白馬大雪渓と天空のソロトレ

目的地 白馬岳、小蓮華山

期 日  2011.07.01〜07.03

行 程  7月1日新宿−猿倉(泊)

2日猿倉−白馬岳−白馬山荘(泊)

3日山荘−小蓮華山−白馬大池−栂池

メンバー 単独行

昨年本会に入会以来初めて山行レポートを投稿する。今回は個人山行でテーマは「白馬大雪渓と天空のソロトレ」と題した。シーズン前の人気の少ない大雪渓と稜線をソロで闊歩したい思いだ。昔よく歩いた白馬岳は47年ぶり位になる。

「1日目」今回時間の余裕もあることから前日7月1日猿倉荘に宿泊することにした。猿倉荘は以前にも何度かお世話になった白馬村村営の山荘である。シーズンを外れているのであろう宿泊者は私1人であった。

「2日目」朝6時早々に朝食済ませ雪渓にへばりつく。小屋の脇を登るととすぐに砂防道路に出る。道路右下には白馬沢本流が雪解け水を集め唸りを上げていた。その上には小蓮華山の山稜がまだかなり雪を残し清々しい雄姿を見せている。明日のルートである。やがて1時間程で通称馬尻(白馬尻)に到着、小さなケルンが雪の中から立っている。ここから雪上にベニガラが捲いてある。タイミング良く2〜3日前に捲いたとの事だ。余計な話だがこのベニガラは付着すると非常に落ちにくい、少しずれて歩くのが良いとの事だ。遥か上方を2人のパーティが1組後方は誰も見えず、ほぼ大雪渓を1人占めの予想通りだ。猿倉標高1230mを既に900m程登り2100m辺りに登ると杓子岳の岩肌よりガラガラと雷の如く落石の音が頻繁にしている。雪渓上には直径1m位から10センチ位まで大小様々な落石が散らばっている。こんな石に当りたく無いのは云うまでも無い。やがてネブカ平に取り付く、ここが大雪渓最上部でありこの上には小雪渓が在り、殆ど残雪が多く切れ間が無い、此処から稜線まで急登が続く、ガレ場の登山道は左側に雪解けの急流が水しぶきを登山道にまでまき散らし殆ど雨降り状態である。また右側雪渓は残雪が多く雪庇が登山道をおおい被さり隠していた。今回ザック重量が18kg+体重71kg合計89kg少々重く何時雪庇を踏み抜くか心配であったが目をつむって行く事にした。ケッセラセラの心境である。

やがて小雪渓をトラバースし高度を上げると村営白馬岳山頂宿舎が左に見えてきた。これをやり過ごすといよいよ稜線である。稜線の道標に左唐松岳右に白馬岳奥に朝日岳とある。その道標の下に何と雷鳥君が私の登頂を迎えてくれていた。早速カメラを取り出し撮影会に入ったが此のライチョウ君中々モデル慣れをしており私の為に色々なポーズを採ってくれた。暫しの撮影会に別れを告げ白馬岳山頂に向かう。本来高山植物の日本一のメッカ言われるのは此の稜線である。8月に入るとお花畑と化し雲上の楽園となる。今はまだ7月初め数少ないミヤマキンバエとハクサンイチゲがすまなそうに風に揺れていた。

やがて白馬山荘に到着宿泊手続きを済ませるとストーブで温めてある甘酒を振舞ってくれた。部屋は一人部屋である。早速荷物を置き手ぶらで200m高い白馬岳山頂標高2932mに到着、時折切れる雲の隙間から左に朝日岳。雪倉岳前方左に小蓮華山右に杓子岳.白馬鑓ヶ岳を望む事が出来た。前方は大雪渓に切れ落ちて雲海に飲込まれている。
白馬山荘より旭岳・清水岳を望む

早々下山し山荘の夕食テーブルに着いた。宿泊者は50名くらいだろうか?シーズンには有得ない事だろう。昔来た頃より支配人が2人変わったとの事。因み宿泊2食付き¥9000+翌日昼弁当¥1200合計10200円。何時もの事、此処だけの話山小屋の布団の重さと枕の不具合には、閉口する。

「3日目」の朝が来た。6時に朝食を済ませ出発の準備に取り掛かる。18kgのザックは今日はやけに重い、老体に鞭打ち始動する。

今一度白馬岳山頂を登らないと下りに入れない。今朝の杓子岳、鑓ヶ岳の様相は緑と白のコントラストが素晴らしく雲上のパノラマを満喫した。程なく下りに付いた。雲上の稜線歩きだ。左前方に雪倉岳2610m、その先に朝日岳2418m、その先に富山湾、雲の合間に佐渡島、稜線右は全て大雪渓に切れ落ちていて此れを雲が蓋をしていた。暫く此の雲上散歩を楽しむ事になる。やがて三国境が出てきた。長野県、富山県、新潟県の県境である。此れを右に小蓮華山に向かう、雪渓から吹く冷たい風が何とも心地よい。
名古屋から来た4人パーティと雪倉岳
2766mの小蓮華山を越えると下りが段々きつくなる、雷鳥坂だ。程なく眼下に白馬大池山荘が見えてくる。
白馬大池は半分ほど雪に覆われていた。此処で軽く昼食とした。
小蓮華山の稜線

ベンチで30分程寝たろうか?濡れたシャツが冷たく目が覚めた、コース参考タイムより30分程早いが出発する。山荘の脇を通り雪渓を横切り岩場に取り付く。此の乗鞍岳2436mが曲者だ。決して年寄りでも容赦無くいじめる。1m直径位の岩魂が大池になだれ落ちており此れをトラバースする形の道が山頂まで続くペンキマークだけだ。とても道とは言えない。やがて「憎き乗鞍岳」のケルンを過ぎ雪渓が出てくる。可也の下り急斜面である。150m位先よりガスが捲いていて先が見えない、其処にロープが張ってありロープの先も見えない、手袋をはめ「えい」とばかりにロープを滑らせたが89kgの重量に加速が付き手袋を通して熱くて持ち切れなく放した途端激突した。ガスの先は大きな岩だった。「早く言えよ〜」と言いたかったが岩では仕方がない。やがて天狗原湿原に着く、木道が整備されていて水芭蕉が咲いていた。天狗原に着く頃から榛松が森林と変わり視界が悪く低山に降りた実感になる。湿原より急坂悪路が続く田植え状態の泥んこだ。「膝が笑う」と言うがそれどころでは無い、大笑いしていた。おまけに腰まで一緒に笑ってた。やがて栂池自然園に着く、此の下山後の生ビールの美味さは今更言うまでも無い。

早速田口さんに勝利宣言の連絡をしようとしたら携帯の電池が切れていた。アルピコ最終新宿行きのバスに乗り帰路に着いた。何時ものサントリー角のラッパ飲みが喉にしみる。しょっぱいピーナツが程良く合う。次は何処に行こうかと考えながらスキットルを飲み干すと心地よい眠りに就いた。起きる頃はネオンの新宿だ〜。

白馬山行記  宮 林  2011.07.06







白馬山行写真館
7/1 15:51 村営猿倉荘
7/2 6:45 砂防道路に咲いていたコマクサ

6:51  猿倉より小蓮華山を望む
7:34 馬尻小屋近くのクレパス
8:03 人影のない大雪渓
12:48 村営山頂小屋近くに咲くミヤマキンバイ
12:54 稜線分岐

12:58 出迎えてくれた雷鳥君

13:06 ハクサンイチゲ 13:08 オヤマノエンドウ
13:08 ウルップソウ ハマザクラ


17:31 白馬山荘より旭岳・清水岳を望む
7/3 7:04 白馬岳山頂

7:12 名古屋から来た4人パーティと雪倉岳
7:32 小蓮華山の稜線
9:43 白馬大池
12:05 天狗原の水芭蕉





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