岩菅山 2295m

―開発を免れた静かな山―

 

この山を知るきっかけは、冬季長野オリンピック(1998年開催)に際し、滑降競技会場とするプランからである。国土計画(西武資本)がスキー場開発をもくろんでいたそうである。山岳団体や自然保護団体の反対もあり、計画は断念された。日本経済のバブル期であった1987には総合保養地域整備法リゾート法)が制定された。産業振興と国民経済の均衡的発展を促進し、多様な余暇活動が楽しめる場を民間事業者の活用に重点をおいて総合的に整備することとしていた。しかし、バブルの崩壊で「グリーンピア」(年金保険料を原資とした)をはじめとする惨憺たる結果は、記憶に新しい。岩菅山は、そんな舞台の一つである。

4/13 長野駅へ向かう新幹線の車窓からは、満開の時期を迎える桜が眺められる。ここからバスに乗り換えて、奥志賀高原へ。標高の低い位置にあるスキー場はすでに営業は終えている。

一の瀬スキー場の先プリンスホテル西館前でバスを降り、装備の受け渡しや身支度を整える。ここの標高は1600mほど。今日は、5月連休時の陽気を思わせるほど暖かい。

 

プリンスホテル西館前で出発の準備です

一の瀬スキー場の先プリンスホテル西館前でバスを降り、装備の受け渡しや身支度を整える。ここの標高は1600mほど。今日は、5月連休時の陽気を思わせるほど暖かい。

聖平登山口を過ぎ、アライタ沢にかかる橋をわたって沢沿いに進む。行きには2回徒渉した。ハシゴ沢とアライタ沢が合流すると、2072mから西に伸びる尾根に上がることとする。

尾根に取付く前に2回の徒渉です

等高線は密だが、短時間で高度が稼げる。1870m付近の平坦地を幕営地とした。遠くに見えていた岩菅山もずいぶんと近づいた感がある。テント設営が終われば、雪のテーブルを囲んで宴会だ。残雪期ならではの楽しみである。

 

沢から急な尾根に這い上がります

気温が高いので水作りも効率がよい。すき焼きの夕飯を終え、寝るまでの間は歌を歌う。久しぶりに見る満天の星が、明日の晴天を約束してくれるかのようだ。夜中には強い風が吹いていたが、さほどの冷え込みもなく、水が凍ることもなかった。

テントを張り終え、雪のベンチでビールで乾杯です



4/14 前夜に下ごしらえをしたうどんを食べ、アイゼンを装着して歩き出す。前日のものと思われるトレースが残っている。

2050m辺りで小休止。ここから頂上は見上げるような格好になり、結構な急勾配だ。

2050mでの小休止で岩菅山を見上げます

頂上直下の東側は岩と雪に覆われている。樹林沿いに上がるのが良かろうと判断する。夏時間の目安は45分。歩いてみるとさしたる困難もなく記念碑が立つ頂上に達した。山頂の標識も避難小屋も雪の下に埋もれている。

岩菅山へ最後の急登です

ステンレス製の煙突だけが雪面に頭を出しており、この下に小屋があることがわかる。ざっと3mくらいの積雪深だろう。谷を挟んで焼額山と相対するが、スキー場のために樹木が伐採され、痛々しい姿を見せている。

余裕があれば裏岩菅山に行く予定であったが、アップダウンを考えると気が進まない。遮るもののない山頂からの展望は、南東には浅間山と草津白根山、裏岩菅山の北には鳥甲山があり、西側には妙高連山、左手には黒姫山と戸隠の山、その奥には北アルプスの真っ白い峰々が聳えている。

岩菅山での記念撮影です
姿の非常に美しい岩菅山です。

 春霞ため、展望良好というわけにはいかない。周囲の展望と山座同定を楽しんで下山とする。9時を過ぎるとアイゼンは雪が団子状となる。50分ほどでBCに戻り、撤収を済ませる。

昨日の登りとは少々ルートを変更して下山した。除雪されていない林道は、ゆるい上り坂とやわらかい雪に足をとられ、異口同音に「ここが一番辛かった」とのことだった。

 

ゴール真近かの緩やかな登りの林道はみんな辛かった

 昨年末に計画し中止した山であるが、宿題とならないうちに終えられ、まずは良しとしよう。ひと月ぶりの山行は体力的に厳しい。怠け者の私には難しいことではあるが、普段からのトレーニングが欠かせないということでしょう。(蓬生・記)

【参加者】L田口、蓬生、上野、佐藤、堤、福井、松平、丸山、横山、

【コースタイム】

4/13 東京駅発724──(長野新幹線)──849長野駅─(バス乗り継)─プリンス西館1100出発準備11:25─(林道歩き)─1206ハシゴ沢出合──2回徒渉ののち尾根に取付──→1870m付近 14:05 BC   2030消灯

4/14  BC 6:252050m7:157:25──   

815岩菅山頂上(お茶)8:50    

──BC 9:40(帰着)、

   撤収後10:22──1105ハシゴ沢出合の橋──(雪の林道歩き)──1200一の瀬バス停()近くのスキー場ロッジで食事後バス──湯田中─(長野電鉄)──長野駅──(新幹線)──東京駅

 

 

 





























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