山チルドレンと歩く・立山三山行き

日程 8月9日〜11日

参加者  山本暁美・昌平・湯朝満・直子・あずき(小6)
     なつみ(小2)・くるみ(小2)

    
 この夏、娘の夫が高い山に行きたいと云う。・・・彼は高所恐怖症のはずでは。(本人が云っていた) ボーイスカウトに入っていた彼は、川遊びやキャンプは得意だが山は高尾山までだった。3人娘は私たちとよく近場を歩いているが、彼といままで一緒に歩いたのは鎌倉の天園コースだけ。でも本人の申し出だ。 ヨシ、マカシトケ!で、思いがけなく娘一家との総勢7名の立山三山行きとなった。 が、出発の少し前、奥穂の下りで祖父と孫が亡くなるという痛ましい遭難事故があったばかり。いざとなったら山々を見ながら室堂散策でもいいか・・・。


■8月9日(晴れ)
 立山14:50発→美女平→室堂16:10着

 立山からケーブル、バスと乗り継いで室堂まで。気温はぐんぐん下がり19℃、天気は晴れで涼しくて気持ちいい。みくりが池温泉まではゆっくりの上り下りで20分ほどで到着。宿泊の申し込みが遅かったので相部屋になったが、ベッド室で布団は1人1つでゆったりだ。7時の夕食まで源泉かけ流しの温泉に入ったり、外に出たり。あした歩く山々がはっきり見える。夕暮れの雲の動きは綺麗で最後は真っ赤な夕焼けになった。


8月10日(晴れ のち曇り、のち雨)
 みくりが池温泉8:00→雄山発13:00→内蔵之助山荘15:00

“7時発”の予定がなんだかんだと遅くなって8時になってしまった。みんなで体操をして出発。初体験!の真夏の雪渓を越え、一の越に向かう。ヘリコプターが来て山小屋に荷を降ろし、あっという間に別の荷を吊り下げて飛んでいく。みんな興味しんしん。一の越で少し休憩して次は雄山への急登となる。黄色の帽子をかぶった小学生(6年生)の集団や中学生の一団もいて明るくにぎやか。みんな元気いっぱいだが、なかには勢いづいて走るように降りてくる子もいてハラハラする。先生も大変だなぁ。(小屋に着いて知ったが、前日ここで男性の転落事故があった)。
 雄山のてっぺんは人がいっぱいで、やっとベンチを確保する。山々を眺めながら食事をする、なんとも幸せなとき。

  満も子どもたちも順調に登ってきた。タイツと半ズボンの三人娘にまわりから“山チルドレンだー”の声があがる。ここまで の登山者が多く、小中学生たちは順々に記念撮影をして下山していく。私たちも“立山雄山本宮”の碑の前で写真を撮り出発!
“ちょっとゆっくりしすぎちゃった”と反省しつつ大汝へ。ここは売店の前を素通りして先に行く。登山者はぐっと少なくなった。まだ室堂も後立山連峰も良く見えた。大きな雪田で「雪」を楽しみ、サテ、と歩き始めたらゴロゴロと雷が二回、ヤヤッ、急にガスって来た。
 真砂岳への登りにかかったらまたゴロゴロ。あたりはガスで真っ白になる。元気だったくるみがちょっと不安げになり母親にくっついている。“雨になるだろう”と急遽、内蔵之助山荘に泊まることにした(予定では剣御前小屋泊)。以前泊ったときには雲海の中の日の入りがとてもきれいだった。あした雲海が見れればいいなあ。
 斜面を降りていけば小屋はすぐそこ、みんなは先に行ってしまったけれど、私は雲にどんどん隠れていく剣を見ていた。もう、ここに来るのも最後かな。山々がガスに隠れ、小屋に着いたとたんに雨になった。「ちょうど良かったね」とみんな。その夜は貸切り部屋で、トランプをしたりで大騒ぎ。夜中「雲海は?」と、何度も外を見たが、雨と強風、真っ白の世界だった。


■8月11日(ガス、雨、曇りのち晴れ)
  内蔵之助小屋7:20→剣御前小屋10:10発→雷鳥沢13:35発→室堂→立山16:00着

 食事をしながら様子をみる。雨と風、どうする。が、雨はだんだん小ぶりになった。小屋の外にかかっている温度計は10℃。
 「お世話になりましたー」、小屋の主人とお兄さんが見送ってくれた。雨はやんだが風はビュウビュウ。それにしても子どもって元気。強風にもひるまず真砂岳の頂上にむけてどんどん登っていく。私は息が切れてきついこと。頂上からは岩場の上り下りが続く。あたりは真っ白なのでちょっと離れるともう姿が見えなくなる。「離れないでねー、風がきたらしゃがむのよー」と、後から叫ぶが強い風に消されてしまう。どういうわけか鼻水がつぎつぎに出て、鼻をかんで写真を撮って をしているうちにどんどんみんなと離れてしまう。夫は遅れがちの私と、娘一家の面倒を見るのに忙しい。
大きな岩のところにたどり着いたら、岩陰でみんなピッタリくっつきあって休憩していた。予備の靴下を手にはめている。その姿がなんともいえず、ハイ・パチリ。「あのネ、雷鳥がいたんだよ」「雷鳥が道案内してくれたの」と子どもたち、「この岩があってちょうど良かったヨ」と娘。つぎに別山の祠の前でも記念写真を撮ってまた出発。
 たまに会う登山者が子どもたちに「がんばってねー」と声をかけてくれる。もう一つのピークを越える。「あと少しだよー」、池はどこ?と探したが、まったく見えない。と、ガスの中にかすかに山小屋が見えてきた。前に来たときには屋根に布団がいっぱい干してあったなー。安心したせいかトウヤクリンドウの花が目に飛び込んでくる。それ!と、一気に下って剣御前小屋に無事到着。温かいおしることカップラーメンを食べてホッ。
 まだ風も強く寒いので、残りの衣類も着込んで小屋を出る。
あとは降りるだけ。だんだん風も治まり暖かくなってきた。ハイマツがあらわれ、チングルマのお花畑やウサギ菊などなどに目がゆく。休憩しながらカッパや衣類を脱いでいく。みんなの顔もやわらかくなり笑顔も出てきた。剣をめざす若者たちが続々と登ってくる。ガスが切れ雷鳥沢の色とりどりのテントが見えてきた。室堂は“晴れ”だ。ちょうど良かった。私がひそかに心配していた雷鳥沢の浄土川の一本橋を満は慎重にこえてきた(ちょっと怖かったって)、もう大丈夫だね。
 テント場で大休止。お湯を沸かし、ラーメンを食べて、コーヒーを飲む。剣御前が見えてきた。「みんなあそこから降りてきたんだよ」。帰りは地獄谷を通ることにした。この間、いつもしっかりと2番目を歩いてきたなつみが地獄谷は怖くて母親の手を握って離さない、子どもっておもしろいなあ。装備不良で一番寒がっていたあずきは、それでも双子の妹たちを気遣っていた。
 娘一家にとって、楽しくちょっときびしい北アルプス初体験。“別世界”との出会いとなったが、満はなんども「ありがとうございました」といってくれた。娘は「ちょうど良かった、いい経験になったよ。装備はちゃんとしなくちゃ」という。「なんでも、“ちょうど良かった”だね」とみんなで笑ってしまう。
 後日写真を持って訪ねたら、満は「つぎは八ヶ岳に行きたい」と言う。ヤッター!これで登山人口が確実に5人増えたことになる、良かったー。(そのとき「山岳保険に入らなくちゃぁ」と、まさに一般同行者の山岳保険の話になりました)              山本暁美 記

















               内蔵助山荘まえで











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