシ岩より急な下りを終えるとヒゴノタワの鞍部です。静かで気持ちよい場所です。
8:52 ヒゴノタワにある道標です。熊に噛み砕かれたのでしょう。かって両神山の登山ルートであった梵天尾根も今は通行禁止です。
ここからは大笹まで一気に標高差300mの登りです。


9:01 ミツバツツジが青空に映えます。
9:51 大笹のピーク近くで左へトラバースの細道を辿り、大笹と狩倉の横八丁との鞍部にでます。横八丁の最高点より狩倉槍ヶ岳と狩倉岳を望みます。
ここから横八丁の岩稜を登ったり下りたり、右に巻いたり左に巻いたり、先頭者のルート判断力が必要な岩場が続きます。

9:53 厳しい岩稜は満開のアカヤシオの連続で大いに楽しましてくれました。
10:03 次から次へとアカヤシオです。
10:03 小さな岩稜 大きな岩稜取り混ぜて横八丁の岩尾根が続きます。
10:04 よくぞこの不毛の岩稜帯に立派な花を咲かすのでしょうか。
10:34 横八丁を1時間ほど進むと岩稜を左下にとる岩場ルートにぶつかりました。今日のメンバーではザイルをつかわなくても何とかなりそうでしたが、ここまで順調に来たのと、ザイルに慣れておこうとのことでザイルを使用して下りることにしました。
10:38
11:06 ザイルを収めて岩稜を登ると岩の上にチョコンと不安定な状態で岩が立っています。

11:13 横八丁の岩稜はしばらく続きます
11:14 横八丁の岩稜が過ぎ、ギャップを下っていよいよ狩倉槍ヶ岳~狩倉岳へと向かいます
11:28 狩倉槍ヶ岳の岩峰が迫ってきました。樹林帯を登り、登りは見た目より楽な感じでした。

12:07

12:11 一昨年に登った難コースの赤岩尾根です
13:19 ここまでは予想の範囲で順調でした。これからは読図力が要求される帰路ですが、思わぬ下り道の厳しさにびっくりです。
落石が激しく、ここから最後まで終始落石に悩まされました。
3:37 アンテナ施設のある1436m峰の登りです。晴れた今日は木の根を捕まりながら急な斜面を順調に登りました。濡れたりしていたら滑りやすく大変でしょう。 以外に登りが楽でしたが、ここの下りがまたまた落石の急な下りで苦戦をしました。
13:49 1436m峰下りでの美しいミツバツツジです。
13:54 1436m峰からの下りです。木の根や岩に摑まりながら慎重に下りますが落石ビュンビュンでした。
14:30 時折 新緑の美しい穏やかな尾根があると思ったら岩稜にぶつかり、大きく迂回したり、最後の1133峰の岩稜は右手を大きく下りトラバースして尾根に再び取り付きましたが、こんなところにルートがあるのか不安になるような巻き道でした。
15:35 1133峰を迂回してから数百メートルの植林帯から適当にこの辺りから下りようと下り始めますが植林帯の中の急斜面は激しく、またもや落石ビュンビュンでした。暫らく下りると伐採跡にでますが、ここも落石とザレ石混じりの急斜面でどこにルートをとったらいいやら大苦戦でしたが、下に藤十郎沢が見える頃に半分崩壊した作業道にでました。作業道を暫らく下り、沢の中で休憩し、やっと一息します。50分程度の下りでしたが長く感じました。
ここからは左岸に渡り、比較的歩きやすくなった作業道を石舟沢との出合まで下り、そして早朝に通った整備された作業道を長栄橋の駐車地点まで戻りました。
16:57 長栄橋に戻りついたのは結局17時前でした。日の長い初夏でしたので、気持ちによゆうがありましたが、日の短い秋ではあせったかも知れません。
やれやれのバリエーションルートでした。このコースかっては両神山の二つのルートです。どのような道だったのでしょうか。下りの落石には悩みましたが、下りの読図に悩まされそれがとっても楽しいコースでした。
帰路は大滝村道の駅で入浴と食事で疲れをとって帰京しました。


 



inserted by FC2 system