Sankou2006-83
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山行報告書 穂高連峰(北・奥・西)縦走 西穂縦走の夢かなう |
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山 名 |
北穂高岳〜涸沢岳〜奥穂高岳〜西穂高岳〜独標 |
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山行日 |
2006年9月28日(木)―10月1日(日) |
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企 画 |
Fさん 【第166回プラスワンハイク姉妹編】 |
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参加者 |
リーダー:Fさん |
サブリーダー:Kさん |
高橋(み) |
労山(nyk):68歳 |
都岳連:67歳 |
61歳 |
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コースタイム |
9月28日(木、晴) 新宿都庁下 高速バス 7:30発 →(さわやか信州号)→12:10上高地12:55 →15:30横尾山荘(泊)。 9月29日(金、晴) 横尾山荘6:20→7:30本谷橋 →9:30涸沢小屋→13:40北穂高岳3106m →16:30涸沢岳3110m →17:00穂高岳山荘(泊)。 9月30日(土、快晴) 穂高岳山荘2983m 6:00→6:45奥穂高岳3190m6:55→馬の背→8:50ジャンダルム3163m 9:25→9:35コブ屋根の頭9:55→11:35天狗のコル11:55→12:40天狗岳2909m12:50→14:00間の岳→16:00西穂高岳2909m→ 17:40西穂独標2701m→19:00西穂山荘(泊)。 10月1日(日、晴のち雨) 西穂山荘7:10 →10:50新中尾峠(焼岳小屋)→11:20焼岳展望台往復→焼岳小屋12:00→(雨になる)→13:40焼岳登山口→(上高地温泉ホテル入浴)→上高地BT16:10→(バス)→20:40新宿着。 |
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費 用 |
バス往復:13000、 小屋3泊:26000、 その他:13500、 合計52500円 |
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感 想 |
♪ 次々と眼前に現れる岩稜をどのように乗り越えるか考え、雄大な山岳景色に見とれ、充実した縦走ができました。西穂山荘に夜7時に到着なんて愚かと思われますが、登攀そのものはすごく遅いわけではないし、人助けも出来ましたし、寛ぎタイムも楽しめ、体力はもったし、自分では良しとしています。 |
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注意点 |
♪ ルート取りを間違えやすい所が間の岳に1ヶ所あります。奥穂からあるいは西穂からそれぞれ見つけにくい丸印の標識が数ヶ所あります。岩稜に捲道(迷い道かも)らしきものがありますが丸印を外さず出来るだけ稜線を歩くのが安心のようです(何回か道を外した人にKさんが声をかけていました)。 ♪ 単独でいくなら、遅くとも馬の背に5時前に乗り、次々と後ろから来る者にさほど遅れずに歩き、間違ってもシンガリを歩いてはならないと思います。 |
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山行記(足腰を鍛えて備えていれば西穂縦走に行ける機会が掴めると思った結果です)。 ♪ 参加に至る顛末 体力がガクンと下がりそうになる前の、ここ1、2年以内に西穂へ登りたいと考えて資料を読んでいました。単独行となるのは必至で、ならば「さんかくてん」を退会せねば実現の可能性は低いと考えていました。今春都連盟ニュースで今回のP1公開山行を知り登るチャンスと思い、7月22日に「関心がある」とメールで軽く伝えました。西穂高岳縦走は一人でも好天ならば滑落しない自信はありました。でもいろいろな面で(ホールド・スタンス探しに手間取り主にスピードの面で)迷惑をかけるのは明らかですが、リーダーは「来年にしたら・難しいコースだよ・ちょっと無理でしょう・・・」とか少しもにおわさないので、迷惑かなあと想像しつつもリーダーの「ロープワーク体験はあるに越した事はないが、大丈夫ですよ。行けますよ」の言にすがる思いで参加を決意しました。でもその実、直前まで迷いました。 ♪ 準備 私は6月末の八ケ岳山行後、職場で15階分の階段を3.5往復(1200段)したり、エアロバイクを漕いだり、家の周囲を走ったり、毎日は出来ないがそれなりに準備し、この夏剱岳早月尾根に向け「行けるんだ」という自信を持てるように自分を仕向けていました。心と体の調整には努力を払いました。 下山後、新宿で祝杯を挙げた時にサブリーダーは「リーダーが西穂山行に高橋を誘った」と信じていましたが、私の「押しかけ参加」であることを伝えると本当に驚いていました。北アルプスの困難な山行に私なんかとパーティーを組むことは常識では考えられない。「さんかくてん」の集中山行で、小川山でザイルに触らせて貰い、広沢寺岩教室参加2回という体験が形の上だけでも威力を発揮しました(山行前に相談しようと塩田さんに電話したらアメリカに居たのでビックリ)。 |
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天狗岳へ飛騨側を巻く |
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♪ 延期 当初9月14日夜出発の西穂山行計画は台風接近により2週間後に延期されました。日程変更で5人のメンバーが1人、2人と減ってしまい、FさんとKさんの2人ならさっさと西穂縦走できるだろうに、私はやっぱり参加を取り消そうかと悩みました。この計画がFさんの長年の夢であると知り、私がもし夢をぶち壊すような事故を起こしたらと怖れました。悶々と悩んだ末、行きたいと言う気持が勝って結局強引に参加しちゃいました。 下山後Kさんに「3人になって高橋さんはラッキーでした。私の目が、私の指示が、行き届いたもの」と言われ納得でした。「気を抜かないで、慎重に、待つのよ、はい下りて、右足は、・・・」 と繰り返し声をかけていただき無事に登頂できました。 ♪ いざ出発
深夜0時を回っても寝付けなくて3時間前後しか眠れず、さすがに入眠剤を飲めばよかったと後悔しましたが、最初の難関、馬の背を何とか無事に通過できた時、体調は大丈夫と確信が持て心配が霧散しました。この先の岩稜はどうなっているんだろうと、ものすごく楽しくワクワクしていました。体力が必要な山で疲れましたが、楽しく縦走できて良かった!! Fさん、Kさん、4日間本当にありがとうございました。感謝感激です。 ♪ Fさんのメッセージ 1. 前から西穂高岳縦走計画中のところ天候や勤めや健康の関係で延び延びになっていました。今回Kさんという素晴らしいメンバーの同行により踏破することが出来ました。 大袈裟に言うとこの難コースは我が登山人生の総集編とも言うべき感動と体験を与えてくれました。特に馬の背の通過は全身の震えを感じました。 2. 無事踏破の要因はベテランのKさんリードの下、知力、コース情報、脚力、腕力、体力、バランス感覚を総動員し、さらに成し遂げる信念と、加えて好天に恵まれたベストコンデションにあったと思います。 3. 好天の中素晴らしい眺望に見とれ、加えて何人かの登山者との出会いでゆっくりペースの前進となりました。写真タイムや休憩を取り過ぎ秋の登山としては時間をかけ過ぎました。 4. 天狗のコルから所沢市在住の山キチ72歳男性と同行し、大幅遅れの16時西穂通過は反省点となりました。この72歳の方は我々の同行がなければ(同行を望んでコルで待っていた節がある)すでに水不足による脱水状態があり無事小屋到着には疑問があったと思います。水を提供し日没後登山道が見えにくいようなので誘導しながらの下山となり、押し付けがましく言うなら、人助けをしたと思います。 5. 西穂山荘とは携帯電話で到着遅れを連絡し了承を受け万全の対応で進みましたが、西穂独標を過ぎて日没を迎え、小屋まで約1時間ヘッドランプを点けて行動しました。19時西穂山荘に無事到着。快く迎えて頂いた上に温かい夕食の準備に感謝します。 6. 登山って素晴らしい24時間スポーツ(私の持論)と改めて感じます。最後に終始慎重にルート選択をされたKリーダー並びに同行の高橋さんに心から感謝申し上げます。
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♪ Kさんのメッセージ 1. 奥穂から西穂の間が好きで、何度歩いても良いコース。緊張感と達成感に魅了され4回も登った。過去3回は前半天気が好くても後半はガスが出るとかその逆だったりだから、4度目に来て一番良い天気だったのは幸せ。来た甲斐がありました。案内した甲斐がありました。 2. バリエーションコースを歩くときはタイムコースをしっかり頭に入れてビシッと歩かないと夜になってしまう。時間を忘れるほど天気が好く楽しかったということですが、ジャンダルムで早く下りようと言ったのに35分も居たため、最後の1時間ヘッドランプを使う羽目になったのは残念です。元気のある最初にドンドン先に行っておくのが私のやり方。 3. 西穂からだと取り付くまでのアプローチが短く楽ですが、馬の背は(登るほうがラクなのですが)疲れの出る後半より最初に通過する方が安全です。事故の多い間の岳も奥穂高岳からの方が鎖場は軽く上がれ安全だと思います。 4. 天狗のコルで会った72歳の男性に梨を差し上げたらものすごく喜んでいました。天狗岳を越えてから彼の水切れが分かりましたが、みかんを持ったからといって500mLしか水を持たずに山に入るのは自殺行為ですね。 ♪ おまけの焼岳 最終の4日目、西穂山荘から新中尾峠の道は振り返ると西穂高岳やジャンダルムを見上げることができます。笠ケ岳や黒部五郎岳が見えます。飛騨側の谷の紅葉が進み緑赤橙黄のパレット模様が美しく優しく斜面に拡がり、錦織りなす紅葉の見頃は1週間後でしょう。上高地を挟み霞沢岳2646m六百山2450mがデーンと聳える。崩壊部分もあるが良い道です。 焼岳小屋のベンチでカップラーメンの昼食。足元にニワナナカマドの赤い実。焼岳山頂2455mは時間が押していて諦め(なかなか来れない山だから楽しみにしていたので残念ですが)、焼岳展望台まで10分の登りです。地を這うツルリンドウが真っ赤な実をつけています。台地から南正面に焼岳の赤茶化たまさに活火山とよべる山塊が聳え、背後に穂高連峰が懐かしく眺められ、山谷に囲まれ擂鉢の底に居る感じですが伸びやかな景色が好きです。 ♪ またいけるかしら? 私が西穂高岳へ登ることができましたのは、リーダーが私の是非登りたいという情熱をいささかも拒否しなかったこと、そしてサブリーダーの的確なルート読みと助言の賜物です(リーダーは標準タイムで単独縦走もできたと思います)。ひとえにFさんとKさんのお蔭で西穂への夢がかない嬉しく思います。登攀中は真剣なだけに寛ぎタイムの会話や出会い後で思い出すと笑える光景が多い楽しい山行でした。二度と来ることは無いと思って山を下りたのに山行記を纏めている内、もう一度と思い、単独行ならあそこでこういう事に注意すれば良いよねとかコースを頭に描いている自分に呆れています。(了) |
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馬の背を行く
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