Keiko and Sachikos dyssey(オデッセイ)

恵子と幸子の大冒険

WELCOME BOYの飯嶋さんは、ご自身の計画した鳳凰三山に渋谷さんと吉田さんのお二人の参加の申込を、いつもの笑顔で気持ちよく受け入れました。既に参加を決めていた松下さんもぼくも、後から参加された川田さんも、お二人が南アルプスの前衛の山稜を歩く非日常を味わえる絶好の機会と捉え、チームプレイで成就する覚悟を決めて臨みました。とはいえ、二人にとっては森林限界より高い2700mから2800mの高所稜線の花崗岩の岩塊と砂礫道の歩行、急峻な長い下り、110時間前後の行動時間、夜明け前のヘッドライトを点けての歩行など、はじめて経験することばかりです。

登山をする者にとってアルプスは究極のあこがれです。でも、アルプスを目指すために必要最低限のことがあります。それは、登れる体をつくることです。お二人は南高尾山稜や丹沢・大倉尾根での歩行訓練を積み重ねてこられていましたが、私たちと一緒に歩く機会が最近ありませんでした。そこで、参加メンバーと一緒にトレーニング山行を行い、この鳳凰三山を登れる体となっているかどうかを確認することにしました。

S__30113805
訓練山行 景信山で

【トレーニング山行】陣馬山 8/20()

参加者/L飯嶋、松下、渋谷、吉田、牛嶋、賀川、関山

コース/藤野駅→陣馬山登山口・・・陣馬山・・・明王峠・・・堂所山・・・景信山・・・小仏バス停

登りながら会話を楽しめるゆっくりペースで歩き、又、熱中症にも気を付けて「30分歩いて5分の休憩」をとりながら、12.7km7時間50分を歩き通し、16:06に小仏バス停に着きました。ぼくたちがいつもこのコースをトレーニングで歩くタイムと変わらぬ驚愕の歩行タイムでした。日頃、お二人がコツコツと研鑽を積んでこられた歩行訓練の賜物であると、その健脚ぶりに驚かされました。

IMG_6956
訓練山行 陣馬山で





階段の続くとてもきつい登りでは、渋谷さんは「なんだ坂こんな坂」「なんだ坂こんな坂」と声を出して自分を鼓舞しながら登りました。

陣馬山直下の信玄小屋で昼食休憩をとり、リーダーの勧めで「ゆずシャーベット(350円)」を全員が食べ、生き返りました。小屋の女将さんからは自家製の梅干しをいただき、最近登ったという鳳凰三山で見た花のスマホ画像を見せてくれました。(この時は花名は分かりませんでしたが、タカネビランジでした)

IMG_6949







ここまでは全コースの1/3を歩いただけで、あと8kmの歩行が残っています。この後も「30分歩いて5分の休憩」をとりながら、会話も楽しみながら、時には「なんだ坂こんな坂」の鼓舞する声を出しながら景信山を目指し、頑張り抜いて無事に下山しました。全員の顔は、一つの困難に挑戦しやり遂げた喜びで笑み満々でした。そして、下山直後に恵子さんから"合格"ですかと飯嶋さんに打診がありましたが、誰もが認める合格訓練山行でした。先導役の牛嶋さんのリードと松下さん、賀川さんのフォローにも感謝です。高尾駅のいつものお店で、本日の頑張りを称え、本番の鳳凰三山縦走の成就を願って乾杯をした。

【鳳凰三山縦走山行】

[参加者] L飯嶋、松下、渋谷恵、吉田幸、川田、関山(記録)
[日 程] 8/25前泊/甲府プリンスホテル朝日館
  8/26()甲府駅--<南アルプス登山バス>→夜叉神峠登山口・・・薬師岳小屋()
  8/27()薬師岳小屋・・・薬師岳・・・観音岳・・・鳳凰小屋分岐・・・鳳凰小屋・・・御座石鉱泉

[行 程]

1日目/甲府駅前4:35-<バス>5:47着夜叉神峠登山口6:15・・・ 7:35夜叉神峠・小屋7:50・・・9:40杖立峠9:55・・・11:00火事場跡2306m 11:10・・・12:20苺平12:05・・・13:15南御室小屋13:40・・・15:10砂払岳 15:25・・・15:30薬師岳小屋()

2日目/薬師岳小屋4:40発・・・4:55薬師岳5:15・・・6:05観音岳6:30・・・7:10鳳凰小屋分岐7:25・・・8:32鳳凰小屋8:46・・・11:05燕頭山11:15・・・12:01旭岳12:17・・・15:15ヒヤリハット地点(標高1280m)15:22・・・16:07御座石鉱泉17:15-<バス>17:55韮崎駅

[記 録]
前 日 8/25() 前泊

甲府駅に全員が集合(18:10)し、一緒に夕食をとった。そして、今山行を無事に成就できるよう願って乾杯をした。宿泊先のビジネスホテルは朝食付きだが、ぼくたちは早立ちのためにこのサービスは受けられず、ホテルに向かう途中にコンビニに寄って、朝食や昼食などを買い、早めに就寝した。

1日目 8/26() 晴れ 小屋到着後雷雨

4時に玄関ロビーに集合しバス停に向かうと10名ほどが既に並んでいて、バス会社のスタッフもいた。全員が座って行けるように配車をしてくれているようで、ありがたい。次第に列に並ぶ登山者も増えてきたが、ぼくたちは座ることができた。バスは予定通り出発し、夜叉神峠登山口に5:50頃に着いた。ここには、宿泊・レストラン・売店・日帰り入浴施設のある夜叉神ヒュッテがあり、南アの主要な登山口の一つとして存在感のあるきれいな建物だ

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_63
白峰三山をバックに

出発前の皆の表情には憧れの山にチャレンジする緊張はないようで、笑顔が浮かんでいる。先導役を関山が務め、飯嶋Lが最後尾から隊列を見守りながら出発した(6:15)。ミズナラやブナの樹林の中をゆっくり歩みを進めて行く。途中、カラマツ林や急坂もあるが「なんだ坂こんな坂」と頑張って歩き、やがて展望が開け尾根に出た。夜叉神峠だ(7:35)。少し行くと夜叉神峠小屋の前の展望地となり、白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)が姿を見せた。この素晴らしい景色を見て、これから始まる登山に皆胸を躍らせた。


LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_57
杖立峠に向かう急坂で







LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_55
杖立峠



服装調整、水分補給をして、ダケカンバ、コメツガ、シラビソの混在する自然林の中を、ときには傾斜が増した辛い登りを、高度差400mをゆっくり歩いて、やっと杖立峠に着いた(9:40)


ケルン状に組まれた金属製の櫓の標識がある。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_54
南御室小屋に向かう苔の道





立ち休憩を何度か取りながら更に北上を続けて、1時間ほど登ると明るい開けた場所に出た。ケルン状の標識には現地名が書かれていなかったが火事場跡地2306m付近と分かった(11:00)。小鹿がいた。用を済ませ、更に単調な樹林帯の登りを1時間ほど行くと、甘利山ー千頭星山方面からの道と合流し苺平に着いた(12:20)。櫓状の標識の中に赤い実をつけた苺を見つけたが、この地名の由来となったシロバナノヘビイチゴのようだ。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_52
南御室小屋/ コーヒーを淹れて一服




立ち休憩後、緩やかな下りとなった稜線を行くと南御室小屋に着いた(13:15)。

ここは日当たりのいい山間地で、テント場と水場があり、昔ながらの山小屋の前のベンチで登山者が思い思いにくつろいでいる。ぼくたちもザックを下ろし、南アルプス天然水を使って飯嶋さんに淹れてもらったコーヒーをいただいた。これまでの疲れが一気に吹っ飛んで生き返ったようだ。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_50
砂払岳に向かう岩塊の道








25分休憩して小屋の裏から登山道に入った。標高差270mを登って薬師岳小屋に向かうが、今までと登山道が一変し、勾配が強く石ころや巨岩が現れ、雨で深くえぐられた道や巨岩を乗り越えるケ所もあったが、「なんだ坂こんな坂」と頑張って登った。やがて高度を上げシラビソの森林限界を越えると砂払岳に着いた。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_41
前方には三角形の薬師岳の雄姿が見えました。





花崗岩の岩塊と砂礫の白っぽい風景になり、白峰三山が間近に飛び込んできた。又、前方にはとんがって三角形の薬師岳の雄姿が見え、その下部に薬師岳小屋の赤い屋根も見えている。




LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_38
薬師岳小屋/夕食前の一服




立ち並ぶ巨岩の間を通り抜けたり乗り越えたりしてひっそり佇む薬師岳小屋に辿り着いた(15:30)。

小屋前のベンチには先客たちが陣取り、夕食前のひと時を過ごしていた。ぼくたちもチェックインを済ませ、赤く実をつけたナナカマドの前のベンチで、川田さんの差し入れの赤ワインで本日の歩行を労い、縦走の成就を願って乾杯をしました。その後激しい雷雨となり、おでんの夕食を済ませ、翌日の弁当を受け取り、早く就寝した。











2日目 8/27() 晴れ

出発の準備が早くできたので、5時出発を4:40に早めた。小屋横の登山道からハイマツ帯を抜けて花崗岩の白い砂地を登れば薬師岳山頂だ(4:55)

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_37
薬師岳小屋4:40出発





LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_31
日の出前の薬師岳

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_26
白峰三山モルゲンロート


日の出前のうっすらと明けてきた宙に富士山や八ヶ岳が浮かんでいた。山の朝はいつもこうやって明けてゆく、だからさわやかで楽しい。やがてすばらしいご来光となり、北岳がモルゲンロートに染まった。頂上にはそんなに多くの人はいなかったが、みんな感動の嬉しそうな笑顔だ。こういう崇高な光景を見せてあげることができ、とてもうれしい。さらには、標高1位・富士山、2位・北岳、3位・間ノ岳の日本アルプス上位3座を見ることもできた。広い台地は息を吞む美しい大パノラマだ。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_30
日の出前の八ヶ岳

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_33
薬師岳をバックに/富士遠望

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_20

                観音岳をバックに







鳳凰三山の最高峰・観音岳までは快適なハイマツの尾根道で、観音岳山頂は花崗岩が積み重なり、その上に登ると甲斐駒ヶ岳や地蔵岳のオベリスクが見えた。ホウオウシャジンや多くのタカネビランジが咲いていた。

LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_14
甲斐駒ヶ岳遠望





その上に登ると甲斐駒ヶ岳や地蔵岳のオベリスクが見えた。
LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_12 LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_18
ホウオウシャジン タカネビランジ
ホウオウシャジンや多くのタカネビランジが咲いていた。


LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_16

薬師岳背後の富士山




この先地蔵岳までは相当なアップダウンがあり、滑りやすいザレ場もある。

メンバーの疲労度や体力などを考慮し、安全最優先の観点に立ってコースを短縮することになった。地蔵岳に行かずに鳳凰小屋分岐から鳳凰小屋に下りることにした。


そして水の豊富な鳳凰小屋に着き一息つきました。しかし、この下りに予定以上の時間を要したことやメンバーの疲労度・体力などを考慮して、更に下山コースを「どんどこ沢コース」から「御座石鉱泉コース」に、より安全なコースに変更することになった。

鳳凰小屋のテント場を通り、稜線の北側をトラバースして行く。危険ケ所には桟橋や梯子が架けられていたり、稜線上の苔むした針葉樹林帯の歩きにくい場所には丸太で作られた簡易な橋があったりした。途中、樹間から地蔵岳のオベリスクが見え(2216m地点付近)、やがて、牛首のザレ場を通過した。スリップ・転落防止のための長い鎖が設置されている。

そして、熊笹の平坦地・燕頭山(ツバクロアタマヤマ)を通り、コメツガなどの針葉樹林帯の急坂を下った。更に崩壊地の端ギリギリを通過して旭岳を通過、更に急勾配を下ると西ノ平の平坦地に出た。ここから更に下る山道への取付口が不明瞭だ。いったん少し登り広葉樹林帯の急坂を九十九折りに下った。

この時、1280m付近で転倒事故が発生した。(別記、ヒヤリハット報告を参照下さい)身体には幸いにも怪我はなく、荷を軽くして下山を再開した。治山工事が行われている崩壊地スレスレを通過して、約50分後に御座石鉱泉に下山した。鉱泉は営業しておらず、バスの乗車券とビールの販売をしていた。バス時刻まで着替えをしたり、女将と談笑したりして、最終便のバスに座って韮崎駅に向かった。

【感 想】
LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_46
砂払岳にて


渋谷さん

行けない山と諦めていた鳳凰三山。「素晴らしい感動見るべき」と背中を押され無謀にも申し込んでしまった。

チームメンバーには迷惑かけまくりの山行でしたが、多くの絶景、人とのふれあいを味わい生きていることに感謝です。
行く前の葛藤その後の反省多々ありますが、行ってよかった! 楽しかった!です。まだ行ってない方「行くべき山です」。さんかくてんの皆様ありがとうございました。


LINE_ALBUM_2023.8.26-27鳳凰三山_230919_45
砂払岳にて


吉田さん

飯島さん・関山さん・川田さんの多大な協力を得、励まされつつ完登でき嬉しかったです。
息をも飲む迫りくる山に感動し、涙が出そうになりました。
しっかり目に焼き付け、私の玉手箱にそっとしまいました。
下山中は、北岳が「又、会おうね」と言ってくれてるかのように見えなくなるまで、ずーっと私達を見送ってくれました。
そして、改めて『品川山の会 さんかくてん』の懐の深さを実感した山行でした。
ありがとうございました。


【あとがき】
ぼくは「WELCOME BOYの飯嶋さん」と、この報告書の冒頭で書いています。いつも思っていることがあります。「なぜ飯嶋さんは歳を重ねても、大病をしてもいつも楽しげで、豊かな表情でいられるんだろう。」 周囲の人々にこのような印象を与え、その人たちまで楽しい気分にさせてしまう。そんな飯嶋さんに感心してしまうのです。もしリーダーの飯嶋さんが、今回の山行計画に見合った能力がないと判断し、渋谷さんと吉田さんの参加を拒んだら、お二人の夢は実現しませんでした。飯嶋さんはお二人の参加理由、目的、これまでの山行経歴、そしてこの山行に向けてどのようなトレーニングをしているかなどを把握して、大きく手を広げ笑顔でWELCOMEされたのです。常に危険に意識を向けながらも、チームスピリットを持ち、情熱と寛大さを持ち合わせて判断されたのです。でも、参加者の中には難しいのではないかと思う人がいるかもしれません。パーティー内で前向きな人間関係を作っておく必要があると考え、参加者全員での事前トレーニング山行に臨むことにしてくれました。その結果、お二人の努力もあって、参加者全員が認める合格訓練山行となったのです。そして、二人の夢実現のためにチームプレイで成就する覚悟を皆が持ち合わせて臨むことになったのです。今山行では、メンバーの疲労度や体力などを考慮し、安全最優先の観点に立って2回コースを変更しました。又、下山を間近にして転倒事故が発生しました。幸いにも怪我がなく下山できました。飯嶋さんは、予想される危険やエスケープルートを考えていて、判断地点を選定し、回避ルートや転進ルートを明確にしていました。そして、選定していた判断地点の2ケ所で、適正に実行されました。お二人は感想文の中で、当会の皆さんに「ありがとう」と感謝をされています。お二人の体力強化や持久力強化のためにトレニング山行を計画し、ビシバシと叱咤激励をして下さった先輩諸兄姉への感謝です。ぼくたちは、この厳しい過酷な山行の苦難を、一緒に乗り越えることができました。おかげで仲間意識が芽生えて仲は深まったように感じています。 飯嶋さんのWELCOMEに感謝です! これからもWELCOME、ずーとWELCOME

(記:関山)

              2023827日鳳凰三山山行、下山時のヒヤリハット報告                                                   飯嶋

8275時前に薬師小屋を出発し、薬師岳、観音岳を辿り、鳳凰小屋に着いた時点でメンバーに疲れが出ているようなので、ドンドコ沢の急斜度の下りを避けて御座石鉱泉コースに変更し下ることにした。途中も疲れているようなので、休憩を頻繁に入れながら下って御座石鉱泉まであと少し、15:151,280m地点の木の根混じりの少し大きめの段差で渋谷さんがバランスを崩して前のめり転倒した。咄嗟にその前を下っていた吉田さんが渋谷さんの足を支えてくれて、ショックを吸収してくれ怪我はなく済んだ。その後、渋谷さんの荷物を川田さん、飯嶋で分担して持ち、16:07分に御座石鉱泉まで下りることができた。


inserted by FC2 system