2014雪山教室 タカマタギ

2014年雪山教育山行に参加させていただき思う存分に雪山を楽しみました。

行 先:タカマタギ(1,529m) ※二日目860m付近のテント設営地より上には行かず撤退

日 程:20141213()14()

コース:(一日目)土樽駅1004→出発1030→毛渡橋1045→取付き地点1120→鉄塔1050860m付近着1330(テント設営)→夕食1800→就寝2000(行動時間約3時間)

                 (二日目)起床430→朝食600→テント撤収→下山開始745→鉄塔1200→取付き地点1230→毛渡橋1445(タクシー)→土樽駅1515(行動時間約7時間)  


メンバー:田口()、蓬生、新美、横山、松平、堤、佐藤、得津(記録)

今年の雪山教育山行は新潟県湯沢町のタカマタギでした。タカマタギは群馬県の県境谷川連峰西端の平標山から北、約5.5㎞に位置します。「タカマタギ」って、いかにも「雪深い上越の山」って感じの名前ですね。厳しい雪国の生活を支えるために狩猟に入った昔のマタギの方々が名付けた山なのでしょうか。


僕にとっては初めての新潟の山、しかも積雪期にしか登れない山ということで楽しみにしていましたが、週末の天気予報では新潟県の日本海側は暴風雪に注意と伝えていましたので多少の不安もありました。7時8分東京発の上越新幹線で高崎駅まで行き高崎駅からローカル線に乗り換え10時4分に土樽駅に着きました。土樽駅の小さな駅舎で身支度を整え、いよいよ出発です。


雪に煙る毛渡沢に架かるJR上越線の橋梁

 

駅舎を出ると外は雪も降っていなくて風も無く穏やか。毛渡橋までは県道を歩きますが心配していた積雪も融けていて林道に入ってからも道端に雪が少し残っているくらいで何となく拍子抜けした感じです。

しばらくは尾根への取り付き地点を探しながら林道を歩き、堰堤手前の急な斜面に尾根に取り付けそうな入口を見付け、登ってみると木に巻き付けた目印の赤いテープがありました。

 

山の中に入ると最初は足首程度だった積雪も次第に深くなり、膝上程になった所で和かんを付けました。

この頃からべたっとした冷たく重い雪が降り始めていました。

先輩たちは手袋を付けたままでも手際良く和かんを付けるのですが、僕はどうしても上手く出来ずに、結局手袋を外して素手で作業するので指先が雪に濡れて悴んで仕方ありませんでした。佐藤さんが薄手のインナー手袋を差し出してくださり助かりました。

一夜にしてテントも埋まるほどの降雪でした。

 ここからは交代でのラッセルが始まりました。雪深い上越の山とは言えまだ12月。木々が埋まるほどの積雪量に達するのは2月3月との事で、行く手を阻む木の枝を手で払い、和かんが木の枝に引っ掛らないように足を高く上げるのに余計な体力を使いました。

取り付いてから2時間。860m付近のブナの木に囲まれた静かな場所に着きました。西の空に僅かですが青空が見え、気持ちが高揚したのも束の間、青空も完全に雪雲に隠れてしまい、さっきよりも雪の降り方が激しくなって来ました。天候の変化を見ていた田口リーダーから「ここでテント張ろう」との指示があり、皆でテント設営に取り掛かりました。


夜にしてテントも埋まるほどの降雪でした

 

まずは僅かに傾斜した雪面の地ならし。スコップで雪を取除き出来るだけ平坦地を作りました。僕は張り綱に竹ペグの付け方やペグの埋める位置を教えてもらい、雪の中に埋めました。

 

テント設営が終わると今度は水つくりのための雪集め。ナイロン袋2袋にたっぷりと雪を入れました。テント内に入ると早速、水つくり。コッヘルで雪を取り鍋に移す作業を何度も繰り返します。先輩方に水つくりや夕食の準備などやっていただきすみませんでした。

午後2時過ぎ、一通りの作業が終わり、やっとテント内で温かい飲み物を口にし、ほっとしました。蓬生さん、田口さん、横山さんたちは早速、隣のテントで盛り上がっていました。今夜は豚汁鍋。暗くなる前に夕食の準備を松平さんと堤さんがしてくださいました。松平さんがコッヘル鍋で焦げ目も付けずに完璧にお美味しいごはんを作ったのにはびっくりしました。皆がジャンボテントに合流し、鍋を囲みお酒を飲んでの語らいは何とも楽しいものですね。

人生の先輩方の話は山の話に限らず世間話を聞くのは楽しいものでした。夜になってテントの外に出てみると随分と雪が積もっていました。 夜8時過ぎに就寝。テント内は温かくて寝袋に入ると朝まで寒さを感じることはありませんでした。

 一度夜中に「どさっ」とテントに雪が被さる音で目が覚め、大丈夫かなと考えているとまた眠ってしまいました。

早朝4時30分起床。テントの入口は雪で塞がれていました。

新美さんと佐藤さんが入口付近を除雪してくださり外に出てみると一夜で1m近く積もったのでしょう。

ジャンボテントの外張りに雪が圧し掛かり、完全にテントの周囲は雪で埋もれていました。


深々と降り積もる雪の中を歩きます。

 まだ雪は降り続いていましたが風はありませんでした。 テント内に戻ると堤さんと松平さんが朝食の讃岐うどんの準備をしていました。

朝食を終えると田口さんと蓬生さんが「テントを撤収して下山しよう」と言ったので、最初は冗談を言っているのかなと思いましたが「上に行っても眺望無いし、テントを撤収するだけでも2時間は掛かる。今撤収しないとえらいことになる」と言うのを聞いて、どうやら本気で言っているのだと思いました。

ここはまだ標高860m、しかも時間はまだ朝の6時。僕なら行ける所まで行ってだめなら引き返せば良いという判断をしてしまいますが、田口リーダーたちは今日の雪の状況を見て、一刻でも早く下山に取り掛からないとテント撤収どころか下山も危うくなると判断したようです。でもその判断がものすごく適切だったことを後で思い知る事になりました。


胸程の高さの積雪をラッセルして進みます
テントを撤収するために周囲の除雪作業を行い、固くなった雪に埋もれたペグを掘り起こすのに苦労しました。蓬生さんが言う通り、下山の身支度を整えるまでに2時間近く掛かっていました

 下山は、腰の高さにまで積もった雪を場所によっては胸程もある雪を大人8人交代でラッセルしなければならず、文字通り雪の海を泳ぐようにして進み、体全体で雪を退かしてといった体力の消耗戦が延々と続きました。 とにかくあまりの雪の深さに田口リーダーが取り出したスコップを使って新美さんが力強くラッセルする様子を僕は後ろで見ていたのですが、すごい体力だなと思いました。

10時を過ぎてちらっと高度計で確認すると確かまだ700m付近だった思います。つまりたった150m標高を下げるのに3時間以上掛かっていたことになります。13時を過ぎてようやく林道に辿り着き、ラッセルから解放されると思いきや、林道でも胸程も高く積もった雪で毛渡橋に着いたのは230分を過ぎていました。結局、テント設営地から毛渡橋までの約3.6㎞、標高差約350mを約7時間掛けて歩いたことになります。水上駅前の郷土料理屋で僕は田口リーダーに「いつの時点で下山を決めたのですか?」と聞くと「朝、何となく雰囲気で決めた」とのことでした。経験値と想像力が成せる判断なのでしょうね。

皆で苦労して下山した分、下山後のビールとけんちんうどんは最高に美味しかったです。今回の雪山山行はたった350m程登っただけで撤退ということになりましたが、雪山の怖さの一端を知ることが出来、貴重な経験になったと思います。さすが上越の雪山ですね。皆様どうもありがとうございました。 ところでタカマタギからの眺望って素晴らしいそうですね。ぜひまた行って見たいです。(得津)

 

 








今年の雪山教育山行は新潟県湯沢町のタカマタギでした。タカマタギは群馬県の県境谷川連峰西端の平標山から北、約5.5㎞に位置します。「タカマタギ」って、いかにも「雪深い上越の山」って感じの名前ですね。厳しい雪国の生活を支えるために狩猟に入った昔のマタギの方々が名付けた山なのでしょうか。
12月13日

859 渋川駅付近の榛名山には雪が見えませんでした。

1043 土樽駅の雪の階段を下りました。
僕にとっては初めての新潟の山、しかも積雪期にしか登れない山ということで楽しみにしていましたが、週末の天気予報では新潟県の日本海側は暴風雪に注意と伝えていましたので多少の不安もありました。7時8分東京発の上越新幹線で高崎駅まで行き高崎駅からローカル線に乗り換え10時4分に土樽駅に着きました。土樽駅の小さな駅舎で身支度を整え、いよいよ出発です。

1054
駅舎を出ると外は雪も降っていなくて風も無く穏やか。毛渡橋までは県道を歩きます。

1140
心配していた積雪も融けていて林道に入ってからも道端に雪が少し残っているくらいで何となく拍子抜けした感じです。

1206 標高680mの送電線鉄塔です。ワカンをつけずに快調にあるきます。翌日の同じ地点の写真と比較してください
しばらくは尾根への取り付き地点を探しながら林道を歩き、堰堤手前の急な斜面に尾根に取り付けそうな入口を見付け、登ってみると木に巻き付けた目印の赤いテープがありました。

山の中に入ると最初は足首程度だった積雪も次第に深くなり、膝上程になった所で和かんを付けました。

この頃からべたっとした冷たく重い雪が降り始めていました。

先輩たちは手袋を付けたままでも手際良く和かんを付けるのですが、僕はどうしても上手く出来ずに、結局手袋を外して素手で作業するので指先が雪に濡れて悴んで仕方ありませんでした。佐藤さんが薄手のインナー手袋を差し出してくださり助かりました。



1315
取り付いてから2時間。860m付近のブナの木に囲まれた静かな場所に着きました。西の空に僅かですが青空が見え、気持ちが高揚したのも束の間、青空も完全に雪雲に隠れてしまい、さっきよりも雪の降り方が激しくなって来ました。天候の変化を見ていた田口リーダーから「ここでテント張ろう」との指示があり、皆でテント設営に取り掛かりました。

1326 テントサイトを足で踏み固めました。
まずは僅かに傾斜した雪面の地ならし。スコップで雪を取除き出来るだけ平坦地を作りました。僕は張り綱に竹ペグの付け方やペグの埋める位置を教えてもらい、雪の中に埋めました。










15:50 ときどきテントをでてはテントの裾に溜まった雪を除いたり、払ったりしていたのですが。

テント設営が終わると今度は水つくりのための雪集め。ナイロン袋2袋にたっぷりと雪を入れました。テント内に入ると早速、水つくり。コッヘルで雪を取り鍋に移す作業を何度も繰り返します。先輩方に水つくりや夕食の準備などやっていただきすみませんでした。

午後2時過ぎ、一通りの作業が終わり、やっとテント内で温かい飲み物を口にし、ほっとしました。蓬生さん、田口さん、横山さんたちは早速、隣のテントで盛り上がっていました。今夜は豚汁鍋。暗くなる前に夕食の準備を松平さんと堤さんがしてくださいました。松平さんがコッヘル鍋で焦げ目も付けずに完璧にお美味しいごはんを作ったのにはびっくりしました。皆がジャンボテントに合流し、鍋を囲みお酒を飲んでの語らいは何とも楽しいものですね。

人生の先輩方の話は山の話に限らず世間話を聞くのは楽しいものでした。夜になってテントの外に出てみると随分と雪が積もっていました。 夜8時過ぎに就寝。テント内は温かくて寝袋に入ると朝まで寒さを感じることはありませんでした。




12月14日

 一度夜中に「どさっ」とテントに雪が被さる音で目が覚め、大丈夫かなと考えているとまた眠ってしまいました。

早朝4時30分起床。テントの入口は雪で塞がれていました。

新美さんと佐藤さんが入口付近を除雪してくださり外に出てみると一夜で1m近く積もったのでしょう。

ジャンボテントの外張りに雪が圧し掛かり、完全にテントの周囲は雪で埋もれていました。

715 テントを撤収しますが、ジャンボテントのポールが見事に折れていました。間違って折ってしまった事はあっても雪で折れたのは過去に例がありませんでした。

まだ雪は降り続いていましたが風はありませんでした。 テント内に戻ると堤さんと松平さんが朝食の讃岐うどんの準備をしていました。

朝食を終えると田口さんと蓬生さんが「テントを撤収して下山しよう」と言ったので、最初は冗談を言っているのかなと思いましたが「上に行っても眺望無いし、テントを撤収するだけでも2時間は掛かる。今撤収しないとえらいことになる」と言うのを聞いて、どうやら本気で言っているのだと思いました。


745
ここはまだ標高860m、しかも時間はまだ朝の6時。僕なら行ける所まで行ってだめなら引き返せば良いという判断をしてしまいますが、田口リーダーたちは今日の雪の状況を見て、一刻でも早く下山に取り掛からないとテント撤収どころか下山も危うくなると判断したようです。でもその判断がものすごく適切だったことを後で思い知る事になりました。

750
テントを撤収するために周囲の除雪作業を行い、固くなった雪に埋もれたペグを掘り起こすのに苦労しました。蓬生さんが言う通り、下山の身支度を整えるまでに2時間近く掛かっていました

905 標高775mをラッセツして下りました。これより一寸上の標高820m付近は尾根がやや広く、下っている尾根が確認しずらい場面もありました。
下山は、腰の高さにまで積もった雪を場所によっては胸程もある雪を大人8人交代でラッセルしなければならず、文字通り雪の海を泳ぐようにして進み、体全体で雪を退かしてといった体力の消耗戦が延々と続きました。 とにかくあまりの雪の深さに田口リーダーが取り出したスコップを使って新美さんが力強くラッセルする様子を僕は後ろで見ていたのですが、すごい体力だなと思いました。

911

941

1019 標高680mの送電線鉄塔でラッセルすつ田口りーだーです。前日に登っている写真と比較して下さい。
10時を過ぎてちらっと高度計で確認すると確かまだ700m付近だった思います。つまりたった150m標高を下げるのに3時間以上掛かっていたことになります。

1039 尾根の末端から黙々とラッセルする得津さんが見えます。
13時を過ぎてようやく林道に辿り着き、ラッセルから解放されると思いきや、林道でも胸程も高く積もった雪で毛渡橋に着いたのは230分を過ぎていました。

1157 林道をスコップで左右に雪を掻き分けながら進む得津さん。凄い馬力です。彼が参加してくれなかったら、下山時間はもう1時間は余計にかかったでしょう。
林道でも胸程も高く積もった雪で毛渡橋に着いたのは230分を過ぎていました。

1238 昼食を終え、黙々とへ向かってラッセルを続けます。ちょっとの距離なので焦りはありませんでした。

1308 雪に煙るJR上越線の毛渡橋鉄橋です。ここから県道まで行きに7分のところが帰りはなんとぴったり60分かかりました。
結局、テント設営地から毛渡橋までの約3.6㎞、標高差約350mを約7時間掛けて歩いたことになります。水上駅前の郷土料理屋で僕は田口リーダーに「いつの時点で下山を決めたのですか?」と聞くと「朝、何となく雰囲気で決めた」とのことでした。経験値と想像力が成せる判断なのでしょうね。


1524 毛渡橋からタクシーを呼びました。あまりの大雪にタクシーが来てくれるのか心配でしたが、タイミングよく除雪車が県道を除雪中でした。
タクシーが来るので除雪をお願いしました。

無事に越後湯沢駅前に到着、駅前も12月14日にこれだけの積雪がありました。駅前で雪で狭くなった商店街を食事処を探しました。

1620 駅前の「けんちん汁」店でビールと熱々のけんちん汁で打ち上げをして、快適な新幹線で帰京しました。上越線は大雪で不通との事で、土樽駅で電車がなく、閉じ込められたらどうなっていたのでしょうか。 

皆で苦労して下山した分、下山後のビールとけんちんうどんは最高に美味しかったです。今回の雪山山行はたった350m程登っただけで撤退ということになりましたが、雪山の怖さの一端を知ることが出来、貴重な経験になったと思います。さすが上越の雪山ですね。皆様どうもありがとうございました。 ところでタカマタギからの眺望って素晴らしいそうですね。ぜひまた行って見たいです。(得津)


 









































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