残雪の槍ヶ岳・大喰岳                                                                                                       

日  時 5月10日〜12日                        

10日  夜行バス・上高地着―上高地散策―横尾―槍沢ロッジ(泊)

11日  槍沢ロッジ―殺生ヒュッテ―槍ヶ岳山荘―槍ヶ岳山頂―山荘(泊)

12日  槍ヶ岳山荘―大喰岳―槍ヶ岳山荘―上高地―直通バス・新宿

寒さで手足指の血行が悪くなるので、雪山は暖かくなってからの残雪山行にしている。当初は仙丈岳を計画したが、バスが林道工事で今春は不通なので、槍ヶ岳・大喰岳にする。連休中の交通や小屋の混雑を避け、軟雪で歩行しづらくなる前のこの週に計画したが、週前半は天候がハッキリしないので10日〜12日の3日間にし、当初計画した南岳往復を大喰岳までとする。( 堀井 )

 

10日 雪のち晴れ 上高地〜槍沢ロッジ

早朝に上高地着、今日は槍沢ロッジまでなので、いつも素通りしてしまう上高地を散策しようと河童橋から田代池に向かうが、なんと雪が降り出したので、ウエストン碑から戻り、槍沢ロッジに向け歩き始める。梓川右岸歩道を、岳沢湿原を通り嘉門次小屋に向かう。明神まで少し遠回りになるが時間に余裕がある時は、雰囲気が良い右岸歩道の方が好きだ。嘉門次小屋で休憩、嘉門次のレリーフを読む。徳沢、横尾で休憩、日はさすのだが雪は止まない。槍沢沿いを歩く頃、雪は止み、日差しが強くなる。雪解けの融水か、元気良く槍沢が流れて爽快だ。道脇の流れが桟道に溢れているので、靴を濡らしたくないので、川幅の狭い所を探して渡る。一の俣橋で休憩、四ヶ所ほど雪を踏んで、槍沢ロッジ着。 

ちょうど荷揚げのヘリが来た所なので、小屋手前で待つよう指示された。荷物を見たら、キャベツや夏みかん等の生鮮品とビールなどの水物が多かった。まだ、昼過ぎなので、ビールを飲み、沢音を聞きながら、ロッジ外のベンチで横になり、空を見て過ごす。この日の泊まりは、夕食で4名、自炊2名のみで、空いていて良いが少し寂しい気もする。

11日 晴れ・途中強風 槍沢ロッジ―槍ヶ岳山荘―槍ヶ岳山頂

前夜に弁当を受け取り、朝食は取らず5時半にロッジを出る。早朝は食欲も無く、食べてすぐ歩くとお腹の調子が良くないので、山小屋で朝食を食べることほとんど無い。弁当を3〜4回に分けて食べるのが自分には良いようだ。ロッジを出るが、雪は途切れとぎれなので、つぼ足で進み、キャンプ場のあるババ平付近から、雪道となったのでアイゼンを付ける。また、暑いので汗をかかないよう、アンダーシャツ1枚になる。

 

大曲りから登りがきつくなるが、左右の尾根の雪と岩のコントラストを右左に見ながら、気分良く歩く。天狗原分岐(指導標は見えず)から斜度が増したので、トレースは直登だが、ジグザクを切って、足への負担を減らす。

グリーンバンドの岩の上で休憩、ここまで、下山者に数名あっただけ、2日位まえに降った雪で、きれいな雪面で新しい足跡がないので、今日の先行する登りはいない様である。ここで、スキー登高の2名が先行する。ここからは更なる急登になり、息を調えながら登っていると、風が出てくる。最初は涼しくてちょうど良いなどとのんきに構えていたら、どんどん強くなってくる。身体が冷える前にと、フリース、アウター、もう一枚アウターを順に着こんでいく。身体の冷えは防げているのだが、風はますます強く、絶え間なく吹くようになり、舞い上がる雪で前方が見えなくなる。油断をすると風にバランスをくずされる。だが、まったく登れないほどではないので、いける所まで行き、いよいよダメなら、下ることとする。だが、困ったことに夏用の手袋のため指先が冷たくなってくる。ザックから出したいが、出したとたんに風に飛ばされてしまうので、出せない。

 

 

さて、どうしたものかと思いながら登っていると、後ろからきた2名が殺生ヒュッテに向かうのに気がついた。100mほどトラバースして、殺生ヒュッテの建物で風の避けられる場所に移動した。ここで、弁当を少し食べ、グローブを冬用に替えた。槍ヶ岳山荘まで、あと1時間足らずだが、ダメなときは撤退と決めて、一緒に小屋脇にいた2名の後を追う。なぜか、風は先刻より弱くなっており、重たい足を引き上げ、息を切らしながらも山荘に到着する。

槍ヶ岳山荘前のテラスで弁当の残りを食べる。槍ヶ岳山頂はどうするかと考えていたら、先ほどの2名が山頂から降りてきたので、聞くと風はそれほどではなく、トレースもあると言う。すぐに、山頂に向かう。雪は付いているが柔らかく、凍っている場所はない。鎖は一部雪に埋もれているが、ほぼ使える状態だが、アイゼンは岩とのフリィクションが利かないので、足場は限られる。ピッケルは有効に使用する場面がない。ちなみに、翌朝に登ったグループはアイゼンなしであった。

 槍ヶ岳山頂からは、360度周囲の雪山が展望できる。残念ながら、誰もいないので自分の写真が写せない。下りはくだりルートで降りる。腰を落として、ゆっくり降りると、そう不安なく下れた。山荘泊は20名位で少ない。スキーで滑る人も3割位いるようだ

12日 晴れ 槍ヶ岳山荘―大喰岳―槍ヶ岳山荘―上高地

前日、大喰岳へのトレースを確認できたので、早朝5時半に向かう。テント場を通り、飛騨乗越へと下る。飛騨沢をスキーで滑る人もいるので、夏道どおり、きれいにトレースができている。乗越から大喰岳へは薄いがトレースが確認でき、竹棒も立っているので一安心、風も強くない。飛騨側の斜面にルートがあるので日は射さず、雪は柔らかくなくいい感じである。トレースと竹棒をたどって、登って行く。斜面をトラバースする所が何ヶ所あり、凍っていると厄介だが、適当な硬さで不安はない。斜面から登り、稜線に出ると山頂に向け急な斜面が目に入る。縦走という感じでなかなか良い。登りきると平らな山頂の一角に着くが、槍沢側は大きな雪庇になり近づくと危険である。山頂標識は頭だけ出ている。一名分のトレースは、ここで終わっている、この先は、ほとんど行く人がいないのか。当初山荘に2泊して南岳の往復も考えたが週前半の悪天候の関係で今回は見送りになる。

帰路は、稜線から飛騨側斜面に降りるところが要注意。トレースがそのまま、稜線にも付いていたので、はたと思った。山荘に戻り、弁当を少し食べ、下りにかかる。

殺生ヒュッテの少し下までが特に急斜面なので、慎重に降りる。昔は、こんな感じの斜面をグリセードで降りた記憶があるのだが、最近はグリセードを目にしないのだが、どうなのでしょうか。登りの時にきれいな雪面だったのに、グリーンバンドから下の雪面が薄茶色になっており、数日前の雪が消えてしまったようだ。

 

河童橋への長い帰り道は、満開のニリンソウを眺めながら、満ち足りた気分で歩いた。河童橋で、いつものように穂高を見ながら、ビールで締めくくりとなる。

 

 

 














































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