奥秩父の秘峰 |
和名倉山(2036m) |
日本の戦前戦後の木材需要を支えた林業の爪痕が随所に残る山でした。 |
期日:2013年6月8〜9日 参加者:L佐藤、川田、丸山 |
コースタイム 6月8日 晴れ 品川発4:10──(関越道)──花園IC──秩父市──二瀬ダム──大洞林道──6:50鮫沢ゲート(出発準備・ストレッチ)7:25出発──8:35荒沢橋──9:00登山口9:39仁田小屋10:01──11:20仁田小屋ノ頭──13:35ナシ尾根分岐──14:15和名倉山山頂14:30──14:48水場14:55──15:05標高1975m稜線上の平坦地【泊】19:00消灯 6月9日 晴れ 3:30起床 4:30出発──4:35川又分岐──5:09曲沢源頭の水場──5:23二度目の水場──5:50桃源郷1826m地点を5分程の地点──6:14コル──8:20作業道が輻輳して道不明8:38──9:21吊橋──9:25川又バス停でタクシー乗車──10:00大洞林道鮫沢ゲート帰着 大滝村の道の駅大滝温泉で入浴と食事 帰路は秩父市から正丸峠トンネルから日高より高速道路中央道経由で16:00頃品川着 |
いつも奥秩父の地図をみては主脈から離れて孤高の山の和名倉山はいつか行ってみたい山でした。
国土地理院地図にルートの記載がなく、余計に興味をそそられていました。
今回は既存の登山ルートから離れているため、ツエルトや新聞紙を利用してで出来るだけアウトドア的
山行の練習台として考えました。
6月8日
7:23 秩父市街地を抜け、大滝の国道から二瀬ダムを渡り、三峰神社のドライブウエイと分かれ
大洞川沿いの大洞林道は鮫沢付近で通行止めゲートがあり、渓流釣りの車が3台止まっています。
私ども車の後に止まったのは沢登りの若者たちです。
8:33 新緑の林道を登山口まで1時間30分歩きます。
9:01 林道わきに 「ふれあいの森林」の看板はありますが、登山口の表示や赤布は一切ありません。
9:03 この小さな沢が登山口の目標です。良く見ると沢の脇に上部への踏み跡があります。
9:30 ジグザグの細い道をたどり、鹿除けのゲートを開けて登りました。
9:43 小さい仁田尾根沢を渡ると仁田小屋があります。標高1095m付近です。
森林管理者用のため、一般者は使用できません。
9:44 なかなか立派な看板です。
11:22 比較的明瞭な道を登って行くと立派な仁田小屋ノ頭の標識がありました。
登山口には全くの目印らしきものがないのに途中ではこんな立派な標識あるのは何故でしょう?
12:11 ルート上はところどころスズ竹の薮がありますが、近年藪が衰退したようで昔の情報の
ようではありません。
12:51 標高1780m地点の尾根上の平坦地には膨大な林業用のワイヤーが放置されています。
13:20 ナシ尾根の分岐(1965m)へ向けカラマツの疎林を登ります。ナシ尾根分岐で初めて
2人組の登山者とあいます。ナシ尾根を上がって来たのでしょうか。
13:52 和名倉山山頂も近いのでのんびりと地図みたり、食事をしたりです。比較的カラマツ林
が美しく、良い雰囲気でした。
14:19 休憩を終え、平らな尾根を歩むと奥秩父らしい倒木の散乱するぽかっと開けた場所が
和名倉山山頂でした。全く山頂らしくありません。平坦な尾根の中に標識だけがありました。
14:21 狭い狭い空地が山頂です。これが二百名山とは?
山頂近くも膨大な森林用のワイヤーが多量に放置されています。山頂も森林伐採の影響を
受けていたのです。
14:56 和名倉山山頂を過ぎ、10分程歩いたところで沢の源頭と思われる場所を下ると
予想通り、水場が現れ、たっぷりと水を補給します。ここでなかったら川又方面へ40分程下ら
なければなりませんでした。
今年は水不足ですが、この水場はたっぷりと流れていました。
15:10
宿泊準備です。エアーマット替わりの枯葉が少なく、ツエルトの下敷きにはやや不足でした。
この場所に我々だけと思っていたら、3人のグループ、単独行が2名がこの場所にテントを張り、
それなりににぎやかな雰囲気になりました。後から来た皆さんは水場の標識や印が全くなく、
トレースも薄いため、我々が場所を教えました。我々も水場の上部と思われる場所からショートカット
して水場を見つけなかったら、分からなかったかも知れません。
17:20 ツエルトを3張で1人1張りづつで、今夜は各自個室での一夜でそれなりに落ち着いて
快適です。食事も今夜はめいめいです。
通常はこのような尾根でたき火をすることはないのですが、秩父主稜から大きく離れており、水場
から消火用の水も汲んであることから、たき火をし、古い飯盒を引っ張り出し、それでお茶を沸かし
ました。
17:23 時折顔を出す鹿は可愛らしいのですが、群れになって移動する鹿を見たり、全山
各所にある鹿除けネットを見るとき、森林の保護と育成の難しさを感じます
18:13 各自食事を終え、そしてレスキューシートで実際に身体をくるみ、ロウソクで暖が
どの程度とれるかを試してみました。
就寝は各自がツエルトの個室です。私は1人でツエルトに入り、暫くヘッドランプの下で地図
を見て、菓子を食べ、コーヒー飲料を飲んでのんびりと就寝前のひと時を過ごしました。
一人のツエルトですが、そばに他のメンバーがいる安心感もあり、なかなかリラックスできました。
6月9日
4:40 3:30に起床、食事を終えストレッチを行って、4:30に出発します。直ぐに今日の下山路
である川又分岐に到着します。立派な分岐の標識が付けられていました。
4:59 川又への道、山腹を長い長いトラバース道ですが、ところどころ不鮮明な道になりました。
5:35 和名倉山全体に展望のない山で、ここだけ地味な山々見えました。川又から雁坂峠への
道でしょう。
5:57 桃源郷と云われる地名の場所も切り株以外なにもありません。古い鋸が記念のように
残っているだけです。往時は素晴らしい場所?だったのでしょうが想像つきません。
6:32
8:37 標高1000m付近から下は杉や檜の植林帯になりますが、かえって林業従事者の踏み跡
が輻輳して、どれが下山道か判らなくなり時間ロスをしました。
9:22 7:30頃にタクシー会社に9:30頃川又へ下山するのでタクシーを配車して欲しいとの
連絡を入れておいたのですが、下山のルート探しで9:30ぎりぎりでした。ストレッチの時間が
とれずにタクシーに乗り込みました。
9:22 吊橋は事前の情報よりはしっかりした感じでした。苔むして穴が開いて利用する人はほとんど
いないようです。
9:25 渡ってきた吊橋です。タクシーに乗り込むとドライバーは三峰口下までは行くが、大洞林道
のゲートまでは時間がないから行けないとの会話で「なんだーー林道を歩くのか―ー」の思いをし
ましたが、結局ドライバーが途中で気分を変え、スタート地点のゲートまで送ってもらいました。
ゲートからの帰路は大滝村の道の駅で日帰り温泉に入浴し、蕎麦を食べて16:00頃には順調に
帰京しました。
現実の和名倉山は50年以上前の森林伐採の爪痕を今も残す、緑の回復途上の山の印象でした。
当時の森林伐採に頼らざるを得なかった時代と現在を比較していろんな事を考える山行でした。
この事は何かの機会に私見を話したいと思います。(佐藤)