《日程》2012年3月24日(土)雨のち晴れ時々曇り
《参加》 日比野、末石(妙)、深沢、中村、毛塚、林、末石(五)、高橋(記録)
早川(講師)、日比野知人2人、末石知人1人、 総勢12
《行程》 品川9:14(京浜急行線)⇒三浦海岸(京急バス)⇒白秋碑前下車10:30・・・ウミウ展望台・・・赤羽根海岸・・・馬の背洞門(斜層理)・・・城ヶ島灯台(昼食)・・・長津呂崎(炎状構造)・・・灘ケ崎(スランプ層)・・・城ヶ島バス停=三崎港バス停・・・14:20水中観光船・・・15:00「鮨処魚音」15:50・・・三崎港バス停⇒三浦海岸⇒品川
《費用》三崎マグロ切符¥2980(泉岳寺・品川=三浦海岸、城ヶ島バス乗降自由)
《記録》
私は大き目のビニール傘を差して家を出る。前夜「未明に雨が上がり天候は回復して晴れ」を信じた面々が品川に9時に集結する。「特快」電車の先頭に座り小学生に戻った気分で、隣席の深沢さんと話が弾む。ちょっとウキウキ気分。途中車内から三浦海岸駅沿線の河津桜を見かける(開花が例年より1ヶ月遅くて3月8日が満開)。小雨が車窓を濡らすがそのうち運転席のワイパーの動きがたまさかとなり、予報通り終点三崎口駅に着く頃に青空が拡がる。品川駅で乗り遅れた人の到着を待っている間に買い物等を済ます。
バスを待つ間に自己紹介。私は「地層観察」に惹かれて参加したが単に地層を観察しながらのハイクと思ったら、リーダーの日比野さんがしっかりガイドを伴って来ていて嬉しい。ガイド役の早川さんは日比野さんと組合員105000人の「全日本年金者組合」で一緒に活動していて都立高校の生物教員だった方です。同じ組合員で千葉から参加された女性2人もいて、今日のハイキングは総勢 12人で歩く学習ハイクです。これが結構楽しかったのだ。早川さんが用
意されたプリントが大いに役立つ。城ヶ島は『日本の地形百選』に選ばれている。ちなみに私は昨年9月のバルトロ氷河トレックでは地層断層の百貨店みたいな山岳地帯を歩いたから今日の地層解説はとても興味深かった。城ヶ島大橋を渡って直ぐ「雨はふるふる城ヶ島の磯に・・・」の白秋碑前バス停で下車する。
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陽射しは強く風も強い。城ヶ島公園に向かう車道を上り途中から右に折れ尾根筋?を歩く。左は赤羽根海岸の断崖絶壁で押し寄せる白波が豪快に砕ける。ウミウ展望台で東南東方向の急峻な30mの崖(三浦層と関東ローム層から成る海食崖)に数百羽の海鵜とヒメウが巣くっている様子を早川氏の双眼鏡で覗かせて貰う。はるばる千島列島から秋口に飛来する渡り鳥という。
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大崎の目黒川でもウミウは見かけるが渡りとは知らなかった。霞で房総半島も大島も見えませんが茫洋とした太平洋の眺めが素晴らしく気分良し。展望台を過ぎ関東ローム層の上を歩いていきます。急坂を海岸に下りながら早川さんが目の前に突き出た赤羽根崎の海岸段丘を指し「岩盤の中でピンク色したのが拡がって見えますが、ピンクタフといって凝灰岩の鍵層です」と説明される。東京軽石層は49000年前の箱根火山の爆発で噴出した火山灰層。≪鍵層≫とは判別容易な特徴ある層を指し地層の比較解析に有効となる層をさす。
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磯に下りるとすぐが関東大震災(1923年9月)で1.4 m隆起した海蝕洞「馬の背洞門」です。隆起前は上を歩けたそうですが今は禁止です。波の浸食で眼鏡状の穴が開いたこの岩を形成しているのは斜めに堆積する≪斜層理≫で、地層が水の流れなどで斜めに堆積して固まった層だという。≪層理≫という聞き慣れない単語を何回も聞き、自分は日本国のしょうもない総理を連想する。 |
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関東大震災は2ヶ所震源のあった双子地震で、最初のは神奈川県小田原の直下で断層が滑り、約10〜15秒後に2度目の大きな滑りがここの三浦半島城ヶ島直下で起こったという。ここでアオサを採集(家で煮たら磯の香りが消えてしまい固い)。
岩を伝い砂地の浜を西へ歩く。右手の入江状になった所は断層が走っていて、東北地方太平洋沖地震で崩れ落ちた大岩があり、直近の地殻変動を直に目にする。 |
その右手に高さ2m奥行き5〜6mの洞窟がある。これも海食洞である。80年前は海だった海岸段丘の岩場をアップダウンして高さ11.5m城ヶ島灯台(1870年設置、1923年倒壊、1926年再建)に行き広場で昼食となる。アシタバの若葉がみずみずしく生えている。
灯台から相模亭食堂の脇を通り長津呂崎に下りていく。この長津呂崎の磯で堆積模様や褶曲模様などさまざまな特徴ある地層を学習する。炎状構造(オドリタフ)の黄味を帯びた白い地層は写真でも分るようにゆらぐ炎のようなあるいはくだける波がしらのような形状をしている。ずれた断層から断層へとこの特徴あるこの鍵層を目で追っていくことは興味深く、切れ切れだった地層が繋がって追跡できていく。
火焔土器の頭の部分が連なって延びていくようにも見える。三崎層は2300万年前に生成したというから恐ろしく永い時を重ねた堆積物で、隆起した結果その造形物をこうやって目にすることが出来るし解説があるので興味も増す。地層の描く紋様が不思議なほど変化に富んでいて見事である。
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炎状構造の地層を踏みつけて集合写真を撮って貰う。京急ホテルのトイレを借りる。城ヶ島西端の灘ケ崎に向かう。観光橋を渡り火山灰層が幾重にも重なり固まった岩礁地帯を歩いていく。傾斜した地層が続く。激しい地殻変動の証左が美しい。ここに海底地すべり地層を見る。 |
スランプ構造(地滑り構造)ともいい、堆積物が硬くなる前に海底斜面を滑り落ちるような外力を受け不規則に乱堆積したクネクネの構造があちこちに見られる。近年崩壊した岩場でゴカイの生痕跡などを見てから、城ヶ島バス停に向かう。ここでコンブを拾う(表面が汚らしくてほんの少し佃煮にしたら味はOK)。 |
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レジャー施設券を大いに活用しようと遊覧船に乗ることにする。三崎港バス停で早川さんは下車せず先に帰られる。14時20分水中観光船『にじいろさかな号』の船体の下半分の水中展望室に座ったものの強風で沖にも出られないし漁礁にも回遊できず海水が濁り何も見えない。見えないと言われても粘ってガラス窓から海中を見つめていたがダメ。仕方なく甲板に上がる。 |
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今風の「マルマル・・・」と子供向けのマーチが流れる船上で、三浦一族の史跡がうんぬんとか大橋のことなど解説が放送される。三崎港を出て城ヶ島大橋をくぐり宮川湾を巡って船着場に戻っただけ。でも20分間海からの景観を楽しむ。岸壁に福島原発による放射能汚染を逃れて福島水産高校『福島丸』が停泊している。早く故郷の港に戻りたいだろうに、やるせないこと。
イベントの最後のマグロ食事券を利用できる店を探す。『鮨処魚音』に入る。乾杯。私はマグロの7種の部位を盛った「マグロ三昧どんぶり」を注文する。ちなみに胃・頬肉ユッケ・心臓・卵・赤身ズケ・トロメカジキ炙り・ネギトロの7種。楽しい時間を過ごす。話も弾み皆満足そう。店前で解散する。メモを取らなかったのに遊覧船の中でこの記録を引き受けたので自分なりに地層の事を調べる。私は子供が小さい頃城ヶ島より油壷の方に遊びに出かけていた。今度は快晴で遠望の利きそうな日を狙って城ヶ島に実地学習に行きたいと思う。
早川さんの解説が新鮮でこの他にも多くの解説をして頂き、しかも各ポイントでは「ここにトイレがあります」の助言も適切で、一日大いに楽しむ。日比野さん、早川先生、ありがとうございました。 (了)
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