北アルプス大キレット

(槍ヶ岳〜大キレット〜涸沢岳〜穂高三山〜上高地)

日 時:201983日〜6

参加者:吉岡(L)渡邉美知子(SL) 金子 福井

83日(土) 前夜泊 (新穂高温泉ニューホタカ宿泊) 記録:福井
バスタ新宿14:35発平湯温泉行→19:00着→19:37発新穂高ロープウエイ行バス→20:22

新穂高ロープウエイ駅に、今夜宿泊するニューホタカのご主人が車で迎えに来てくれた。宿までは車で直ぐだったが、迎えに来てくれないと真っ暗で不安になっていたに違いない。泊り客は登山者・釣り人が主で食事はなし。昭和のレトロ感満載の宿だが、新穂高ロープウエイ駅に近いので登山者には便利な宿だ。お風呂に入り、少しおしゃべりをして明日に備え、早々に寝る事にした。

84日(日) 一日目記録:福井
4:15新穂高温泉ロープウエイ駅→5:10穂高平小屋→6:10奥穂高登山口→8:00滝谷避難小屋→9:15槍平小屋→11:46千丈沢乗越分岐→14:00飛騨乗越→14:30槍ヶ岳山荘

新穂高から槍ヶ岳山荘までの9時間半コース。このコースは槍ヶ岳までの最短コースで、上高地から槍沢を行くルートより片道で5Km距離が短い事、千丈沢乗越分岐付近にお花畠がある事、まだ歩いた事のないコースが決めてとなった。長丁場なので歩けるかどうか不安だが、小屋も途中にあるので、水をたくさん持たなくていいし、荷物も出来るだけ少なくして来たので何とか行けるだろうと出発します。新穂高ロープウエイ駅1117Mから槍ヶ岳山荘3080Mまで標高差1963Mの登りの開始です。

前夜泊のお蔭で、早朝から行動する事が出来、歩き始めは快調です。1時間程で穂高小屋に到着、休憩してさらに林道を歩き、白出沢を渡ると山道になる。

樹林帯の中に続くなだらかな道をたどり、ブドウ谷、チビ谷を越えると滝谷出合です。

沢を渡った先に滝谷を初登攀した藤木九三のレリーフがあると話していたのに、通り過ぎてしまったのか見る事は出来なかった。

このコースは何度か渡渉ポイントがあり降雨時は要注意

 


 

樹林帯を登り南沢を越えると槍平小屋に到着。木の板の休憩場所でまったりしていると吹く風も涼しく、このまま此処にいたいと思う。槍ヶ岳山荘まではまだ5時間近く歩かなくてはいけないのだ。

 

 

 

飛騨沢へと向かい最終水場を過ぎる。灌木帯を登って行くと木の背丈が低くなり草原に出る。クルマユリ・ハクサンフウロ・コバイケソウ・ミヤマキンポウゲなどの花が咲き、写真を撮りながらゆっくりと歩いて行く。

槍平はお花畑が素晴らしい

 

 

千丈沢乗越分岐に救急箱が設置されていた。お花畑がまばらになるとガレ場となり疲れも出てきているので歩きが遅くなってくる。飛騨乗越からは槍ヶ岳が間近に見えたくさんの人が登っているのが見える。

下山する人の話では今日の槍は渋滞で2時間かかるらしい。

飛騨乗越からテント場を過ぎ小屋に向かうまでは一歩一歩が重たく長く感じられた。やっとの思いで到着。

 

飛騨乗越からは槍ヶ岳が迫ってきます

昨日は混雑していたらしいが、今日は日曜日のせいか部屋は他に来る人もなく快適でした。 テラスから下を見下ろしているとオレンジの20人程の集団が登ってきた。「あれは何なんだ。救助隊?」夕方、テラスに出ると謎のオレンジ軍団は、焼肉パーティが始まっていました。カセットコンロなど重たいのに持ってきていたのね。言葉からすると韓国の方のようです。さすがパワフル、良い匂いもしてきて一口おすそ分けして欲しいわなんて思ったりして・・・このオレンジ軍団との出会いが大キレット、穂高と続くのでした。

 槍ヶ岳は皆さん、何度か登っているので割愛。明日はいよいと大キレット、緊張しながらも今日の疲れもあり熟睡しました。


85日(月) 二日目記録:渡邊

5:00槍ヶ岳山荘→大喰岳→中岳→8:00南岳→10:00長谷川ピーク→A沢コル→12:50北穂高小屋→北穂高岳(北峰、南峰)15:30涸沢岳→16:00穂高岳山荘

 

今日は憧れのキレット、振り返れば槍ヶ岳

 

 4時起床。快晴。手早く朝食を済ませ5時出発。昨日の疲れは皆さんもうすっかりどこかへ飛んでしまっているようです。アドレナリンをたくさん放出して今回のメインルート出発です。大喰岳にはトラバース気味に登り30分ほどで頂上到着。後ろを振り返れば槍の穂先が、西には笠ヶ岳、前方には前穂高の峰が輝き、富士山も見える。

素晴らしいお天気の中、空中散歩の始まりです。大キレットを行かれる方の中にはこの槍ヶ岳から南岳の稜線歩きをショートカットしてしまう方も多いようですが、なんともったいない。ここが一番素敵なところなのに。

のんびりじっくり楽しみながら歩きましょうと・・・

槍ヶ岳から中岳・南岳は天国のような稜線歩き

 

あっやっぱりやってきた。昨日、小屋にいた元気なオレンジ軍団(オレンジ色のお揃いのウェアを着た隣国の団体さんを私たちが名付けました)総勢25名?とにかく先に行ってもらい私たちは後からのんびり行くことにする。




南岳山荘を過ぎると岩場のはじまりです。梯子あり、鎖ありでしっかりと整備された一般登山道です。10時、『Hピーク』と白ペンキで書かれた岩に到着。

 

 

大キレットを歩く

 

 

これがかの有名な長谷川ピークなのか。ちょっと拍子抜け。取り敢えず写真はとっておこう。アッという間に通過してA沢のコルで一休み。

長谷川ピーク

 

 

 

遠くに目をやればひときわ高い孤高に小屋が見える。北穂高小屋だ。

あと1時間ちょっとくらいだろうか。しばらく行くと、女性の単独の方が、どうやらだいぶお疲れの様子。さすが優しいわれらの吉岡リーダー「おばちゃんどうしたの?」と声をかける。この暑さでまいってしまい、なかなか足が進まないらしい。ゆっくり私たちと行きましょうということになりどうにか北穂高小屋に到着した。

「飛騨泣き」と云われる難所

 

 

 

 

 

北穂高小屋に到着した。

大キレット終了!だが私たちはまだ終わらない。本日のホントの核心、涸沢岳がまっているのだ。テラスで充分休憩をとり、おばちゃんとは別れ、いざ出発。

 

北穂高岳より涸沢の圏谷と前穂高岳

 

 

 

(テラスではあのオレンジ軍団も休憩していた)小屋の裏のふたつの北穂高岳ピークに立ち寄り、涸沢岳に進む。岩場岩場岩場しかない。

 

 

 

昨日の登りと比べたら楽しくってしかたない。と、ルンルンしていたら、なにやら後ろから叫び声なのかなんなのか聞こえてきた。あーっまたオレンジ軍団がやってきた。追い越してもらいたいのだがメンバーの力量の差のせいか、いくつかのグループに分散されてしまい、私たちはその間に挟まれて、追いついたりぬかれたり。ちょっとストレス。涸沢岳はいくつかの偽ピークを登ったり下りたりでなかなか本ピークにたどり着かせてくれない。岩場は西穂高岳から奥穂高岳の雰囲気に似ているような気がする。もう岩場はお腹一杯となったところで、頂上到着。頂上には若い団体さんがいた。SJ大学のワンゲルとのこと。テント縦走5日目とのことだが、みんな元気元気。

 

涸沢岳山頂で歓喜のポーズ

さあ、もうちょっと下れば穂高岳山荘に到着だ。今日のミッション終了!素晴らしいお天気の中、楽しく歩けた。ビールで乾杯。夕食はもちろん完食。明日は最終日。お天気でありますように、無事に下山できますようにと願い就寝。






86日(火) 3日目記録:金子

4:40穂高岳山荘〜5:40奥穂高岳〜(吊尾根)〜7:30紀美子平〜8:12前穂高岳〜8:35紀美子平(15分休憩)〜(重太郎新道)〜10:00展望台〜12:00岳沢小屋(20分休憩)〜14:30上高地〜15:00小梨平キャンプ場〜15:30上高地バスターミナル、16:15の高速バスで帰京




3:30に起床して、星空観測をする。天の川がよく見える。3日間連続の晴れで今日も気温が上がりそうだ。穂高岳山荘から奥穂高岳まで向かう道は、小屋前の崖の直登から始まる。

世話になった山荘を出発

 

 

 

下りならかなりの危険度だが登りなので落ち着いて進む。途中でご来光となり足を止めて眺める。きれいな丸い太陽だ.

 

奥穂高岳への登り、振り返れば歩いてきた槍からキレット、北穂、涸沢岳の稜線

 

 

今回の縦走の最高地点、奥穂高岳山頂です。ジャンダルムが目の前です。

 

奥穂高では、前日も会ったSJ大のワンダーフォーゲル部が山頂の祠で楽しそうに記念撮影している。明るくて元気をもらえた。

奥穂高から前穂高は有名な吊尾根を歩く。岩場続きで途中鎖場などもあるが、よく整備されていて危険個所はない。高山植物に励まされながら歩く。午前中は登山道が山影となり、直射日光を避けて歩ける場所が多くて、とてもよかった。真夏の晴天時は、日陰と日向では大違い。なかなか紀美子平に着かないな・・・と思いながら歩いて、やっと紀美子平に到着。



荷物をデポして往復約1時間前穂高山頂を目指す。ほぼ直立に近いような崖を登り、山頂に着くと、北アルプスの絶景が待っていた。美知子さんは「晴れている前穂高は初めて〜」と言っていたので、こんなに青空なのは貴重な機会だと思いしっかり景色を楽しんだ。

前穂高岳へ寄り道、天気最高

 

 

登っているときは、こんな急な斜面で下りは怖いだろうなと思っていたが、意外と足を置く場所があり、怖さを感じることなく降りていくことができた。紀美子平に戻り、穂高岳山荘の朴葉の五目寿司のおひるごはんを頂いて、エナジーチャージ。

かなりハードと事前情報に聞いていた重太郎新道を行く。確かに、長い長い鎖場が2か所、長いはしごもあり、気が抜けない下り道だ。手や足を置く場所はしっかりあるので、岩場に慣れているなら全く問題はない。

 

重太郎新道の厳しい鎖場で

 

しばらく降りていくと、下から深緑のお揃いの服装で登ってくるグループが。韓国人のツアーかな?と思ってよく見ると、足の先から頭の先まで、緑色。陸上自衛隊のみなさんだった。総勢28名。聞いてみると、夏の訓練登山で、上高地から一日で前穂高まで往復するとのこと。登山に慣れていない人も多くいるようで、暑い中、余裕しゃくしゃくの人ばかりではないようだ。

訓練山行の自衛隊の皆様

足が痛いとリーダーに言っている隊員もいた。「あんな雰囲気だと、なにかあっても自衛隊の人に助けてもらえそうにないね・・・」なんて話しながらすれ違った。申し訳ないが、自衛隊の方より、普段から山に行っている山男の方が頼りになる印象を受けてしまった。もしかしたら、平地であっても有事の場合、ヤマヤさんの方が頼りになるかもしれない。
ところで両足首を4週間前に捻挫した美知子さんは、下りで足場が不安定なところが歩きにくそうだ。スピードが上がらず、ゆっくり下るが、余裕がある行動予定なので問題ない。岳沢小屋では日陰でゆっくり休憩し、炭酸ジュースを力水として再出発。3日間よく歩いて、美知子さん以外もそれぞれ「足が痛い」と言いながら無事上高地まで下った。

 

長い長い岳沢の下りに難儀しました。

小梨平のキャンプ場で入浴して、お疲れビールを楽しみに上高地バスターミナルへ。レストランは15:30にラストオーダーということで入れてもらえなかった。2分しか過ぎていないのに、なんて商売っ気がないのかしら。外のお店でビール、ソーセージ、コロッケやいろいろと買い込んで、バスターミナルで打ち上げをした。

長い山旅を終え、上高地へ下りてきました。

 

 帰りの高速のサービスエリアの駐車場で隣のバスに接触するトラブルがあり、警察が出動して事故処理などもありましたが、20分程度のロスで済み、無事東京に帰り着くことができました。

 

今回は、一日で槍ヶ岳山頂に到着、2日目、3日目も涸沢に下りずにそのまま北・奥・前の穂高岳を3個も登りつづけるという、とても欲張りなコース。一般道コースということで、落石や滑落の危険を感じる箇所は全体的に少ない。絶景の岩場の稜線歩きが楽しめるが、3日ともハードな行程なので、体力が必要。天候に恵まれ、無事に踏破できた。リーダー、貴重な機会をありがとうございました!


























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