記録  “ツール・ド・モンブラン”TMBトレッキング

高橋(美)

日 程  2016624日(金)〜75日(火)12日間10

山 名  モンブラン〜グランドジョラス〜モンドランのモンブラン山群

目 的  白い峰々を眺め花畑と雪渓を抜けてモンブラン山群の中腹を周回する。モンブ

ラン山群の中腹(標高8072516m)を一周する壮大なトレッキングコースを「ツール・ド・モンブランTMB」と称し、一周総距離は、約170kmで全て歩くと約12日間を要する。モンブランは標高4810m。今回は交通機関利用の可能なところや単調なコースは一部車両を利用して、歩きがいのある景観の良い所を中心にシャモニを起点として途中8つの谷と5つの峠を反時計廻りで歩き、フランス、イタリア、スイスの国境を徒歩で越えて67日(6/267/2)で一周する企画です。最高到達標高は2665m(フー峠・6/27通過)なのでほぼ高度障害は出ないようです。

 

企 画  横浜ハイキングクラブの岡坂準一氏(リーダー)。3年前に岡坂氏が自転車で一周したコースを今回歩いて一周しようと企画された。2016228日の「さんかくてん」の総会で石川氏が参加を呼びかけたのに対して高橋が総会終了後に参加を申し込みました。ガイドは神田氏(元クライマー)。現地手配会社 はAlpes Planning Japon

7/3
、ロッジのテラスからモンブラン(中央双耳峰の右低い方)

 

参 加  横浜ハイキングクラブ男性6名、大田ハイキングクラブ女性2名、練馬山スキー同志会男性1名、品川山の会「さんかくてん」高橋美恵、合計10名。ガイド1〜2名。

 

費 用  計¥344400【航空券(往復)¥113400、トレッキング費用¥2440002110ユーロ、小屋618食、シャモニホテル3泊、ジュネーブホテル1泊、神田氏ガイド料7日間、女性ガイド料3日間、昼食代、マイクロバス代、現地保険料)、ガイドチップ¥6000/2人】、その他¥3-4万【1日パス券・チーズ・外食3回・喫茶2回・遊覧船・飲物・市内交通費・土産etc

 

 

 

 

旅行日程

1日目・6/24(金・晴) 成田空港1055離陸・・(エールフランスKLM航空)→6/24の現地時間1510アムステルダム着・・・乗換1815発→1940ジュネーブ着→バスでフランス・シャモニ2100(日本との時差マイナス7時間、日本は6/25の午前4時)・・・ガイドの神田夫婦経営のシャレー村の快適なホテル並みの設備をそなえたロッジに宿泊(シャレー・シャポニヤール)。

 

2日目・6/25(土・晴れ一時雨) シャモニ市内の観光

宿のテラスからボゾン氷河を従えたモンブラン頂上の写真が撮れてワクワク感たっぷり。宿から徒歩5分のロープウエー乗場からモンブランミディ展望台(標高3,842m)にゴンドラを2本乗り継いで上がった。雲とガスで視界が悪くお目当てのモンブラン山頂は望めない。2013年に来た時も下界は晴れて街からモンブランが見えたのに展望台に上がったら山が全く見えなかった。下界が晴れていても始発ゴンドラで上がれば良いのかもと思う。午後モンブランを向かいに見ることのできる「ブレバン展望台」にゴンドラで上がり、対岸の大展望を楽しむ。14時に登山電車でモンタンベール駅終点まで行きメールドグラス氷河観光を楽しむ。黒ずんだ氷河際からそそり立つグランドジョラス4208mの迫力ある眺めを堪能する。

 

3日目

6/26

(日・曇)

TMB1日目

ボンノム小屋泊(フランス)

4日目

6/27

(月・晴)

TMB2日目

エリザベッタ小屋泊(イタリア)

5日目

6/28

(火・晴)

TMB3日目

クールマイユールホテル泊イタリア)

6日目

6/29

(水・晴)

TMB4日目

ボナッティ小屋泊(イタリア)

7日目

6/30

(木・晴)

TMB5日目

アルペット山岳ホテル泊(スイス)

8日目

7/01

(金・曇)

TMB6日目

トリエン村泊(フランス)

9日目

7/02

(土・雨)

TMB7日目

シャレー村ロッジに戻る(フランス)

10日目

7/03

(日・晴)

シャモニ観光&買物─(バス)─ジュネーブへ・市内観光(泊)遊覧船に乗りレマン湖を1周する。大噴水に虹がかかっている。船内からも乗船場からもモンブランが見え嬉しい。

11日目

7/04

(月・晴)

ジュネーブ905・・(空路)・・1045アムステルダム1404・・

12日目

7/05

(火) 

機内泊後、成田空港840着・・・解散

リーダーとガイドそしてパーティの方々とホテルで相部屋して頂いた大田ハイキングクラブの女性2人に感謝いたします。お蔭で楽しくTMBを歩き通せて嬉しい体験でした。

 

ルート概要

 反時計回りに1周するTMBの初日はフランスのシャモニから車で登山口に向かい、ボンノム小屋泊の翌日、雪のセーニュ峠を越えイタリアの山小屋に泊まり、TMB 3日目に標高1224mの避暑地クールマイユールのホテルで疲れを取ります。TMB 5日目に国境のフェレ峠を越えてスイスに入り、TMB 7日目にパルム峠の国境からシャモニに戻ります。初日と2日目の2日間がきついと思える登りで後は本当にハイキング気分で楽しめました。

 

山行記録

TMB日目<6/26()> 行程6時間(歩行+休憩)

 宿から車でノートルダム・ド・ラ・ゴルジェ教会登山口に9時半に着く。建物は極彩色の教会そのものだが宗教的役割は無くてただの登山口的シンボルという。ならばトイレを設置して欲しい。950トレッキングの第1歩を踏み出す。先行きどうなる事やら、自分の靴に不安があった。緩やかな傾斜のつく登山道を溪谷沿いに進み、初夏の花々が一斉に咲き出した牧場を横切る。小さな小屋を2つ抜ける。水場とトイレがある。その先の平原で12時半昼食を摂る。お握り弁当がのどを通ったので安心した。肌寒い。傍らを雪解け水が流れる小川がある。道標はしっかりある。

 13時雪道となる。私達が来仏する数日前まで雨天と降雪が続き今回6本爪アイゼンを携行している。例年この季節には不要なのだと言われた。左から右へ緩やかに下る雪渓斜面をトラバースして行く。アイゼン不要。ガイドが雪渓を上手に利用して登山道をショートカットして進み、クロワ・デュ・ボンノム峠に早く着けた。この辺から右足内側の踝が靴に当たり軽い痛みを覚え、重心を右外側にかけて踝をかばいながら歩く。この新調した登山靴で湯坂路を1日歩いているのだが今日は登山初日から拙いことになった。辺り一面ガスで視界不良。峠から1時間後の15時45分にボンノム小屋に入る。

 

TMB日目<6/27()> 行程9時間15分(歩行+休憩)

 8時雪道の登りなので初めからアイゼン装着で出発する。積雪はドサッとある。この道も例年なら雪はないと言われるが一面どこもかしこも真っ白だ。やはり右足の踝が靴に当たる。登りは何とか歩けた。しかし50分歩いてフー峠(2665m)から下りになると右足の重心移動がままならない。積雪も多いが傾斜も結構あり重心を外すと腐れ雪を容易に滑る。踝への打撃も大きい。谷の白い景色を楽しむ振りをして歩みをしばしば止めた。ゆっくり歩いた。最後尾を歩くようになり「雪が不得手な人がいる」と言って神田ガイドさんが傍まで来てくれたが、私は「明日でリタイアするしかないかも、どうしようか」と考えながら踝へのストレスが小さくなるような格好で必死で歩くしかなかった。7日間でこの下りは最もつらかった。踝への痛みが脳天まで突き抜けるかのような痛みを初めて味わった。本当に脳髄が一瞬だがズキッと痛む感覚があるのだから驚いた。足の骨の痛みが頭蓋骨まで到達する感じを数回体験し、焦りを覚えた。945分アイゼンを外せてホッとした。

 2-3回の渡渉が終わると周囲の雪が消え、グラシエ谷に広がる花いっぱいの牧草地の中を下る。2週間後には牛が上がってきて花を食べてしまい、2週間前だったら花は咲いていないという絶妙なタイミングが今日だったようだ。ここを何十回も通っているガイドのお二人も初めて遭遇する高山植物の大群落だと言っていた。花の春がいきなり山麓に舞い降りてきたらしい。私たちはラッキーだった。右足の紐をフリーにして問題なく歩くことが出来た。

6/27伊のセーニュ峠:左奥がモンブラン

  牧草地を下り、1140分チーズ牧場に着く。豊かな花の牧草を食べたここの牛からできるチーズは香豊かに美味しくて有名なので、夜のおつまみにワリカンで1キロを買った。モッテ小屋で12時半昼食。2時間20分で標高差700mを登り、仏伊国境のセーニュ峠2516mに到る。イタリア側から見上げるモンブランの山頂は平たい台形を見せていて興味深かった。自分の足で歩いてきてモンブランを眼前にみることのできた感動も湧いてきた。ここから雪道の下りとなり再度アイゼン着用。登山道が雪で埋没しているというベニの谷の雪面を下る。ベニの谷から湿原を過ぎ、高台へと少し登り1715分エリザベッタ小屋2600mに着いた。今日は9時間の行程だったがとても充実した、でも辛い歩きもあった。




TMB日目<6/28()> 行程6時間半(歩行3時間30分+休憩3時間) 

 早朝モルゲンロートを楽しみ、アイベックスの数十匹の群れを見れた。昼はどこに居たのだろう。小屋の周囲は色とりどりの花で囲まれている。右足の痛みは靴の紐を大きく弛めて歩けば何とか凌げそうな感触を得た。

6/28、エリザベッタ小屋出発

 

小屋を8時に出て眼下に広がるコンバル湿原(湖)迄下る。平地に広がる左右の小さな 湖を眺めながら歩く。泊まった小屋が湖水に映る。本来ここから右手の尾根に取り付き標高300mを登り、さらにヴィエイユ小屋迄下る予定だったが、大雪のせいかロープウエーの稼働が3日後からで利用できない。氷河湖を見学に行くことになった。

モンブランの嶺から派生するミアージュ氷河の末端の湖でモレーンが崩れたりして形状が変わってくるらしい。周囲にアイベックスの大群を見た。100頭以上の群れだと思う。カラマツの若草色の芽を食べるのに余念のない仔など見ていて飽きない。

 

 

湿原に戻り、ベニの谷の車道を2時間テクテク歩く。車道からモンテビアンコ小屋迄のちょっとした今日最後の登りをこなすのが厳しい。今日は4時間しか歩いていないのに景色は良かったのに晴天のせいか車道歩きのせいか疲れを感じた。快晴の空の下、テラスで頂くここの昼食は生ハムもサラダもチーズもとても美味しかった。

6/29ボナティ小屋の夕食

 しかも対岸にモンブラン・ノアール針峰・グランドジョラスなどの岩稜群を望みながらの大パノラマランチと言える。この山岳ホテルのような宿で数日滞在するのは大いなる?ささやかな贅沢かもしれない。町から車で来れるし再訪したいと思った場所である。ここで2時間ゆったり過ごしてから、車でクールマイユールのホテルに入り、シャワーを使い、街中のレストランで美味しい夕食を摂る。CourmayeurからChamonixまでは「モンブラントンネル」が通じていて車で戻れるので、私は自己申告して戻る羽目になるかと覚悟していたが先に進むことに決めた。ホテルには後半4日間のトレッキングに使用する着替えなどがトンネルを使って届けられ、また3日間歩いて不要だと思った所持品を送り返せるからすごく便利である。リーダーに荷を軽くするように強く言われている。体調の悪くなった者はここからシャモニに戻ることもできる安心システムが良い。

 

TMB日目<6/29()> 行程7時間(歩行+休憩)

 今日もゆっくりペースである。9時半出発し、登山道入り口まで40分歩き樹林帯に入る。標高差800mを2時間半かけて登り、ベルトーネ小屋(2000m)で昼食となる。この後左手に深い谷が刻まれ、見上げると白いモンブラン山群をずっと携えるように歩けるトレッキングの醍醐味を満喫できる歩程が待っていた。標高2000mのほぼ水平の登山道には高山植物が咲き乱れていて、ここを3時間かけたアルプス漫歩の絶景は印象深かった。
今夜の宿のボナティ小屋2025mに16時過ぎに着いた。小屋の眼前右手に仏・伊・瑞西(スイス)三国の国境の山モンドラン3823mが聳える。もちろんモンブランもグランドジョラスも望める。夕食前のひと時、今日巡り会った花の名前を本で探してみた。19時小屋の夕食に集う登山客はヨーロッパ各地や豪州・中国など国際色豊かで様々であった。言語の壁があり交流できないのは残念ではある。他のツアーグループの日本人もいた。ボナティ小屋は立地も食事も設備も眺望も最高だった。宿泊予約が必須だから1人1台のベッドが確保されているのも気分が良い。 

アイベックスの親子

 

TMB日目<6/30()> 行程9時間(歩行+休憩)

 今日はスイスに入る。行程が長いのでボナティ小屋を8時に出立する。ベニの谷の車道に出て、タクシーを呼び10分ほど乗車する。アルプヌーバ1769m登山道に入る。標高差300mを登りエレナ小屋2061mを経てから、標高差480mを登り、積雪のあるフェレ峠2537mに到る。ここが国境である。

 1145分スイスに入る。ここから下りは歩き易い道で草地で昼食とする。広くもない登山道に多くのマウンテンバイクが登ってきてライダーに声をかけたりして笑顔ですれ違う。ツールドフランスもそうだがヨーロッパは自転車乗りが多い。放牧地に建つプール小屋2100mで休憩してから1時間歩きフェレのバス乗場1705mに着いた。定期バスを2本乗り継ぎシャンペダンパ1359mまで行き、40分登って17時半アルペット小屋に入った。

 

TMB日目<7/1()> 行程7時間半(歩行+休憩) アルペット小屋を8時に出てシャンペから登山道に入る。森林を抜けると草原となり、牧草地の中に建つボヴィーヌ小屋で11時半昼食とする。テーブルには各国のハイカーが50100人はいたはずなのにトイレが1つしかないのにはびっくり。2時間歩いてフォルクル峠1526mに至る間に、ここでも汗びっしょりのマウンテンバイク乗り集団とすれ違う。峠から1時間下ってトリアン村のウルス山岳ホテル1326mに15時半に着く。村の中心に教会がある。キリスト教徒の多い国はどこでもそうである。庭で我がパーティの声高に楽し気に交わす懇親会が他の客には煩かったようだ。

 

MB日目<7/2()> 行程3時間半(歩行+休憩) 

 いよいよ最終日であるが朝から完全に雨である。教会の前の坂道を真っ直ぐ上り村外れから登山道に入る。ゆっくり休まずに歩いて3時間でバルム峠2191mに至るも風雨が強い。クローズしている小屋の軒先で風雨を避けほんの少し休む。直ぐに峠の標識をカメラに収めテレキャビン乗場へ向かう。ザックを膝に抱えトリプルリフト(4人乗りかも)に川上さんと座る。テレキャビンの中間駅シャラミオンで昼食を注文する。熱いグラタンが嬉しい。このルトウールスキー場からテレキャビンで下に降り、バスでシャモニに戻りTMB7日間が完結した。マッターホルントレックなどとは異なる体験で楽しめました。皆様有難うございました。

 

 

 

 
































































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