三ツ峠山・アツモリソウ保護活動交流登山に参加して

2019.6.22()/三ツ峠山荘泊-23()

品川山の会・さんかくてん 関山、上原、松下

私たちは、都連盟・女性ネットワークが主催する今年で3回目となる「三ツ峠山・アツモリソウ保護活動登山」に参加する機会を得ることができました。

 

三ツ峠山頂1785.2mで保護活動参加者で記念撮影

 

三ツ峠山は富士山のビュースポットとして、又岩登りのトレーニング場としても知られ、山頂にはアンテナが林立していることから、遠くからでも三ツ峠山を容易に認識できます。

しかし、これほどまでに多種の花々が咲く花の名山であることは知りませんでした。

ましてや、
*優雅で艶やかなアツモリソウがこの地に生育していたこと、

*
1970年代の山野草ブームに伴う乱獲や自生地周辺の植生遷移によって個体数が激減したこと、

 

 

 

*アツモリソウの保護回復を促進するため、生育地の保全や個体を回復するための活動を三ツ峠山荘先代主人・中村環(タマキ)さんが始められ、その後この活動を継承して行くためのボランティアグループ・三ツ峠ネットワークを立ち上げ、三ツ峠山荘を拠点にして活動していること(会長/三ツ峠山荘主人・中村光吉さん)、



*日本高山植物保護協会のアツモリソウ保護活動を支援し、その自生地の育成環境を維持するボランティア活動を行っていること

*「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」に基づき、個体の捕獲・採種や譲渡し等が原則として禁止されている「特定国内希少野生動植物種」にH9年(1997)にアツモリソウが指定されたこと、

「特定国内希少野生動植物種」に指定され、防護柵で保護されているアツモリソウ

 

 

*日本山岳遺産基金の2017年度の日本山岳遺産に、認定地・三ツ峠、認定団体・三ツ峠ネットワークが認定され、その助成金でニホンジカ防護柵を設置していること・・
など、多くのことを学びました。
三ツ峠山荘前でガイドを務めて頂いた山荘主人の中村さん(中央やや左の男性)を囲んで記念撮影です。

20192月現在、国内希少野生動植物種に293種(内植物122(35種が特定希少野生動植物種))が登録されています。これらの希少野生動植物種の保護活動は私たちの所属する日本勤労者山岳連盟の本・支部や日本山岳会でも行っていますが、その主役は環境部や自然保護委員会のようです。

ところがここアツモリソウに関しては、当都連盟では女性ネットワークが三ツ峠ネットワークと連携をとって保護活動を主催し、多くの会員に呼びかけてアツモリソウの生育実態を明らかにする啓発と保全に取り組む人手(人的パワー)の提供を行っています。


女性の手腕が発揮されたとても素晴らしい活動をしていらっしゃいます。そして、当連盟の自然保護委員の方々にも参加をしていただき、花の名山の三ツ峠山の植物の植生や花木名を指導していただきながら、登山口からゆっくりした歩行で三ツ峠山荘を目指しました。

山荘に着くと周辺は低い雲に覆われ富士山を望むことはできませんでしたが、蚊やブヨなどは少なく防よけスプレーはあまり使わずに済みました。

三ツ峠山荘/中村さんに多くの花木を教えていただき。テンニンソウの草刈りを行いました。

 

 

昼食後、中村さんの案内で保護柵内のアツモリソウを鑑賞し、受粉とマルハナバチの関係やラン科植物と共生菌の関係など生態系に係る説明をしていただき、次の生息地に案内していただきました。ここには「野生ランの王者」アツモリソウが大きな花をピンク色に咲かせています。

 

都連盟・女性ネットワークの参加者の乾杯と夕食

花の数も昨年よりたくさ増えて保護柵が小さく感じられました。ここの広々とした草原の斜面には、テンニンソウ、オオバギボウシ、クサタチバナなどが生茂っていますが、繁殖力の強いテンニンソウの除草作業を霧の中で鎌を使って1時間ほど行いました。

夜は入浴、食事の後、中村さんを囲んでビデオを見ながら保護活動の概要を学習しました。「自然保護は何も山の上だけのことではなく、私たちが日常していることが地球上の生態系にどのように影響を及ぼしているかを、日頃から考えながら生活して行くことが大事である」というお話と「外に向かって開かれた保護活動に転換している」というお話しが印象的でした。

夕食後中村さんを囲んでビデオを見ながら保護活動の概要を学習しました。

 

 

翌朝は4:30頃一瞬のあいだ富士山が顔を出しましたが、すぐに周辺は霧に覆われてしまいました。

 

翌朝は4:30頃一瞬のあいだ富士山が顔を出しました

朝食前の5:30から1時間程、日本高山植物保護協会・静岡支部の佐野さんに頂上周辺の花路を案内していただき、キバナアツモリソウ、カモメラン、ドウダンツツジ、・・・など多くの花木を教えていただきました。朝食後は、昨日と同じ斜面の違うケ所で1時間ほどテンニンソウの草刈りを行い、10:30天上山を目指して下山しました。下山路では花に出会うごとに花名を思い出して復習しました。

三ツ峠山荘にはいつも日本高山植物保護協会や近隣の山梨山の会、三ツ峠ネットワーク、一般のボランティアの方々が来ていらっしゃるようで、開かれた保護活動を実践されていらっしゃる様子が良く分かり、うれしく思いました。

この女性ネットワークが主催するアツモリソウ保護活動登山は、毎年の行事として絶やすことなく継続して企画していただき、アツモリソウを見守る多くの仲間たちが中村さんのお考えに賛同して、大きな力となっていけることを願っています。そして、三ツ峠ネットワークがボランティアを必要としている時には、いつでも個人的に参加できるような仕組みができたらもっと素晴らしいことです。そうなった時は是非参加したいと思っています。

[登山俳句] 
・隠れ咲くアツモリソウの彩と香よ 
・草刈りて彩香増し咲くアツモリソウ  
・雨降りの谷路にあかり山法師 
・満天星の百花ゆらゆら三ツ峠 
・寄りそひて三穂の二人静かな

                             以上 関山:記



【上原豊子】

絶滅危機に瀕していたアツモリソウの生育環境を維持する保全活動に参加し、初めて目にしたアツモリソウの姿に感動しました。命あるものは、人も花も木も山も自然環境丸ごと、互いに補完し合い共生しなくてはならない、儚いもの。アツモリソウ保全活動を通じ、いろいろ考えさせられました。盗掘や食害から守り、この希少な種を存続していくためには、地道な活動が必須です。微力ながら除草作業がその一助になるのなら、来年もまた参加して、紫色のふっくりした花弁にぜひ会いたいです。東京女性ネットワーク主催の三ツ峠山交流登山を通じ、この保全活動について知ることができ、嬉しいです。  ありがとうございました。 

[登山俳句] 

・桜桃で太宰偲びて富士仰ぐ

・護られしいのち煌めくアツモリソウ

・食害と聞けば子鹿も目のかたき

・霧晴れてひとしお鶯澄まし声

・繰り返し名前覚えしクサタチバナ

 

【松下宮子】

かつては沢山咲いていたアツモリソウ、盗掘や鹿の食害で絶滅危惧種に。アツモリソウ見たさに保全活動に参加し、すっかり花に魅了されました。この宝物、ひと株でも増えて欲しいと願いながら作業しました。花好きのメンバーが多く、花を愛でながらの山行も楽しかったです。またアツモリソウに会いに保全活動に参加します。(完)


























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