島全体が山の印象・利尻岳1721m

―思い立ったが吉日−

 メンバー 堤・松平・蓬生(記)

 山行日  2013.6.30

 

北海道で生まれ育ちながらも、これまで道内の登山機会には恵まれることはなかった。

利尻島には熊も蛇もいないので安心だが、交通費と休暇がネックになり実現できずにいた。この度、札幌から利尻への航空便があることを知った。梅雨がなく、昼間の時間が長いこの時期であればと、過去の天気情報から晴天確率の高い日を調べて日程を決めた。チャンスは何度も訪れることはなく思い立ったが吉日である。

6/29 島に近づくにつれ、一つの山が海中から突き出たような印象をもつ。空港に降り立つと、青空に雄姿を見せていた。ゴールデンウィークが終了した57日、地元のホームページによる利尻岳の写真は、山麓から頂上まで真っ白に雪に覆われていた。今年の春は、3月を除いて気温の上昇が遅く、どの程度雪解けが進むのか心配だったが杞憂であった。

鴛泊の街中でガスと食料を買い込んで、北麓野営場230mに向かう。Tさんが町の観光課への問い合わせたところ「歩くのは大変」ということであったが、往復10時間を要するといわれる登山をしようとする者が、1時間程度の歩きができないなんて。それでは情けないとばかり、タクシーは利用しなかった。日差しの下では結構な汗をかかせられたが、16時には到着し、テントを張った。明日も天候がよさそうなので、早朝から登山開始とすべく、まだ明るいが19時過ぎには就寝。

利尻空港で 朝の北麓野営場

6/30 翌朝、3時がすぎると周囲が明るくなり、4時前には山頂に向かう幾組かの登山者の姿が認められた。

簡単に朝食をとり、我々も歩き出す。10分ほどで名水100選にも選ばれている甘露泉水で、三合目にあたる。5時には太陽が姿を見せる。五合目「雷鳥の道標」で一休み。
標高は450mほど。この「合目」の表記は高度ではなく、山麓からの距離で表していることに気づいた。
長官山からの利尻岳頂上

第二見晴台に上がると高木はなくなり、港や飛行場が眼下に見える。風が強く、半袖だと寒いほどだ。長官山で八合目、避難小屋へは緩やかな下りとなる。この辺りの登山道脇には少ないが高山植物が姿を見せる。標高1410m地点で9合目。先行者はリシリヒナゲシが自生しているとかで、立入り規制のロープ内に入り込んで探していた。ここから山頂にかけて、風雪や人為的な影響による浸食を受けた火山礫の登山道は、歩きにくいことこの上なし。







山頂には
910分に到着した。野営場から4時間30分を費やしたこととなる。360度の大展望が得られ、樺太=サハリンも見えるというが、あいにくと雲に覆われて礼文島も定かではない。

南峰は1721mで北峰より3mほど高いが、崩落が進行しており立ち入ることはできない。休んでいる間にも登山者が到着し、総勢10数名といったところ。

下山は来た道を引き返す。登りではさほど気にかけなかったが、五合目までは勾配も急だ。石が転がっており滑らないように大変神経を使う

南峰とろうそく岩 リシリヒナゲシ(山麓で撮影)

北麓野営場に戻るとテント下に置いておいた食料が、保冷バッグごとなくなっていた。カラスの仕業であろう。簡単に撤収し、30分ほど下の野営場へベースを移す。近くには利尻富士温泉があり、街にも近い。ここでもテントを設営し、荷物整理をしている最中にレジ袋に入れてあった食料を持ち逃げされた。人間を恐れることもなく、鮮やかな手口と言わざるを得ない。翌朝、隣のテントの人は石鹸を盗られていた。石鹸も食べてしまうというから驚きだ。

予定どおりの登山が完了したため、翌日は定期観光バスで島内を一周した。ウニは不漁とのことだったが、ビールとともに美味しくいただきました。

遠くまで出かけたものの、長時間歩行のわりに緊張感や変化に乏しいからだろうか、満足というには物足りなさが残った。先週の奥多摩・クドレ沢遡行の方が充実していたように感ずる。

 

コースタイム

 北麓野営場(230m4:40→甘露泉水(三合目270m4:50→第一見晴台(六合目760m
      6:00→長官山(八合目1220m7:30→九合目(1410m8:00→山頂1718m
9:10
      9:40
→長官山10:50→第一見晴台11:45→四合目12:30→北麓野営場13:10





 

 




















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