後立山稜線を行く

遠見尾根―五竜岳―鹿島槍岳―爺岳―赤沢岳―針の木岳―扇沢

7月19日〜23日  
堀井栄治

 

19 アルプス平―遠見尾根―五龍山荘 晴れ、風なし

満席の夜行バスで早朝530、神城駅で下車、テレキャビン乗り場まで20分程歩く。運転開始が730なので、ベンチで横になり待つ。アルプス平でリフトに乗り換えて地蔵の頭(1673)へ、鉱山植物園に花が多い。急坂を登り、見返り坂へ白馬村が眼下に広がる。一の背髪、二の背髪を通り小遠見山(2007)へ登ると五竜岳東面が正面に見えてくる。一旦、下って登り返し中遠見山(2037)へ、背の低い灌木で陽を遮る木も無く、とにかく暑い。下って、登り返して、やせ尾根を通過し、西遠見山(2268)、アップダウンの繰り返しで高度が上がらない。又、下り窪地の中を行くとやっと雪が現れる。雪を帽子の中に詰め、鹿島槍を見ながら、水たまりの西遠見の池を通過し、西遠見山(2268)へ登る。少し下り、岩の多い急登にかかり、鎖も現れる。白岩(2541)で休憩、霧が上がってきて涼しくなる。眼下の山荘にむけ下る。小屋は空いている。


五竜岳山頂で
20日 山荘―五竜岳―G5―北尾根の頭―口ノ沢のコルーキレット小屋 晴れ
早朝430、目前にそそり立つ岩峰五竜に向かって登り始める。最初は黒部側の斜面をトラバース気味に登る。稜線沿いの道に上がると岩々の急登の鎖場になり、ようやく肩に出る。5分程平坦地を進むと五竜岳山頂(2814)、黒部谷を挟んで目前に沢沿いに残雪を輝かせた立山連峰、雪渓をまとった黒い剣岳、南に双耳の鹿島槍、素晴らしい展望を望む。さて、肩に戻り、ここから鹿島槍に続く鋭い岩峰の連なる稜線歩きとなる。まず、鎖が連続する急なガレ場を下り、G4に登り返す。又、鎖の岩場を下って、G5に登る。道はほとんど黒部側に付けら、信州側は急崖である。岩峰の登下降を繰り返しながら、大きく鞍部まで下り梯子を使い、やや広い北尾根の頭(2560)に登りつき休憩。各岩峰には以前は巻き道もあったようだが、ほとんど通行止めの赤ペンキである。やや歩きやすくなった道を口ノ沢のコル(2416)へと下る。


キレット小屋よりの夕焼け

平坦なコルで休憩し、鎖にかかる岩場が連続する急登を小岩峰までたどり着く、空身の女性が通過しあれ〜と思う。ここまで、お腹の調子が悪く予定より大分時間が掛かってしまったので、電波の通じる岩峰で冷池山荘のキャンセルとキレット小屋に宿泊予約の電話をする。今夏は、予約者のみ宿泊可なので、縦走途中での日程変更がややこしい。いままでは、その日の体調、天候などで行ける所まで行ってそこで泊まることができたが、なんだかもどかしい山行になってしまう。


キレット沢のコルを経て、岩峰を越えてキレット小屋に着。狭い鞍部に立つ初めて泊まる小屋なので楽しみである。労山京長岡の方としばし歓談。

ここで谷にザックを落とした女性と話す。G5付近で踏み跡に入り込み、急なザレで進退窮まってしまい、空身になって登山道に復帰したそうだ。ザックは、同じ時間に、G5付近で体調不良でヘリ救助した際に発見され救助隊員が回収し、キレット小屋スタッフが現地に
取りに行ってくれて無事に戻った。珍しいケースだが。自分で判断して危険回避したのは経験になったようだ。ガイド(近藤賢二)ツアーが多く、すべてザック内に収納するよう指導されているので、全く何もない状態になったそうだ。ガイドと一緒だと自分で判断する機会がないので、単独で歩き始めたそうだ。五龍山荘へ戻るかどうか、迷っていたので、八峰キレットは短いし、整備も良いので予定通り鹿島槍へ向かうように勧めた。

一時、霧に包まれたが、立山、剣岳の素晴らしい夕焼けであった.





鹿島槍ヶ岳 北峰と南峰との鞍部付近より南峰を望む

21日 キレット小屋―鹿島槍―爺ケ岳―種池小屋 晴れ後霧

小屋(1518)を出てすぐ急登に取りかかる。岩々の道を登るとキレット核心部のノゾキ、巨岩に囲まれた鞍部をハシゴ、鎖で通過する。数年前、逆方向からの時は深い霧の中で不気味な雰囲気であったが、好天の明るい今日は、楽しい岩歩きである。ここから岩の急登を繰り返し、2時間程で南北峰の鞍部である。北峰(2842)まで寄るとカクネ里の残雪が美しい。ここからの南峰はそそり立つ岩峰で迫力がある。南峰まではひと登り、鹿島槍山頂(2889)は賑やかである。大半の人は扇沢からの往復でキレットへは少ない。五竜、白馬へ稜線が素晴らしい眺望である。種池山荘に一応予約を入れるが、今日中に新越山荘まで行ければと、先を急ぐ。布引岳付近で昼食、弁当はびっくり、なんとウナギ弁当である。ここからの、鹿島槍へはなだらかな山稜で北面と対称的な山容である。今年も残雪期に計画したが、冷池山荘がGW休館なので実現してない。山荘まで下り休憩、爺ケ岳への登りにかかるが、どうも調子が出なく、足が重い。南峰で休憩、新越山荘は諦め、明日の針の木山荘に予約を取る。春の登山ルートになる南尾根方面を観察する。ゆるゆると山荘まで下る。周辺はチングルマなどが多い。



爺ケ岳方面から通って来た鹿島槍ヶ岳を見ます
22日山荘―岩小屋沢岳―新越山荘―赤沢岳―スバリ岳―針の木岳―針の木小屋 晴れ後雷雨クマ出没注意のテント場を抜け、棒小屋乗越まで下る。花の多い灌木の間を行く土の道で歩きやすい。雪田を抜けると道が無い。地図を確認していると脇の登山道から声がかかり、道に復帰する。黒部側についた道からは剣岳立山連峰が目の前で素晴らしい景観である。
スバリ岳付近から黒部湖、針ノ木岳
岩小屋沢岳(2630)に登ると針の木への長い稜線が見渡せる。ハイマツの稜線を新越山荘(2462)に下る。一旦、下ってから、徐々に岩がちになる道を鳴沢岳に登る。赤沢岳へはピークを上下しながらの登りとなる。ペースを落としているので、それまで気がつかなかったのだが、息が切れている。呼吸法を変えたらだいぶ楽になった。(後述)ここで、うっかり転倒し右大腿を打撲したが、歩行に支障がないので一安心。赤沢岳(2678)で眼下に黒部湖が見えるようになる。針の木からの登山者10名程とすれ違う。大きく下りスバリ岳への岩の急登にかかるがなかなか山頂に近づかない、我慢の登りとなる。岩峰のスバリ岳(2752)からは針ノ木岳がそびえている。小スバリ岳を過ぎ。マヤクボのコルへ下る。針の木への最後の登りにかかるとポツリと雨がきたが、山頂で雨支度と思っていたら。いきなり大粒の雨に、あわてて雨支度したが、だいぶ濡れてしまった。雷鳴も聞こえる中、10分程で山頂、そのまま通過して小屋へ向かう。途中で雨もほとんど止み、無事小屋に到着、濡れてしまったので乾燥室で暖を取りながらビールで休憩、きれいな夕焼けになった。



前日雨で通過した針ノ木岳へ再び登りました。

23日 針ノ木小屋―針の木岳―小屋―蓮華岳―針の木雪渓―扇沢 晴れ

前日、雨で通過した針ノ木岳(2820)へ1時間強、空身で楽ちん、山頂からは槍穂、水晶、薬師、立山、剣、鹿島槍の大展望を堪能した。小屋に戻り、蓮華岳へコマクサの道を登り、山頂(2796)で朝食休憩。

針ノ木雪渓を楽しく下りました。

小屋でアイゼンを借り、雪渓に向けてジグザクの急下降、雪渓は途切れていて、一昨年よりも下部で雪渓に乗る。簡易アイゼンで滑るが楽しい雪渓歩きである。雪渓から上がって大沢小屋までは小刻みに上下する足に負担がくる道で暑い。小屋は休みなので裏口にアイゼンを返す。扇沢への道も平坦ではない。扇沢に15時着。

下山報告を会と家族にしようとしたら電池切れで困った。さらに、予約したバスがいつの間にか行ってしまい乗れず、急遽、信濃大町駅まで出て、栂池からの高速バスで帰京する。バス車内で、親切な方からパソコンを借りて充電もでき、無事下山報告も済ませた。

参考(呼吸法)意識して強く息を吐くと、呼吸が深くなり息切れしにくくなる。三浦ベースの低酸素室で普通に呼吸すると酸素飽和度が80%台に低下したが、この呼吸法では90%以下に低下することは無かったので、有効だと思う。

 

 

 
























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